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文明の衝突 - 26 ( 日本国憲法と、アメリカの国民感情との断層 )

2019-11-09 13:15:50 | 徒然の記
 氏の意見を紹介する前に、息子たちに「日本国憲法」の前文の一部を紹介しようと思います。
 
 「日本国民は、恒久の平和を念願し、」「人間相互の関係を支配する、崇高な理想を深く自覚するのであって、」「平和を愛する諸国民の、公正と信義に信頼して、」「我らの安全と生存を、保持しようと決意した。」
 
 「われらは平和を維持し、専制と隷従、」「圧迫と偏狭を、地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、」「名誉ある地位を、占めたいと思う。」
 
 「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげて、」「この崇高な理想と、目的を達することを誓う。」
 
 かって私も、この言葉に感動した時がありました。理想の素晴らしさに感激し、今も憲法を死守するという国民がたくさんいます。冷静に読みますと、文章自体は酷いもので、アメリカに渡された英文を急いで訳したとしか思えない、おかしな日本文になっています。石原慎太郎氏に指摘されるまでもなく、そのことは分かります。
 
 米国の著名な政治学者である氏が、著書のどこで、日本国憲法の素晴らしさについて語っているのでしょう。わが国の善良な人々が、世界に類のない「憲法」と崇めていますが、この憲法を日本に与えた米国人の一人である氏が、これほどぶ厚い本の中で、一言も言及していないのはなぜでしょう。
 
 文明の衝突という視点で歴史を眺めている氏には、日本国憲法が論評に値しないのです。繰り返す文明の衝突を見れば、「平和を愛する諸国民」は、世界のどこにもいません。諸国民の公正と信義を信頼し、自分たちの安全と生存を預けようと、そんな決意をする人間は、日本以外にいません。
 
 理想と崇高な目的はいつの時代にあっても、闇夜を照らす明かりです。しかし一方で私たちには、現実を見る賢さも必要です。お人好しの善人では、国際社会で生き抜けません。
 
 昔大宅壮一氏が、テレビに毒される日本人を評して、「一億総白痴化」と言ったことがあります。このまま国際社会の現実に背を向け、国を破滅させる「憲法」を、神のように崇め続けるというのなら、日本国民は、「一億総お花畑」ということになります。というより、すでにそうなっていることを氏が教えています。
 
 「日本は、国内の米軍基地を、」「対中軍事行動に使用するのを、禁じるが、」「アメリカはその禁止を、無視する。」「そこで日本は、中立を宣言し、米軍基地を制裁隔離する。」
 
 「日米安保を堅持すれば、日本の平和と安全は守られる。」と、保守政治家の多くが強調しますが、氏は日本人を信じていません。米中が戦端を切れば、日本はどっちつかずの「中立」になり、米軍基地の使用を禁止すると、そう考えています。実際に日本の政治家が、どのような判断をするのかは分かりませんが、米国の学者に信頼されていない事実だけは知っておく必要があります。氏がジョンソン政権と、カーター政権に関わった人物だという事実も忘れてはいけません。
 
 「中国とアメリカは、互いに相手の領土に届く、ミサイルを所有しているので、」「相殺効果が生じ、戦いの初期に核兵器は使われない。」「核攻撃に対する恐怖感は、どちらの国にもあり、」「とりわけ、アメリカに強い。」「やがて多くのアメリカ人は、どうして自分たちが遠いアジアのため、このような危険にさらされるのかと、」「疑問を抱き始める。」
 
 「南シナ海やベトナム、ひいては東南アジアの全域を、」「中国が支配したとしても、大したことでないではないかと思い始める。」「中国の覇権主義勢力を打ち負かすには、」「あまりにも負担が大きい、この辺で終止符を打とうではないかということだ。」
 
 アメリカを第一とし国益を優先させれば、こうした考えが出てくるのは当然です。もともとアメリカはモンロー主義の国で、他国に干渉しないという文化を持っていましたから、氏の意見が的外れとは言えません。的外れどころか、現実に台湾と尖閣問題で米中が激突したら、米国は日本を守らないということが語られています。
 
 20年前の予測ですから外れているものもありますが、アメリカの外交姿勢の基本は変わりません。
 
 「いざとなったらアメリカは、自国ファーストの国になる。」「日米同盟があっても、核戦争の危機となれば日本を守らない。」「というより、守れない。」
 
 氏の意見の正しさが、ロシアとウクライナの戦争で証明されました。プーチン氏が核攻撃を示唆しただけでバイデン氏は腰砕けになり、ウクライナへの支援をやめました。まして日本のためにおや、です。
 
 スペースの都合で、続きを次回としますが、聞く価値のない氏の推測と思う方は、スルーしてください。ただし息子たちは、父の後をついて来てきてください。
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