本日は、第5章の(5)、最後になります。
「NHKの説明」は、次の通りです。
「昭和天皇が、再軍備や憲法改正の必要性に言及していたことに対する 、『拝謁記 』の分析に当たった専門家の見方です。」
(5)の内容は、下記5項目です。
◦ 驚きだが、気をつけて見るべき
◦ 国際政治の冷厳な現実を重視
◦ 主権国家なら、当然と言うこだわり
◦ リアリスト昭和天皇の、安全保障論
◦ 国際政治の冷厳な現実を重視
◦ 主権国家なら、当然と言うこだわり
◦ リアリスト昭和天皇の、安全保障論
◦ 大局的に考えている
【 驚きだが、気をつけて見るべき 】・・・ ( 日本大学・古川隆久教授の話 )
「昭和天皇が、戦前の軍隊に否定的な考え方だった、ということは、」「これまでの資料から、ある程度わかっていたが、」「改憲や再軍備に言及していたことは、今回の『拝謁記』で、初めてわかったことだ。」
「これは一般の人だけでなく、研究者もかなり驚くと思うが、」「どういう文脈で、具体的にどういう内容を言っているかを、」「気をつけて、見ていく必要がある。」
相変わらず、氏は敬語を使いません。こういう言い方を嫌悪される方もおられると思いますが、「たかだか私大の一教授が、陛下をここまで上から目線で語れるのか。」と、これが正直な気持ちです。
「改憲と言っても、自衛隊的なものを作ることを、憲法上認めるということで、」「国民主権や、象徴天皇の枠組みを変えるところまでは、言っていない。」「再軍備といっても、戦前の日本軍のようなものを、再現しようと言っているわけではないし、」「外国に侵略できるような、あるいは、日本の国政を左右するような、軍隊ではない。」
「昭和天皇は、旧軍に関しては、ものすごく批判的で、」「同じような軍隊を再現する気が、全くないということは、」「ちゃんと、押さえておかなければならない。」
氏は、NHKに協力した四人の学者のリーダー的役割をしています。いわば、このヘドロ番組を作った悪臭の発生源です。敬語も使えない人物の話を黙っていると、国民の役目が果たせない気がしてきます。
氏の意見のポイントを、つぎの4点に絞りました。
1. 陛下は、自衛隊的軍隊を考えておられる。
2. 陛下は、旧軍に対してものすごく批判的で、戦前の様な軍隊の再建は考えておられない。
3. 陛下は、外国に侵略できる様な軍隊を、考えておられない。
4. 陛下は、国政を左右する様な軍隊は、考えておられない。
市場の魚屋の親父さんたちが、飲みながら政談をしているのなら聞き流せますが、公共放送の電波を使い、教授の肩書きで放談をするのは見過ごせません。
1番目の「自衛隊的軍隊」とは、どういう意味でしょう。専守防衛、シビリアン・コントロールという、二つの原則に縛られた自衛隊は、世に言う軍隊ではありません。
専守防衛とは読んで字の如し、攻撃されるまで反撃できない意味です。中国と北朝鮮のミサイルが、合わせて300発、日本に照準を合わせています。核を搭載したミサイルが、一発でも日本を攻撃すれば、広島、長崎どころの被害でありません。自衛隊の基地付近に着弾したら、自衛隊が壊滅します。
専守防衛では、領土も国民も守れないだけでなく、肝心の自衛隊も失います。世界広しといえども、こんな軍があるのは日本だけです。攻撃される前に敵を叩いたら、戦闘行為でなく、一般人の殺人として裁かれる日本です。
誰が、何時命令したのか、その命令は妥当か否かなど、自衛隊にはたくさんの制約があり、容易に動けません。世界の他の国では、軍人の行為は軍事法廷で裁かれます。兵士は刑法の殺人犯でなく、国のため戦った人間として軍の裁判を受けます。自衛隊員が戦闘に参加すれば、一般人の殺人罪が適用され、軍人の扱いは受けません。
この非常識が、敗戦後の日本では「常識」とされています。
国民の命も、領土も守れない自衛隊的軍隊を、陛下が考えておられると、氏はどこからこの意見を引き出したのでしょうか。
2番目の主張も、お言葉からは導かれません。陛下は、「暴走する軍閥」を否定されていますが、「国を守る軍」は否定されていません。それだけでなく、国の独立には軍が必要であると言われています。旧軍全体の否定でなく、旧軍の中の「軍閥」を否定されているのです。
3番目の主張も、日本的拡大解釈です。中国と北朝鮮のミサイルが、日本に照準を合わせているのなら、発射される前に叩かなくてなりません。日本を破壊しようとする破壊兵器なら、領海を出て、基地を攻撃しなくてどうするのでしょう。これを、緊急事態と言うのではないでしょうか。
陛下がご存命の頃は、中国・北朝鮮のミサイルが知られていなかったため、言及されていないだけです。敵基地攻撃のため領海を出ることが、なぜ即座に「侵略」という言葉に置き換えられるのか。氏の意見の方が、時代遅れの古雑巾みたいなもので、あちこち擦り切れ、ものの役に立ちません。
4番目も、拡大解釈です。陛下は、暴走する軍閥が、国政を左右した過去を否定されています。世界のどこの国においても、軍の行動は国政を左右します。政治の未熟な国では、軍人がクーデターを起こし国政を我が物にしています。
動き出せば、軍は必ず国政を左右しますから、いかにコントロールするかが各国の工夫です。節度のある軍にするためには、「愛国心」「ご先祖への感謝」「皇室護持」など、日本人の歴史と伝統が、国民と軍に共有されることが基本になります。
ここを語らない学者の意見は、言わせてもらえば空論です。
「世の中の事は、全部正しいとか、全部正しくないという事は、まづないので、」「一部は真理をいうが、一部の不完全は免れぬ、と言うのが物の常。」
一部の理屈で全体を否定してはならないと、陛下が語られています。お言葉の一部を取り出し、都合良く解釈し、国民の電波で発信する行為は立派な犯罪でょう。まして、お言葉を勝手に作り変える行為は、国民への反逆と呼べるのではないでしょうか。
NHKに協力する反日教授と庶民の常識の間には、埋められない断層があります。