音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ Invention 11番は、ロ短調ミサの頂点 Crucifixusに通じる■

2011-11-22 23:58:53 | ■私のアナリーゼ講座■

■  Invention 11番は、ロ短調ミサの頂点 Crucifixusに通じる ■
                2011.11.22    中村洋子

 

 


★明 23日は午後 2時から、横浜みなとみらいカワイで、

「  Invention Nr.11  インヴェンション 11番 g-Moll 」 の、

アナリーゼ講座です。


★  Edwin Fischer エドウィン・フィッシャー (1886~1960) は、

インヴェンション 11番について、校訂版(  Zweistimmige Inventionen

Wilhelm Hansen Edition ) の注で、

≪ テーマは、weiches Orgelregister オルガンの柔らかいストップを

try to imitate 模倣するように ≫ と、指示しています。


★さらに、≪ この 「 主題 」 は、包み込むような、

柔らかい、レガートにもかかわらず、

( 全音階の ) 上行形や下行形の音型によって、できており、

基本的には、豊かで力強い表現が、求められる。

「 対主題 」 は、下行形の半音階を含み、

「 Leiden und Sterben  suffering and death 

受難と死 」 という深い意味を、示している ≫

さらに、「  Messs in h-Moll ロ短調ミサ の

Symbolum Nicenum の第5曲目 : Crucifixus

 クルツィフィクスス を、参照しなさい 」 と、書いています。

 


この Symbolum Nicenumの

第5曲目 : Crucifixusは、

Messs in h-Moll ロ短調ミサ の、

頂点をなす部分である、と私は思います。 

 


★「 静かに、しかし、流れるように滑らかに 、

 真摯に、そして、柔らかく 」 表現される

11番インヴェンションは、11番シンフォニアとともに、

まさに、ブラームス Johannes Brahms (1833~1897)が、

「 追い求めた音楽 」 、でもあったのです


★シンフォニア 11番の 、24小節目から 28小節目まで続く、

バスの 「 a  イ音 」 のオルガンポイント ( 保続音 ) は、

付点 4分音符の a音 が、5小節の間、

タイで結ばれて、引き延ばされています

 

 

★面白いことに、 Bach の自筆譜を見ますと、

その付点の位置は、24、26、28小節は、「 第四間 」 にあり、

25、27小節は、 「上第一間 」 に、付けられています。


24、25小節を一組とし、26、27小節をもう一組とする、

踊りの曲と、みることもできます。

( 28小節目は、次の 29小節目が変化しているため、

一組にはなりません )

自筆譜での Bach の筆致は、躍動感に満ちています。


Edwin Fischer エドウィン・フィッシャーが、この曲の特徴について、

「 重い足取りの舞曲 ( heavy footed dance ) 」 と書いているのも、

うなづけます。

 


                   ※copyright © Yoko Nakamura
▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ■ Mozartモーツァルト「 き... | トップ | ■第12回 インヴェンション・... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

■私のアナリーゼ講座■」カテゴリの最新記事