老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

先の岩国市長選は無効では?

2008-02-16 13:26:08 | 選挙
2月13日のNHK「クローズアップ現代」の、岩国市長選を取り上げた「補助金凍結・基地の町の波紋」を見て思ったが、今回の選挙はどう見ても公正な選挙とは言い難い。

市長選に至った経緯をもう一度見てみると、その発端は、政府の岩国基地への米軍艦載機受け入れに対して、井原前市長が「騒音公害」を理由に反対し、更に住民投票における市民の反対の結果を受けて、市として受け入れ反対を表明したことに始まる。

それに対し政府(防衛省)は、既に決定していた市庁舎建設の補助金(35億円)を凍結し、井原氏はその打開策として、市長辞職を表明して対策案を市議会に諮ったところ、艦載機受け入れ派議員が多数を占める市議会に否決され、再度民意を問うことになったのが、今回の選挙であった。

問題はその選挙が公正に行われたかどうかである。公正に行われたと思うかと問われれば、少なからず「ノー」という返事が返ってくるのではないだろうか。それでは何故「ノー」なのか、問題提起の端緒になれば幸いである。

今回の選挙をよく見ると、両候補者が、艦載機を受け入れるか否か、またその見返りとして政府の補助金を受けるか否かを争う選挙戦の前に、政府は既に住民投票と井原市長の艦載機受け入れ反対に対して「補助金を凍結」しており、受け入れ反対住民及び市長と政府は敵対関係にあることである。この構図を忘れてはならない。

そのような対政府との敵対的関係の中で井原氏は市長を辞して、再度艦載機受け入れ反対と補助金凍結反対を掲げて出直し選挙に出馬した。井原氏が再当選すれば、政府はまた補助金を凍結するだろうことは十分予測され、選挙期間中にそうした印象を有権者に与えたことは否定できない。市長時代に政府から「補助金凍結」を突きつけられていた井原氏にしてみれば、政府の税金を使っての明らかな利敵行為により不利益を被っている。

一方の福田候補は、井原市政下での艦載機受け入れ反対=政府の補助金凍結を見て立候補して、その声明では艦載機を受け入れ米軍再編に協力する立場を表明し、選挙戦中は政府の補助金を受けて市の財政の足しにすることを掲げているのである。この主張は、政府の偏向的な「補助金凍結」というイジメ行為が前提になっており、対立候補者の選挙戦での利得になっていることは明らかである。

仮に有権者にこのような予断を与え、投票意思が操作され、選挙結果に影響を与えていたとすれば、これは「不正の方法をもって選挙の自由を妨害したとき」(公職選挙法225条の2)に抵触して選挙は無効ではないのか。国民から見ても、本来公正なはずの選挙において、白昼堂々と税金がアメとムチに利用されたことは納得できない。これに類似した選挙は昨年の沖縄知事選でも発生している。どこかで阻止しなければ、今後も時の政府は常套手段として使ってくる可能性がある。

選挙当日のメディアによる有権者への出口調査をニュースで聞いても、艦載機受け入れには反対の回答が圧倒的に多く、また町中でのインタビューでも住民は、艦載機移駐は騒音発生と治安が不安で反対だが、今の市の財政では住民サービスが低下すると、痛し痒しの胸の内を明かしており、有権者の本音は投票結果とは違っている。

これらの事後調査を見ても、政府の「補助金凍結」によって住民の投票意思が操作され、公正な選挙がねじ曲げられている以上、今回の選挙は「無効」と言わざるを得ない。無効にできないのであれば、(苦肉の策であるが、)政府は新市長の下でも公平に「補助金を凍結」すべきだろう。

このように国民の税金を我が物顔に、地方選挙のアメとムチに利用し、有権者の投票意思をねじ曲げ、自分に有利な選挙に導く政府の行為は、全くの恥知らず、ゆゆしき問題である。普通選挙が導入されて60年以上経つというのに、民主主義を金でねじ曲げる後進国と、何ら変わりはないのではないだろうか。

「護憲+BBS」「行政ウォッチング」より
厚顔の美少年
コメント (4)
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