■ Mozart ピアノソナタ の源泉も Bach - その2 ■
2011.10.24 中村洋子
★「 Invention インヴェンション 6番 」 の、右手上声は、
e2→ dis2→ d2→ cis2 ( ホ→ 嬰ニ→ ニ→ 嬰ハ ) という、
半音階進行で、始まっています。
E-Dur の 「主音 」 から、始まる半音階です。
★この半音階に、 Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー は、
二通りの Fingering を、記入しています。
一つは ≪ 「 4 3 1 3 」 ≫ で、もう一つは、
≪ 冒頭の e にのみ 「 5 」 を付し、
e2→ dis2→ d2→ cis2→ h の 「 h 」 に 「 1 」 ≫
という、指定です。
★最初の ≪ 「 4 3 1 3 」 ≫ を、注意深く弾いてみますと、
「 e - dis 」 と 「 d - cis 」 の二つに、この半音階が、
分解できることが、分かります。
和声進行の内容に、ぴったりと合っています。
★他方の、 「 5 」 と 「 1 」 のみ書かれているものは、
当然 「 5 4 3 2 1 」 と、なりますので、
≪ 大きく、一つにとらえる ≫ ということに、なります。
このどちらで弾いても、尽きない魅力があります。
≪Bach は、こう弾かなければいけない≫
ということは、ないのです。
★カワイ名古屋での 「 アナリーゼ講座 」 では、
Mozart モーツァルト ピアノソナタ ハ長調
Klaviersonate C-Dur KV 545 の、
いかにも、 Mozart 的な半音階である、
13、14小節目の左手で奏される 「 cis1 c1 h 」 が、
Bach の半音階と、どう違うのかを、お話いたします。
★さらに、 Mozart がいかに深く、 Bach を勉強していたか・・・、
それを、よく示す例として、
KV 545 の、有名な Sequenz ( 反復進行 ) が、
Bach の Invention Nr.6 、Nr.14
インヴェンション 6番や 14番、
Französische Suite Nr.5 フランス組曲 5番などの中に、
そのままの形で、見つけることができます。
この点につきましても、講座でご説明いたします。
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