花火大会や祭りなど野外イベント真っ盛りの季節になったが、見物客が粘着テープを地面に張って場所取りをする行為が各地で問題化している。そのままごみとして放置されるだけでなく、点字ブロックを隠したり、芝生や道路の舗装が損傷したりする悪質なケースも目立つ。主催者側が「モラルに頼るのは限界」と禁止する例が相次いでいるものの、見物客らの多くは迷惑行為との意識が薄く、被害は減りそうもない状況だ。
粘着テープを使った場所取りは、地面に段ボールやビニールシートを固定する形で周囲を張る方法のほか、粘着テープのみを地面に四角く張り付け、場所を使う権利を主張する方法も広がっている。
粘着テープを使った場所取りが増加しているそうで、これがまたモラル云々の問題として扱われております。じゃぁ昔はどうだったのでしょうか? 昔だったら……新入社員もしくはパシリ役を使った場所取りが主流でしょうか? まぁ昔のことは知りませんが、今どきは粘着テープがメインウェポンなのだそうで。
しかし本当にモラルがないのであれば粘着テープなどモノの役にも立たないのではないでしょうか。テープやシートで場所の領有権を主張する、それに有効性があってこそ成り立つ行為なのですから。つまり、テープやシートで領有権を主張している人がいれば、その領有権を尊重する、そんなモラルが深く浸透しているからこそ、粘着テープを使った場所取りが可能になるのです。もし、「ここは我々の土地です」と粘着テープで印をつけてあったとしても、「うるせー馬鹿」とばかりに粘着テープを踏みにじってしまうような人がいるのなら、この手の場所取りは成り立ちません。むしろ粘着テープによって主張された領有権を尊重する、そんなモラルの強化を読み取るべき事例でしょう。
ばらまきと言われてもいい! 自公、財政出動へ圧力 「生活者重視」旗印(産経新聞)
自民党の保利耕輔、公明党の山口那津男の両政調会長は8日、内閣府に与謝野馨経済財政担当相を訪ね、両党が取りまとめた経済対策を個別に申し入れた。衆院解散・総選挙をにらみ、「生活者重視」を名目に大規模な財政出動を求める内容。政府は、財政再建が破綻しかねないと最小限にとどめたい考えだが、11日に経済対策の骨格を正式に発表するのを前に与党の圧力はさらに強まりそうだ。
また産経新聞です。でもまぁ、ニュースにツッコミを入れていくスタイルのブログにとって、最高のネタ元は産経新聞なのです。逆にネタとして使えないのは、引用するだけで記事が完結してしまうような新聞ですね。なので本物の左派メディアは基本的にこのブログには登場しません。
それはさておき政府与党が方針変更、「生活者重視」だそうです。何を今さらの感もありますし、その内容もこれから問われねばなりませんが、方向性自体は良いのではないでしょうか。しかし産経新聞は今一つ賛成していないようにも見えますね。曰く「与党の圧力」と。「与党の圧力」とはあまり耳にしない表現ですが……
普通はそう、例えば「野党の圧力」ですよね。政府与党側に立つ人々が、自分達の意を妨げる相手方を指して圧力云々と語ったものです。あるいは上から下へ、「下」の人々の自由意思を抑えつけ支配しようとするのが「上」の圧力、要するにこの「圧力」という言葉が用いられる背景には概ね対立関係があるわけです。ところが、常に政府与党よりの姿勢をとってきたはずの産経新聞が「与党の圧力」?
文脈上、ここで「与党の圧力」を受ける主体は政府―――産経新聞が思い描くあるべき政府―――です。政府が与党の圧力を受ける? 政府の側にいるから与党であってそれが対立しているのであれば与党ではなく野党と呼ぶべきなのですが、奇妙な捻れが生まれています。これは結局、産経新聞あるいは昨今の自民党支持層が政府与党に何を期待しているかに拠るのでしょう。
参考、
しめ鯖ごときで……
つまり、旧来の互恵型の関係―――特定の業界や農村部に便宜を図り支持を取り付ける―――を主軸とした「古い自民党」を否定して、よりイデオロジカルな、より国家主義的なスタイルに生まれ変わった小泉以降の自民党、「新しい自民党」を支持してきた人にとって、「生活者重視」の政策で生活者の支持を取り付けようとする発想は逆戻り、退行でしかないのです。自民党が互恵型の政党に「後戻り」することなど受け容れがたい、「生活者重視」など訴える輩は我々改革者の敵だ、そんな思いが溢れるあまり、純然たる政府与党内部から出てきた政策案に「圧力」などという言葉を使ってしまったのでしょう。