ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

教材

2010年11月16日 | レッスンメモ
昨今は、いろんなピアノの教材がたくさんあります。特に、小さな子供向けの初心者用教則本には、とてもたくさんの種類があります。

その昔、日本では「バイエル」という教則本がピアノ初心者用の教材として定番のように使われていた時期がありました。かく言う私自身もそんな「バイエル」世代で、最初に習い始めた時に使った教材が「バイエル」でした。けれども、私の教室ではバイエルの教則本は使いません。

その理由をまとめると以下のようになります。
①ト音記号がかなり進んだ後になってようやく、ヘ音記号が現れるので、ヘ音記号の譜読みが苦手になりやすい。

②左手は伴奏、右手はメロディというだけの形が延々と続く。

③しかもその伴奏は、ほとんどが主要三和音で構成されていて、その他の和音に対する反応が柔軟でなくなる。

④ハ長調がずい分長く続いた後になってようやく、違う調の曲が現れるので、異なる調への対応に抵抗感が出てくることがある。

親御さんの中には自分自身がバイエルで習った経験のある方も少なくなくて、「ピアノを習うならバイエルから」と思いこんでいる方もいらっしゃいます。確かにそんな時期があったのも事実ですが、クラシックの世界も一応、進化しているんですね。バッハやモーツァルトの曲自体は変わらぬままでも、その練習法や奏法については、時代とともに色んな人が新しい試みを発表して、変化し続けているのです。

では、どんな教材を使えばいいのでしょうか、現代ではかつてのバイエルのように、これ、という定番のような教材は無いように思います。逆に言うと、ありとあらゆる種類の教則本があるので、どういう観点からどういう教則本を選ぶのか、ピアノを教える側にとっては教則本選びというのがとても大事で重要な仕事になっているのです。

私の場合、お子さんによって何種類かの教則本を使い分けています。初めてピアノを習うという初心者の、しかも、小さなお子さん向けの教則本として頻繁に使うのは、バスティンのあらゆる種類、バーナム、トンプソン、三善晃ピアノメソッド、ピアノランドなどです。これらの中からその子に適した教則本をいくつか、私が選んでとりかかってもらいます。1冊だけということはありません。必ず複数の教則本を同時進行で勉強していきます。そしてさらに少し進むと、カバレフスキーなどの教則本を使います。

もちろん、これら以外にも良い教材はたくさんあって、中田喜直や湯山昭、ギロックの子供用に作られた曲もぜひ勉強してもらいたい曲です。まだまだ他にもいろいろありますが、とっかかりはこのあたりからでしょうか。今は、子供用におもしろい、優れた楽譜がたくさんあって、私たち教師側もどんどん新しい教材に触れて研究し、より効果のある教材、そしてそれぞれの生徒にあった教材の組み合わせを考えて教える必要があると思っています。

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