心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

暑い夏にフォーレのレクイエムを聴く

2021-08-07 20:11:13 | Weblog

 十三節気「立秋」。第三十七候では「涼風至」(涼しい風が初めて立つの意)というのだそうですが、秋の始まりどころか夏真っ盛り。連日36度越えの暑さが続きます。ふぅ。.........ここ数日、開花したバンダを部屋に飾って愛でております。 
 夏の暑さといえば、3年前の夏、歩き遍路で高知は竹林寺、禅師峰寺、雪蹊寺、種間寺、清滝寺、青龍寺を歩いたことがありました。深夜の高速バスで大阪駅前を出発し翌朝6時前に高知駅に到着したあと、雨が降る中を歩き始めましたが、10時を過ぎて禅師峰寺から雪蹊寺に向かう9キロの道程で気温が急上昇、気が遠くなるほどの暑さが私を襲いかかりました。
 その状況を2018年8月30日の記事「歩き遍路(高知編)~竹林寺から青龍寺へ」はこう記しています。

 「10時を過ぎる頃になると、気温もどんどん上昇して夏の日差しが戻ってきました。雪蹊寺までは9キロ近くあります。とりあえず、遍路道唯一の船の路、種﨑渡船場をめざしました。土佐湾沿いに平坦で変化のない車道6キロを、ただひたすら歩き続けました。次第に全身を熱の塊が覆い始めます。それでも前を見つめて歩き続ける.....。
 もう限界かと思ったそのとき、1軒の小さなハワイアンカフェGarlishを見つけて飛び込みました。店内は冷房が効いていてほっとひと息。生き返った心地でした。でも食欲はなく、頼んだのはフレンチトーストとコーラだけ。ところが、お皿に盛られたサイコロ状のトーストとフルーツに蜂蜜がたっぷりかかっていました。なんと美味しかったことか。生気を取り戻しました。
 このお店に40分近くいたでしょうか。食後しばらくすると、お姉さんがお接待といってかき氷をサービスしてくれました。ほんとうにありがとうございました。そのあと軽快に歩くことができたのは言うまでもありません。」
 雪蹊寺でお参りを済ませると、早朝からの疲れなのか境内のベンチに横たわった途端に深い眠りにつきました。雨から晴天という急激な環境変化に身体がついていけなかったようでした。
 さてさて、そろそろ本題に入ります(笑)。先日、比較的近くに暮らしながらコロナのために行き来を控えていた孫次男君が、我が家の近くにあるスイミングスクールの帰りにお泊りにやってきました。久しぶりに孫君の泳ぎっぷりを眺めましたが、ずいぶんうまく泳げるようになりました。
 翌日には孫長男君も午前中の中学校の部活(テニス)を終えたあとやってきました。両親は仕事なので、2人でのんびりお婆ちゃんのお家で寛ぎました。あとで聞いた話では、孫長男君はお婆ちゃんに「高校生になったらお婆ちゃんの家から通いたい」と。すると、孫次男君「僕もお婆ちゃんの家から通いたい」と。ちょっとした環境変化に孫たちは敏感です(笑)。
 暑いからと家に閉じ籠ってばかりいても身体がなまってしまいます。朝はお爺ちゃんと一緒にお散歩に同行、午後にはお買い物がてら近所の本屋さんにも足を延ばしました。
 そこでお爺さんは、前々から気になっていた村上春樹の新刊「古くて素敵なクラシック・レコードたち」を見つけてしまいました(笑)。1万5千枚ものコレクションの中からクラシック作品100曲について全部で486枚をとりあげて村上さんの思いを綴るエッセイです。ちなみに、表紙の上の段の真ん中にあるLPはグレン・グールドです。
 1曲について4,5枚のLPがジャケットの写真付きで紹介されている本をぱらぱらめくりながら、のんびり拝見しました。そこには、私の手元にあるLPもちらほら。とりあえずフォーレのレクイエム作品48のうち、アンドレ・クリュイタンス指揮、パリ音楽院管弦楽団Angel(1962年)を取り出して聴いてみました。
 このレコード、村上さんは高校生の頃に初めて出会い「フィッシャー・ディスカウとロス・アンヘレスの歌唱が比類なく素晴らしく感動した。何度も繰り返し聴いた」と記しています。ところが私はと言えば、多くの時間を共に過ごした彼女と別れて心が萎えていた学生時代に聴きました(笑)。聴く側の心の在り様はまったく違います。でも、若き日に同じLPを聴いていたことになります。こんなお爺さんも、今夏71歳になります。

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6 コメント

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フォーレいいですね (watari25)
2021-08-09 17:35:20
こんにちは!

大学時代に初めて知った曲です。
クラシック喫茶で聴きました。毎年年末、クリスマスの頃聴きたくなります。

ちなみに高校時代フルベンにはまりました。
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懐かしいクラシック喫茶 (ran_coffeebreak)
2021-08-09 20:00:45
watari25さん
初めてのコメントをありがとうございました。

そうですか。フォーレとの出会いは学生時代ですか。みんな同じですね(笑)。

クラシック喫茶という言葉、懐かしいです。私は、京都河原町にあった「夜の窓」によく行きました。大きなスピーカーがどんとあって、小さな中庭の風景に秋の気配を感じながら、ぼんやりとクラシックの曲を楽しんだことがありました。残念ながら喫茶「夜の窓」は、ずいぶん前に姿を消してしまいました。

高校時代にはフルトヴェングラーも楽しまれたんですね。先週の記事で紹介した脇先生の岩波新書「フルトヴェングラー」をご覧ください(笑)。政治学者の丸山先生とその弟子・脇先生、そして芦津先生の座談会という、一風変わったフルベン談義が楽しめるかも。

ご覧のとおりの拙いブログですが、今後ともよろしくお願いします。
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ありがとうございます (watari25)
2021-08-09 21:02:35
「音と言葉」という本は大切に持ってますが、岩波新書の本はぜひ手に入れたいと思っています。

また、あなたさまのブログ楽しみにさせていただきます。

ちなみに私が聞いた音楽喫茶は大阪梅田から少し行ったところでしたか・・・「日響」だったと思います。
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Unknown (momomeiai)
2021-08-13 19:19:27
LPは、袋から出して盤を拭いて、針を下ろして、アンプのボリュームを上げてと、聴くまでの作法があって楽しいです。
この頃、たまにレコード聴いています。クラッシックよりも、南沙織とかシモンズとかが、昔の風景が思い出されます。
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Unknown (momomeiai)
2021-08-13 19:21:03
ああ、クラッシックは、ジョージ・セル、ファンです。
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コメントをありがとうございます。 (ran_coffeebreak)
2021-08-13 22:35:32
momomeiaiさん
初めてのコメントをありがとうございました。

そうですね。おっしゃるように、LPはジャケットから出して、盤の状態を確かめて、ターンテーブルに乗せ、ゆっくり針をおろしていく。そんな作法(笑)が、気持ちを高めていきますね。

私はLP、CD、そしてハイレゾ音源を、その日の気分にあわせて聴き分けていますが、アナログのやさしい温かさが気に入っています。多くはクラシックになりますが、ジャズもそこそこあります。こちらも気分次第ってところでしょうか。

さきほどブログにお邪魔させていただきましたが、落語がお好きなようですね。以前、ご近所の方から「NHK上方落語名人選」(LP10枚組)をいただきました。まだすべては聞いていませんが、時々楽しんでいます。

今後ともよろしくお願いいたします。
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