2006/5/5(金)
★ 前回<■東北(とうぼく)への路■ その3 >で、楽琵琶のことに触れましたところ、
今回、演奏していただく雅楽奏者の八木千暁さんから、次のようにご教授を頂きました。
その道に精通されている方以外に知りえないとても素敵なお話です。
本当に繊細で典雅で、教養に満ちた世界であることがよく分りますね。
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「青山」とはおそらく楽琵琶のことです。
藤原貞敏が「玄象」(げんじょう)とともに唐から持ち帰った名器の一つといわれています。
現在楽器は存在しませんが、色々な逸話が残っているようです。
それから季節と調絃は、必ずしもそれでなければいけないというほど厳密ではなく、
たとえば殿上人の教養として「今日のお遊びの曲は何にしましょうか?」といったような時に、
さりげなく季節の調子の曲を選んだりすると、
なかなかこやつアジな選曲をするな・・・といった感じではなかろうかと思います。
しかし「経正」の謡文句を拝見すると、琵琶の調絃に精通していなければ書けないことだと
勘ぐってしまいます。
やはり能に「玄象」という曲があり、雅楽の名人藤原師長(ふじわらもろなが)が旅の途中雨に遭い、
ある老夫婦の家に宿を借ります。
そこで師長が琵琶を弾くと、主(あるじ)が屋根に苫をひきます。
そして「ただいまの琵琶は黄鐘調ですが、屋根をたたく雨の音は盤渉調でした。
しかし苫を葺いたので、雨音も同じ調子になりました」という件があります。
私などはワクワクしてしまう落ちなのですが、楽琵琶や調子をご存じない方がお聞きになっても、
あまり楽しくないのでは・・・
その昔の方々は調子や調絃、雅楽というものをもっと身近に知っていたのでしょうね。
八木千暁
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