名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

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官僚の天下りあっせん年内廃止

2009-02-04 08:21:19 | Weblog
2009.2.4
 昨年末、麻生首相が官僚OBの天下りを繰り返す『渡り』の斡旋を容認する政令を作ったことから、与野党の厳しい批判にさらされてきた。
 それが昨日(3日)の衆院予算委員会において自民党の議員から頼むからやとめてくれ!と言わんばかりの懇願を受けて、とうとう麻生首相も『天下りを今年いっぱいで廃止するための政令を作る』と言明してしまった。
 この間の経緯を少し復習すると、
 渡りを含む各省庁の天下りあっせんは、昨年末(08.12.31)に施行された改正国家公務員法で禁止され、官民人材交流センターに一元化された。ただし、三年以内の移行期間中は容認され、政府はこれに沿った政令を公布した(職員の退職管理に関する政令。08.12.25公布)。この政令を巡っての攻防がこの1か月繰り返されてきたものである。
 しかしこの新たな『天下り廃止の政令』については、民主党の管直人代表代行は『法律を出し直すか、「渡り」を認める政令を廃止するなどきちんとした手続をせず、屋上屋を架す形だ』と指摘し、『本当に年内に廃止する確証があるとは言えない』と疑問を呈している。
 共産党の穀田恵二国対委員長も『官民交流センターであっせんも天下りも自由にやるという本質は何ら変わっていない。大山鳴動のたぐいだ』と手厳しい。

 ところで、官僚が独立行政法人、特殊法人、認可法人、公益法人あるいは民間企業へ天下りする数は一体どれだけあるのであろうか。1999~2003年までの5年間で民間企業に再就職した国家公務員は3027人という公表数字があり、また、2003年8月から一年間に退職した中央省庁の課長・企画官以上の国家公務員1268人のうち552人が特殊法人などの公益的な団体に再就職したと発表されている。要するに数千人規模の天下りがあることは間違いない。これに地方機関の職員の天下りを加えれば更に膨大になる。そして巷間言われているように、一つのところを退職し高額の退職金を得て、更に次のところへ天下るという『渡り』を繰り返していることも事実である。 
 こうした天下りをする理由の一つとして、各省庁の事務次官競争に敗れた者の救済策であるといわれることがる。次官の就任期間は1年ないし2年である。例外的に3年の場合があるが少ない。何人もいる同期の中から一人しかなれないのだから多くの者があぶれる。めでたく次官になれた者も同期が身近にいれば目障りである。そこでそうした者を外郭団体や民間企業に高額な給与で処遇して身の安全を図るという構図ができあがった。この仕組みは次官級だけでなく、審議官、局長、部長、課長級の各段階で昇格争いに敗れた者にも同様にあてはまることである。勿論これは動機の一つにすぎず、天下りそのものは、もっと壮大な高級官僚の利権としてとらえるべきである。
 
 さて官僚の天下りはメディアの攻勢もあって極端に忌み嫌われているが、筆者としてはこの風潮に大勢としては理解できるが、少しく違和感を覚えざるを得ない。その人やそのポストによって十分その役割を果たしている人も決して少なくないからである。長い役人生活から得た専門知識と幅広い人脈が、ある組織にとってかけがえのない場合がある。それらをすべて否定するのも大人気ないような気がしてならない。問題はその処遇の仕方にあるような気がする。外郭団体の給与などは、時々発表される数字を見ると、現役時の給与を上回っている場合が多い。また退職金も高額である。明らかに庶民感覚からずれている。現役退職時には高額な退職金を既に受けており、また年金も受給するのであるから基本的にはボランティアでも良いと思うぐらいである。事実そうした形で社会活動をしている人もいる。
 閑職にもかかわらず、高額な給与を得てのんびりとしている人もいるが、いたずらに天下りは悪だといわんばかりに貴重な人材を放置するのも必ずしも良策とは思えない。本当に役立つ人には更に働いてもらって、年金も支給される程度の給与で処遇するというのなら、国民も納得できるのではないかと思う。
 こうした議論にいかないのもなにか片手落ちのような気がしてならない。


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