前回に引き続き、ジョイス・ディドナートさんの教え、その2。
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(2)The work will never end.
とにかくやりつづけるしかない、ということです。ようやく卒業式の日を迎えてほっと一息ついている今日のような日に、こんなこと言われると皆さんうんざりしてしまうかもしれませんね。でもね、将来何かとんでもないことが起こった時、そう、そういうことって必ず誰にでもあるのよ、それも何回もね。例えば予想もしなかったほどの大ヒットに恵まれるとか、心がちぎれそうになるほど辛い大失敗をしてしまうとか、そういうことがあなたに起きた時に、ありのままの本来の自分を取り戻すためにはどうしたらいいか、私が学んだのはね、これはもう、ただ自分がそれまでやってきた普段の練習に戻るということ、これなんです。ほかの色んなことも試してみましたけれど、これが一番いい方法ね。シンプルにいつも通りの練習に戻るんです。その中にこそ慰めがあって、真実があるんです。ピアニストなら鍵盤に向かい、バレエダンサーならバーに手を添える、そしてバイオリニストなら弓を片手に弦をかき鳴らす。いつでもどんなときでも自分の本分に立ち帰って、その曲、そのときの胸の鼓動、セリフ、そしてリズムを通じて、またきっと立ち直ることができると信じることです。辛抱強く、決して諦めないでください。時にはもうそんなこと無理、というような気分のときもあるでしょう。でも、あなたが戻る場所は、そこなんです。そしてそれはいつでも常に、そこにあるのだということを知っておいてください。必要なことというのはたった一つです。あなたがまだずっと若かった頃、初めてあなたが芸術の魅力を発見して感動した時のように、ありのままの素直な自分に立ちかえることなのです。あなたがこれまでに身に付けてきた様々な技術の上に、あの頃の、あの純粋無垢で子供のような感受性を足し合わせてください。そうしてもう一度あの時の感動を取り戻すために、必要なことはとにかく何でもやってみるんです。それを続けていけば、どうすれば自分自身を取り戻せるか、生きぬいていけるか、そして何物にもとらわれずリラックスすることができるか、その方法を学ぶことができるでしょう。あなたの芸術、そして人生そのものにとってかけがえのない「自由」というのものが、まさにそこに存在するのです。
「ジュリアード音楽院卒業式祝辞 by ジョイス・ディドナート」より
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これもまた、ものすごく共感できるお話ですね。長い人生、色んな事があります。泣いたり笑ったり、舞い上がったり絶望したり。でも大事なことは過剰反応して不安定になった心から平常心に戻ることだと彼女は言います。そしてそのためのベストの方法は、いつも通りの練習をする、これを続ける。これしかないのだ! というのです。だから "The work never end." なんです。ジュリアードで鍛えられてやっと卒業の日を迎えた学生たち、解放感に浸っているに違いないと思われます。長く苦しい練習やお勉強もこれで一段落と。そんな学生さんたちを前にしてディドナートさん、甘いわよ、それはこれからもずっとずっと続くし、続けなきゃいけないと言ってるのです。
ディドナートさんが声楽を学んだのは地元カンサス州の大学でした。卒業後は様々なオペラカンパニーのオーディションやコンクールに挑戦しましたが、結果は決して芳しいものではなく、苦難の時代が続きました。そんな彼女がくさらず、あきらめず、努力を続けてついに今日の地位を得たのです。ジュリアードの卒業生たちを前にして彼女は、自分には名門ジュリアードに進学するなんていうことはまったく考えられなかった、自分は当時とてもそんなレベルには達していなかったと率直に語っています。そんな彼女がこの日、ジュリアードから名誉博士号を授与され、卒業生たちを前にして記念スピーチを行ったのです。こんな日が来るとは彼女自身、夢にも思っていなかったことでしょう。次回、ディドナートさんの教えその3はこちら。
Drama Queens Carnegie Hall 2012
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(2)The work will never end.
とにかくやりつづけるしかない、ということです。ようやく卒業式の日を迎えてほっと一息ついている今日のような日に、こんなこと言われると皆さんうんざりしてしまうかもしれませんね。でもね、将来何かとんでもないことが起こった時、そう、そういうことって必ず誰にでもあるのよ、それも何回もね。例えば予想もしなかったほどの大ヒットに恵まれるとか、心がちぎれそうになるほど辛い大失敗をしてしまうとか、そういうことがあなたに起きた時に、ありのままの本来の自分を取り戻すためにはどうしたらいいか、私が学んだのはね、これはもう、ただ自分がそれまでやってきた普段の練習に戻るということ、これなんです。ほかの色んなことも試してみましたけれど、これが一番いい方法ね。シンプルにいつも通りの練習に戻るんです。その中にこそ慰めがあって、真実があるんです。ピアニストなら鍵盤に向かい、バレエダンサーならバーに手を添える、そしてバイオリニストなら弓を片手に弦をかき鳴らす。いつでもどんなときでも自分の本分に立ち帰って、その曲、そのときの胸の鼓動、セリフ、そしてリズムを通じて、またきっと立ち直ることができると信じることです。辛抱強く、決して諦めないでください。時にはもうそんなこと無理、というような気分のときもあるでしょう。でも、あなたが戻る場所は、そこなんです。そしてそれはいつでも常に、そこにあるのだということを知っておいてください。必要なことというのはたった一つです。あなたがまだずっと若かった頃、初めてあなたが芸術の魅力を発見して感動した時のように、ありのままの素直な自分に立ちかえることなのです。あなたがこれまでに身に付けてきた様々な技術の上に、あの頃の、あの純粋無垢で子供のような感受性を足し合わせてください。そうしてもう一度あの時の感動を取り戻すために、必要なことはとにかく何でもやってみるんです。それを続けていけば、どうすれば自分自身を取り戻せるか、生きぬいていけるか、そして何物にもとらわれずリラックスすることができるか、その方法を学ぶことができるでしょう。あなたの芸術、そして人生そのものにとってかけがえのない「自由」というのものが、まさにそこに存在するのです。
「ジュリアード音楽院卒業式祝辞 by ジョイス・ディドナート」より
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これもまた、ものすごく共感できるお話ですね。長い人生、色んな事があります。泣いたり笑ったり、舞い上がったり絶望したり。でも大事なことは過剰反応して不安定になった心から平常心に戻ることだと彼女は言います。そしてそのためのベストの方法は、いつも通りの練習をする、これを続ける。これしかないのだ! というのです。だから "The work never end." なんです。ジュリアードで鍛えられてやっと卒業の日を迎えた学生たち、解放感に浸っているに違いないと思われます。長く苦しい練習やお勉強もこれで一段落と。そんな学生さんたちを前にしてディドナートさん、甘いわよ、それはこれからもずっとずっと続くし、続けなきゃいけないと言ってるのです。
ディドナートさんが声楽を学んだのは地元カンサス州の大学でした。卒業後は様々なオペラカンパニーのオーディションやコンクールに挑戦しましたが、結果は決して芳しいものではなく、苦難の時代が続きました。そんな彼女がくさらず、あきらめず、努力を続けてついに今日の地位を得たのです。ジュリアードの卒業生たちを前にして彼女は、自分には名門ジュリアードに進学するなんていうことはまったく考えられなかった、自分は当時とてもそんなレベルには達していなかったと率直に語っています。そんな彼女がこの日、ジュリアードから名誉博士号を授与され、卒業生たちを前にして記念スピーチを行ったのです。こんな日が来るとは彼女自身、夢にも思っていなかったことでしょう。次回、ディドナートさんの教えその3はこちら。
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