数日前の夕方のこと、練習の途中でのどが渇き、ピアノ室から出てキッチンにお茶を飲みに行きました。ピアノ室のドアを開けて廊下に出たとたん、ファジル・サイの素晴らしいピアノの音が耳に入りました。居間でCDが鳴っているのです。部屋では夫がステレオを聴いていましたが、なんとテレビも一緒についているのです。しかも観ているのは大相撲です。
テレビの音を消して相撲を観ながらファジル・サイのCDを聴いている・・・! あまりに無謀な取り合わせだと思って、「どっちかにしたら?」というと、「いや、これがなかなか面白いんだよ」といいます。「見て御覧!なんか回想シーンみたいだろ?」ちょうどその場面ではスローモーションになっていて、そこに抒情的なメロディーが・・・。また、次の取り組みが始まったときには、ベートーヴェンのテンペストが始まりました。行司さんが「のこったのこった!」とやっている(聞こえないけどそうに違いない)時にものすごくマッチしています。相撲は音が聞こえなくても画面さえ見ていれば理解できるし、それをこのクラシックのCDをBGMにして観るという発想にあきれたというか、驚きました。負けた力士がうなだれた表情で花道を引きあげて行くシーンのところになると、これまたぴったりのメランコリックなバラードが流れるというタイミングの良さ!!
もうおかしくておかしくて、大笑い!ものすごくウケました。こんなバカなことをやって相撲を見ている夫にもウケました。どうやら、CDを聴いているときに「あ、相撲やってる時間だ」と、テレビのスイッチをつけたら、たまたまこんなことになってしまったということのようですけど。
しかし、シューベルトを弾きながら暗礁に乗り上げていたので、気分転換にもってこいでした。ちょっと、気持ちが軽くなったのでした。皆さんも一度このシュールな体験、お試しあれ!
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