■アナリーゼを2ヶ月ぶりに再開、「インヴェンション5番」■
2011.5.23 中村洋子
★本日は、「 東日本大震災 」 後、初のアナリーゼ講座を、
横浜「みなとみらい」で、開催いたしました。
二ヶ月ぶりです。
インヴェンション&シンフォニア5番
( Inventionen und Sinfonien Nr.5 )。
★参加者の皆さまは、
「 また来られて、本当に嬉しいです! 」 と、
おっしゃいながら、駆けつけてくださいました。
★「 シンフォニア 5番 」 は、「 変ホ長調 」 の、
暖かく、落ち着いた曲想です。
しかし、土台には、 ≪ 深い悲嘆のモティーフ ≫ が、
使われています。
いわば、 「 慰めの音楽 」 の中での
≪ すすり泣き ≫ のようなものです。
★23、24小節、E音の 「 repeated note 」
( 同じ音を連続して奏する ) の部分で、
その悲嘆のモティーフが、使われ、
そこが、この曲の 「 頂点 」 になっています。
★≪ 深い悲嘆のモティーフ ≫ につきましては、
27日 ( 金 )の、カワイ表参道での、
「 平均律アナリーゼ講座 」 でも、
お話ししたい、と思います。
★インヴェンションを録音したCDは、たくさんあります。
それぞれ、この曲は、この演奏家が素晴らしい・・・、
というふうに、評価できますが、
「 シンフォニア5番 」 の演奏は、
オランダのチェンバロ奏者
Ton Koopman トン・コープマンが、
素敵であると、私は、思います。
★次回 6月 27日(月)の、横浜 「 みなとみらい講座 」 は、
「 インヴェンション&シンフォニア 6番 」 です。
★「 長調 」と「 短調 」とが、
交互に配列されているインヴェンション曲集で、
唯一、「 5番(変ホ長調)」 と「 6番(ホ長調)」 だけは、
不思議にも、「 長調 」が連続しています。
鮮やかな、ハッとする美しさです。
★5番の主音「 変ホ音 」から、6番の主音「 ホ音 」への
≪ 半音の関係 ≫ こそが、バッハが籠めた深い意図なのです。
この点を、詳しくご説明いたします。
★ 1番から 5番までは、全音階を中心とした主題であるのに対し、
インヴェンション 6番では、「 半音階 」が主役に躍り出ます。
これが、この曲集の頂点となる「 シンフォニア 9番 」 へと、
つながっていきます。
★この半音階の意味を、
「 Klavierbüchlein für Anna Magdalena Bach 2巻
= アンナ・マグダレーナ・バッハの
クラヴィーア小曲集( 1725年 )」
の曲を例にして、ご説明します。
★さらに、シンフォニア 6番の主題は、
インヴェンション 6番から導き出されいます。
この曲は、舞曲の性格も宿していますが、
それをどのように、演奏に結びつけるか・・・。
5番の講座でお話しました 「 反復進行 ( ゼクエンツ )」
との関係も踏まえ、お話します。
★なお、本日の 「 インヴェンション、シンフォニア5番 」 は、
6月 29日(水)、カワイ名古屋でもお話し致します。
▼▲▽無断での転載、引用は固くお断りいたします△▼▲