暑さも峠を越えて朝夕ずいぶんしのぎやすくなってきました。都会地なのに珍しくツクツクボウシが鳴いています。
最近けっこう雨が降りましたから、疲れ果てた庭の草木も徐々に元気を取り戻しています。この春、一心寺の境内で拾った種から育てたジャカランダの苗木も、元気に夏を乗り越えました。裏庭では、無花果の実が食べ頃を迎え、もぎ立ての実が食卓を賑わせます。
そんな季節の僅かな変化を感じながら、今週は比較的ゆったりまったりの日々を過ごしました。NPOの仕事も峠を越えたからでしょうか。ここ数日の睡眠時間は8時間前後、そのうえお昼寝までしてご老人そのものです。それでも今日は、久しぶりにフランス文学講座を受講してきました。
そんなある日、山本能楽堂の「能からみた日本の宗教vol.2」に出かけました。この日の演目は能「三輪」。大和の国(奈良)の三輪山に住む僧侶・玄賓の元に現れた三輪大明神のお話しです。初め、前シテの里女は比較的地味な装束をつけていましたが、後半に場面が変わって三輪明神として再登場するときは十寸髪の面をかぶり、頭には烏帽子、長絹を羽織った巫女の姿に。能舞台というシンプルな空間の中で、お面や装束が生き生きとしていました。
終わった後のトークショー(山本章弘×釈徹宗×安田登)で面白いお話しがありました。東京からお越しになった能楽師・安田登さんは宝生流の能楽師、かたや山本章弘さんは観世流能楽師。同じお能でも流派によってセリフが微妙に違うのだそうです。だから演者同士の会話が成り立たないことも。う~ん。やっぱりお能は奥が深い。
この日は、これで終わりではありませんでした。「オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ Osaka Metro コンサート2022」の招待券をもって、急ぎフェスティバルホールに向かいました。7月頃Osaka Metroの吊り広告で見つけた、抽選によるご招待コンサートです。
オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラってなんだろうと思いつつパンフレットを見ると、なんと1923年(大正12年)に誕生した歴史ある交響吹奏楽団(旧大阪市音楽団)でした。民営化の流れのなかでOsaka Metroとの間でパートナーシップを結び、互いに「大阪を元気にするため」に頑張っているのだと。久しぶりに本格的な吹奏楽を聴いて、ついつい高校生の頃ブラスバンド部に所属していた当時のことを思い出しました。中国地区大会出場めざして暑い暑い夏を過ごしました。
高校生といえば、夏の終わりの夕暮れどき、哀愁を帯びたツクツクボウシの鳴き声を耳にしながら、机に座ってその後の人生のことを思いめぐらしたことがありました。あれから55年。世の中も私自身も大きく変容を遂げたことになります。
8月も残りわずか。この夏はNPOの仕事やらなにやらとありましたので、遠出もせず大人しくしていました。秋を前にここいらで気分転換をしてきます。明後日から青森へ2泊3日の小旅行です。温泉宿に連泊して、ツクツクボウシと戯れて来ようと思います。