非国民通信

ノーモア・コイズミ

世論調査2題

2010-01-21 22:45:50 | ニュース

女性、無党派層「鳩山離れ」一気に(読売新聞)

 読売新聞社の緊急全国世論調査で、鳩山内閣支持率は45%に急落し、国民の「鳩山離れ」が一気に進んだことが鮮明になった。

 その要因の一つは女性の離反にある。女性の支持率は41%(前回55%)に下落し、初めて不支持率43%(同32%)が上回った。男性の支持率も57%から50%に下がったが、落ち込みは女性が著しい。

 支持政党のない無党派層でも鳩山内閣への支持は大きく揺らいだ。無党派層に限ってみると、内閣支持率は前回の38%が24%となり、不支持率は55%(前回45%)で初めて過半数を占めた。無党派層では「小沢氏は幹事長を辞任すべきだ」と思う人は73%(全体では70%)、幹事長続投を認めた鳩山首相の判断を適切だとは思わない人は72%(同68%)と高く、「小沢問題」が引き金になったようだ。

 民主支持層を見ると、内閣支持率は90%と高水準を維持しているが、今夏の参院比例選で民主党に投票すると答えた人は69%(前回76%)に減った。小沢氏の幹事長続投や、これを容認した首相の判断への批判は民主支持層でも強く、参院比例選での投票先にも影響したと言えそうだ。

 さて、毎月恒例の支持率調査です。内閣発足時点のご祝儀相場から緩やかに支持率が下降し続け、一時期は安定期に入るかに見えたのですが、諸々の金銭問題もあって再び下降線に戻ってしまったかに見えます。とりわけ女性の支持率が大きく下がったようで、政権交代前の「中年男性からの支持ばかりが強い」民主党に逆戻りでしょうか。ただ一応の最大野党である自民党が盛り返しているというわけでもなく、消去法的選択ではまだまだ民主党の圧倒的優位にあるようです。

 とはいえ、民主党支持層でも小沢の幹事長続投方針には批判的な声が強いそうです。ネット上の民主党支持層に言わせれば、民主党の疑惑を追及するのは国策捜査であり検察が悪いということのようですが、その手の妄想家はリアルでは決して多くないということでしょうね。自民党が阿ねった極右層が先の総選挙では全くの無力であったように、ネット上で声の大きい連中が多数派であるとは限りません。ネット上で威勢の良い極右層に迎合して真の多数派の存在を忘れたのが自民党ですが、民主党はその轍を踏むでしょうか。

「食べていける収入あれば十分」過去最高 新入社員調査(朝日新聞)

 昨春の新入社員のうち、「食べていけるだけの収入があれば十分だ」と考える割合が半数近くに上り、過去最高となったことが、日本生産性本部の調査で分かった。年功序列的な賃金体系を望む割合も最高を記録。景気回復に力強さがない中で、生活の安定を望む姿が浮かび上がった。

 生産性本部は1991年から、新卒で4月に入社した新人に対し春と秋に調査をして意識変化を調べている。今回は昨年10~11月、全国で376人から回答を得た。

 「人より多くの賃金を得なくても食べていけるだけの収入があれば十分だ」との問いに「そう思う」と答えたのは47.1%。「そう思わない」と答えた割合(52.9%)よりは低いものの、2006年にこの問いを始めて以来、春秋を通じて最高となった。春の調査(36.2%)との差が10ポイント以上開き、上昇幅も最大だった。

 さて、今日はもう一つ世論調査から。何でも調査が始まったのが2006年からと歴史の浅い項目ではありますが、「人より多くの賃金を得なくても食べていけるだけの収入があれば十分だ」と回答した人が史上最高を記録したそうです。う~ん、前半の「人より多く」の部分を望まないのはまだしも、「食べていけるだけの収入があれば十分」というレベルで頷いてしまう人が半数に迫るというのは、ますます以て暗い未来を予感させてくれます。

 「食べていけるだけの収入があれば十分」というのなら、どこか他の国で暮らした方がずっと軽い労働で必要な収入が得られるのではないかという気がしてならないのですが、ともあれこの「欲の小ささ」はどうでしょうか? 昨今では左右ともに何かと禁欲的なものが良しとされがちですが、この欲の無さが現在のデフレを招き、定着させている原因の一つであるようにも思われます。食べていけるだけの収入で満足しないで、もっと欲しがること、もっと給料をよこせと要求すること、そうした気持ちがなければ何もかもが先細りする一方です。

参考、欲がないのではなく、他人の欲を抑えつけたいのだ

 昨年の11月、鳩山首相は「体のサイズに合った形の経済の展開をすればいい」と語りました。「食べていけるだけの収入があれば十分」と回答した人からすれば、共感できる言葉になるのでしょうか。しかし日本は狭く小さいという誤った認識に基づいて「体のサイズに合った形の経済の展開」をするとなると、贅沢を戒め質素倹約を旨とする、必然的にそういう方向を志向することになるはずです。もっと豊かに暮らしたい、先進国に見合った生活水準を維持したい、そういう声はいずれ「食べていけるだけの収入があれば十分だろ!」という声にかき消されていくのかも知れません。

 

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4 コメント

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横並び意識からきたものでは? (名古屋人)
2010-01-22 01:42:02
誰にでも上昇志向というものはあるはず。若者には本音では野心もあるでしょう。おそらく新入社員たちは大企業・正社員・公務員叩きという昨今の社会情勢を鑑みて、「これは高望みしても無理」とあきらめてしまっているように思えます。
互いに足を引っ張り合う、妬みの充満した社会では「出る杭は打たれる」ことを自ら悟ってしまっているのではないでしょうか?

鳩山首相の発言はこれとは少し違うような気がします。なんとなく「名もなく貧しく美しく」的な日本人の感性には触れるところはあるのかも知れませんが、上昇志向を捨てては、それより低い成功すらおぼつかなくなるでしょう。ハッタリでもいいから「日本は今後も成長を目指す!」ぐらいのことは言うべきでした。

事業仕分けでのスパコン問題、スパコンがいろいろな問題を抱えていることは承知の上ですが(また科学技術がスパコンのスペックにのみ依存しているわけでないことも)、蓮舫の「世界2位ではダメなんですか?」の問いに利根川進が答えた「1位を目指さない者は2位にも3位にもなれない」と述べたのは同じような理由からでしょう。
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-01-22 13:51:08
>名古屋人さん

 横並び意識と言いますか、横並びから一人で前に出ることを許さない意識、ですかね。内に上昇志向があっても、それを発揮することを許さない方向へ世論が向かっているような気がします、その点では鳩山や蓮舫なんかの発言も、根っこは同じところにあると思うのです。
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定義にもよるでしょうけど (さいたマン)
2010-01-22 23:49:23
ニュースで、30代の自殺者増加・派遣切り・非正規の実態・ボーナスカット・定昇ストップ等々、
「食べていけるだけの収入」を得ること自体が大変な人が多い世の中を目の当たりにしての回答かもしれませんね。あとは22年の人生で不況しか知らないせいかも。

自分の感覚としては、そこそこ働いて食べていける収入を手に入れるものではなく、一生懸命長時間労働して、やっと手に入れるって感じですけどね。子供がいたらもっと大変だろうな
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Unknown (非国民通信管理人)
2010-01-23 00:22:20
>さいたマンさん

 他所の国が順調に発展を続ける中、先進国では日本だけが停滞を続けていますから、それが当たり前と信じ込んでしまった人も多いでしょうね。賃金は上がらないどころか緩やかに下降するばかり、「食べていけるだけ」の賃金すらも大層なものに見える時代に入ってしまいましたから。今や健康で「文化的」に生きるのはハードルが高いということでしょうか。
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