心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

高野山夏季大学を受講してきました。

2022-08-11 20:01:19 | Weblog

 大暑を過ぎ立秋を迎えたというのに、本当に暑い日が続きます。大きな入道雲が現れ、夕方には時々雷さまがお怒りになることもある、そんな盛夏に、私は72回目のお誕生日が間近に迫っています。5月に発表された平均寿命は82歳(男性)のようですから、何もなければあと10年は生きながらえることができるのでしょうか。
 そんな暑い都会地を離れて、先日、第96回高野山夏季大学(主催:毎日新聞社・総本山金剛峯寺)に行ってきました。2回目の受講になりますが、この夏季大学は大正10年(1921年)に始まり、途中、日中戦争と第二次世界大戦、そして今般のコロナウイルス感染対策と、過去三度にわたって中止されたものの、開講以来100年を超える市民講座の草分け的な存在です。今回は募集定員をコロナ前の半分400名に抑えての開催となりました。会場の高野山大学松下講堂黎明館には全国から多くのシニア世代の方々がお集まりになっていました。
 和歌山県の高野山に登ってまず気づいたのは、とにかく涼しいことでした。標高900メートルのところにあって、昼間でも27度を超えることはなく、夜になると22度まで下がります。そして清々しい空気感が気に入りました。聖地らしい雰囲気が漂っていて、早朝誰もいない伽藍を気持ちよくお散歩ができました。
 2日目の午後には、高野山霊宝館や総本山金剛峯寺、檀上伽藍界隈をガイドさんの案内で見て回ったり、写経会などのプログラムもあります。その前に、ちょっくら奥の院まで足を伸ばし、遅ればせながら1年半前に結願した歩き遍路の御礼参りをして、納経帳に二度目のお印をいただきました。
 さて、講座の方は、受講生も私とほぼ同世代の方々ですから、皆さん熱心に静かに講演をお聞きになっている姿が印象的でした。私も、講師の方々のお話しに耳を傾けながら改めてこれまで歩んできた人生を振り返ることができたように思います。
 初日は、滋賀県の行政職からオペラ専用のびわ湖ホールの館長に転任されこの春退任された山中隆さんのお話しを興味深くお聴きしましたし、精神科医の名越康文さんからは「空海と心理学」についてお話しをいただきました。
 二日目には、夏井いつきさんから俳句のお話し、古市忠夫さんからは阪神大震災の復興に尽くしたあとプロゴルファーに転身されたお話し、プロデューサーでclubwillbe代表の残間里江子さんからは「人生はまだ見ぬ自分に出会う旅」、女優でUNDP親善大使の紺野美沙子さんからは「今、私たちにできること~「星を見ている」朗読とともに~」をテーマにお話しを伺いました。
 紺野さんには、広島原爆で子を亡くした母の手記をベースにした「星を見ている」を映像を交えて40分ほど朗読いただきましたが胸に迫るものがありました。最後にご紹介された映像監督のご努力で、広島原爆記念日の8月6日に間に合わせることができたとのこと。今後は各地で上演される予定で、YouTubeにもアップされると伺いました。
 そして最終日は、神戸大学教授の中屋敷均さんから「合体する生命~ウイルスと私達~」、高野山大学教授・副学長の松長潤慶さんから「密教 海のシルクロードを渡る」についてお話しを伺いましたが、お二人に共通していたのはウイルスにせよ人間にせよ、不完全な個体同士が繋がることで生きている、他者との関係性のなかで初めて生存が可能となる、そんなお話しだったように思います。旅のお供に読んでいた松長有慶著「空海」(岩波新書)の中にも「自と他の関係」が取り上げられていましたから、妙に納得した次第です。
 こうして、あっと言う間の3日間が過ぎていきました。今回はコロナ対策のため個人参加者の宿坊斡旋はなかったので、ゲストハウストミーさんのお世話になりました。コロナ前は外人さんで大賑わいだったようですが、この時期です。ゆったりした部屋にWi-Fi完備の環境で独り旅を満喫しました。来年も高野山夏季大学の参加しようと思っています。
    さあて今日からお盆休みに入りました。特段に遠出の予定はなし。夕方に横浜の孫娘とLINEのビデオ通話でしばし歓談。明日は、京都の下鴨納涼古本まつりに出かけ、そのあと知恩院にお参りに行く予定です。

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