心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

老犬と暮らす日々

2016-02-13 22:33:49 | 愛犬ゴンタ

 雨が降るようで降らない、そんな一日かと思いきや、夕方からは本降りになりました。お天気お姉さんに間違いはなさそうです。そんな土曜休日の朝、春を思わせる暖かさに誘われて、ゴンタ爺さんとお散歩にでかけました。いつもは、お布団の中で眠っていることが多いので、全身を動かすお散歩は欠かせません。でも、しんどくなると、散歩の途中でも道端にごろんと横たわってしまいます。それをなんとか起こしてお家まで歩いて帰ります。16歳。犬年齢93歳。少しでも長く生きてほしいから。....ところがゴンタ君、夕食に出た鳥の唐揚げをおすそ分けしたら、自力で立ち上がりました。「凄い!」。老夫婦の感嘆の声でした。(笑)

 お散歩から帰ると、身体を洗ってあげました。暖かい温水をかけながらシャンプーです。若い頃のように、毛がふさふさしているわけではなく、ずいぶん痩せてきたので壊れそうな骨格ですが、労わるようにお湯をかけてやると、目を細めてお風呂を楽しんでおりました。
 そんな2月の半ばの土曜休日ですが、家内お手製のお花をみると、菜の花畑でした。そのうえ、最近やりだしたという折り紙で、お雛さまが飾ってありました。なかなかの腕前です。聞けば、来月から仲間を集めて折り紙サークルを作るのだそうです。
 さて、ここで話題をがらりと変えます。先日、仕事帰りに梅田「阪急古書のまち」を通り過ぎようとして、一軒だけ気になって立ち寄りました。藤沢書店です。入口のところに廉価本コーナーがあって、時々面白そうな本に出会うことがあります。その日出会ったのはダンテの「神曲」でした。この本、岩波文庫などで何度か読み始めようとしましたが、日本の風景とはあまりにも違うので、その都度中断でした。今回見つけたのはB5版サイズで読みやすく、またギュスターヴ・ドレの挿画付きです。1989年出版。定価3800円のところ800円でのご購入でありました。

 「神曲」は、暗い森の中に迷い込んだダンテが、古代ローマの詩人ウェルギリウスと出会い、彼に導かれて地獄、煉獄、天国の国を遍歴していくという不思議な物語ですが、仕事をしていると真剣に読み進む心のゆとりがないのも事実です。でも、この本は、文字が強調されていたり、挿画が入ったりで、なにやら楽しい装丁になっています。ここ数日、眠る前のひとときを楽しんでいます。
 そうそう、数日前、真夜中に目が覚めたので、枕元にあるラジオのスイッチを入れたら、ちょうど午前4時のニュースが流れていました。ラジオ深夜便「明日へのことば」の時間が始まろうとしていました。その日は、主婦・大学聴講生 内山章子さんのご登場で、「いつまでも”学びの心”を」がテーマでした。この人はいったい誰?そのまま聞いていると、なんと鶴見和子と鶴見俊輔の妹さんでした。姉、兄と違い、戦後の混乱期、満足な大学教育を受けられない世代。ご両親の介護に多くの時間を費やし、近年では、京都・宇治のゆうゆうの里に入居した鶴見和子の介護と看取りに尽くされた。「公人」と定義する姉・和子の最後の言葉は「怖いお姉さんでごめんね。ありがとう。サンキューベリーマッチ」だったのだと。三回忌を機に「鶴見和子病床日誌」を自費出版されたようです。80歳を超え、今もなお元気で日々楽しく学んでいらっしゃるご様子の内山さん。その前向きな生き方についつい聴き入ってしまいました。ここ数週間続いた鶴見ワールドは、まだまだ広がりますが、ここで小休止です。当分の間、ダンテの「神曲」と戯れることにいたします。

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