暑さも峠を越える時季「処暑」を迎えたというのに、そんな素振りすら見せない今日この頃です。いつもどおり1時間ほど朝のお散歩にでかけると全身たっぷりと汗をかきます。家に帰って冷水シャワーを浴びてひと息。さっそく定例のブログ更新に入りました。
そんな8月下旬の日曜日、初めて「新作能」なるものを観てきました。山本能楽堂で上演された新作能「オルフェウス~森は深々と。光を受けて輝けり」です。ギリシャ神話の「オルフェウス」を題材に、2019年9月ブルガリアの古代ローマ劇場「プロヴディフ」で初演されたもので、今回もヨーロッパ三大演劇祭のひとつ、ルーマニアのシビウ国際演劇祭に日本からオンライン参加です。
曲のあらすじを案内チラシからご紹介すると、ざっと以下のとおりです。
名を得た琴弾きが旅の途中、山の中で不思議な老人に出会う。ところが琴弾きは、美声の持主である老人の歌声に音を合わせることができない。老人から「慈しみの気持ちをもって奏でること」だと教えられる。そこで琴弾が、慈しみの気持ちをもって竪琴を奏でると歌声に調和した優しく美しい音色を奏でることができた。老人は神代の琴弾き(オルフェウス)だった。夜に入って、神代の琴弾き(オルフェウス)は、妻である森の精霊(エウリュディケー)を伴って現れ、共に舞を舞う。ついで神々の使い(ヘルメス)が竪琴を携えて現れ、その竪琴を琴弾きに授けて夜明けとともに姿を消す。森は朝日に輝いていた。
上演中には、ハープ奏者の松岡莉子さんが神代の琴弾(オルフェウス)を彷彿とさせる美しいハープ演奏で場面を盛り上げるなど、古典作品とはひと味違う能の世界を楽しみました。
「能は14世紀に成立した日本の古典詩劇」であるとは多田富雄先生の言葉(「能の見える風景」)ですが、完成度の高い曲目ばかり演じていては能という芸能から活力が失われかねないということで、明治以降新しい曲目が創られ上演されるようになりました。それが「新作能」と言われるものです。
ちなみに、2年前の9月にブルガリアで現地の人たちと演じた際の映像がYouTubeにアップされていましたので、ご関心のおありの方はご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=IDaTd5LHqq8
この日は、山本能楽堂に行く前、コロナのため長い間大阪市内に出かけなかった家内を連れて義妹のお墓参りに一心寺に行ってきました。その帰り道、四天王寺さんに立ち寄ってみると、太子会の骨董市が開かれていました。
コロナ禍での開催でしたから、いつもの賑わいはありませんでしたが、ぶらりお店を覗いてきました。そこで出会ったのが能面です。木彫りの本格的なお面は庶民には手が出ません。お手頃な能面から「翁」をいただいて帰りました。
ここで話はがらりと変わります。きのうの読売新聞夕刊に「朝比奈隆 偉大なる遺産」と題する記事が載っていました。それに触発されて手にしたのが、大阪青年会議所創立25周年記念(1975年)レコードでした。その1枚目に交響幻想曲「淀川」があります。淀川改修100年を記念してお披露目された曲です。
作曲は位相解析学の世界的な数学者でもある大阪市立大学教授の松下眞一先生。演奏は朝比奈隆指揮、大阪フィルハーモニー管弦楽団、合唱は大阪女性合唱団・相愛女子大学合唱部・関西学院グリークラブとあります。淀川の源流から河口までを4楽章に分けて描くこの大曲、「淀川賛歌」の合唱でフィナーレを迎えます。大阪府民の母なる河「淀川」。昨夜、そのLPに久しぶりに針を降ろしました。
さあて、緊急事態宣言期間の延長で、ここ当分、目立った予定はありません。かと言って遠出をするわけにも行かず、さあてどうしたものか。ゆったりまったりの日々を過ごすことにいたします。