ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

ショパンの「子守歌」

2013年01月27日 | クラシック豆知識
3月1日のリサイタルのプログラム、2曲目はショパンの「子守歌」です。この曲は、大変女性にモテたと言われながら生涯一度も結婚することなく、子供もいなかったショパンが書いた唯一の子守歌です。

わずか5分程度の小曲ですが、慈愛に満ちた美しい作品です。曲の初めから終わりまで左手は一貫して同じ和声進行を一定のリズムで繰り返すバッソ・オスティナートです。8分の6拍子でゆれる揺りかごの動きをこの左手が表しています。そしてメロディをつかさどる右手の方は、優美なフレーズを次々に変奏していくという構成になっています。

ショパンの「子守歌」自筆譜

この曲はもともと作曲当初、「変奏曲」というタイトルで書き進められていたというくらいですから、右手のメロディの様々な変奏の美しさをきちんと表現することがポイントになります。いかにもショパンらしい、美しく、優しく、きれいな音で弾けるかどうかがポイントになります。いわゆる超絶技巧が要求される曲ではありませんが、それだけに一音ごとのごまかしがききません。

私がこの曲のことをあらためて好きになったのは、大分に住み始めてすぐの頃、1999年に大分の音の泉ホールで、今は亡きアリシア・デ・ラローチャの生の演奏を聴いたときです。スペイン出身の世界的女流ピアニスト、ラローチャは当時76歳。そのラローチャが弾いたショパンの「子守歌」は、身体じゅうに沁み入る愛情あふれるものでした。私はその美しさと慈愛に満ちた音楽にすっかり虜になったのでした。それまでは「ちょっと感傷的なきれいな曲ね」くらいにしか思っていなかったこの曲をこのとき見直しました。

ラローチャにはショパンと違って子供がいます。でも、若い頃から世界で活躍するピアニストとして世に出たため、あるインタビューによれば、思うようには子育てのための時間をとれなかったことを悔やんだりもしています。初めての出産の一ヶ月後には外国への演奏旅行にでかけなければならなかったほどだそうです。もしかしたら、当時自分の子供たちに聴かせてあげられなかったという切なさをこめて弾いていたのかもしれません。彼女の演奏を聴いた後、ああ、何とやさしく、悲しく美しい・・・とため息が出たのでした。

どこまでその美しさをだせるか、私も一人の母として色々な思いを込めて、この曲の存在に感謝しながら弾いています。

※追伸
スマホ、無事なおりました。ドコモショップに持っていったら、若い店員さんが、たった3秒で元通りにしてくれました。なにか「設定」がおかしかったとのことでした。私には何が何だかさっぱりわかりませんでしたが、とにかくなおって良かったです。ご心配かけてすいませんでした。

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