名古屋から発するブログつぶて・凡人のひとりごと

身の回り、世間のできごとをを日記風に記す(紙つぶてならぬブログつぶて)。

整備したばかりの農振農地を転用のムダ

2009-03-08 09:39:30 | Weblog
2009.3.8
 今朝の中日新聞によると、愛知県刈谷市が優良農地(農振農用地=「農業振興地域の整備に関する法律(農振法)」に基づき指定された優良な農用地で、転用は厳格に規制されている)の土地改良事業完了から一年もたたないうちに工業団地化の構想をまとめ、転用の事前相談を受けた東海農政局も完了から三年後、許可する見込みを伝えていたことが分かった、と報道している。
 計画地は刈谷市の農地の6.2ヘクタールで、安城市にまたがる約120ヘクタールの広大な農地と地続きの「日本のデンマーク」と呼ばれる農業地帯の一角である。この一帯では、明治用水から引いた用水路をパイプラインで地中化する約5億円の土地改良事業が行われ、つい最近の2004年3月に完了した。この経費の9割が税金である。農振法施行令では、8年以内での転用を禁じているが、市町村が『地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画』(通称・27号計画)を策定すれば、8年以内でも転用できるという例外規定がある。
 刈谷市は『工場で働く零細農家が耕作をやめ、大規模農家に農地が集まる』として27号計画により、冒頭のような工業団地化の実現に動いたというものである。
 しかし現状では、計画地の地主16軒のうち5軒がまだ同意の判を押していないという。農家の一人は『これだけ広く農地が残っている場所は、いまや貴重。安心して農業ができると思っていたのに』『土地改良すれば、開発されないと聞いていた。工場が建てば、環境が悪くなる』と怒っている。
 刈谷市は「トヨタの急激な増産で市内の工業団地が不足し、関連工場が市外に流出するのを防ぐため』と工業団地化の狙いを言っているそうだが、自治体自らが金さえ儲かれば何でもするという驚くべき姿勢である。農地を守り、環境を保全するという新しい時代の流れを全く把握していないし、町づくりの展望がゆがめられているとしか言いようがない。
 また、億単位の補助金を出しておきながら、それをドブに捨てるような形で刈谷市の言い分を聞いてしまう東海農政局もなんとしたことか。筆者は数ある省庁の中で、日本の農業をダメにしてしまった農林水産庁ほど国民にとって有害なお役所はないと思っているが、本省だけでなく、支局でもやはり『同じ穴のむじな』であった。
 トヨタがこけて、経済破綻の著しいこの時期、こんな計画はきれいに見直す絶好の機会である。そもそもなんでも集中しすぎると必ず破裂するというのはものの道理である。刈谷市民も目先の利益だけに目を奪われないで、行政に対してもお任せでなく、しっかり監視してもらいたい。この事態は、よその町のこととして傍観していられない『事件』である。