■ 山本英明さん偲ぶ会と、3月の講座日程 ■
2011.3.1 中村洋子
★先週は、2月23日水曜日、名古屋での
「 第 4回インヴェンション・アナリーゼ講座 」、
25日は、「 山本英明さんを偲ぶ会 」
( 漆宝堂・主宰、 於 : 新宿・龍雲庵 )、
そして、ベルリンの Ries&Erler
リース&エアラー社から、近日出版されます、
「 チェロ二重奏曲集 」 の校訂で、あわただしい一週間でした。
山本英明さんは、“ いつでも、またお会いできる、 気さくに、語りかけていただける ”、 そんな気持ちでいましたが、あらためて、 月並みな表現ですが、残念で悲しいです。 「 隙のない、破綻のない力強さ 」 を、しみじみ感じました。 バッハが同時代、あまり評価、理解されなかったように、 こんなに凄い人を、どこまで、私が理解していたか?と、思いました。 逆に、「 英明さんの評価はこれから 」 、という気持ちがします。
★気がつきましたら、もう、3月。
★彼が残しました漆器をあらためて、まとめて拝見いたしますと、
★漆宝堂さんのお話で、特に記憶に残ったのは、
「 英明さんの漆器ほど、洗ったとき、水切れの良いものはない 」。
漆宝堂さんの奥様は、いろいろな作家の展示会のたびに、
漆器に美しいお料理を盛り、その後、洗う作業を、
ずっと、なされてきましたが、実感として、
「 最も、水切れがいいのが、山本英明さん 」。
★何故、そうなのでしょうか?
「 漆の精製を、愚直にも、太古のままの方法でなさっている 」。
これが、理由でしょう、と漆宝堂さん。
漆の幹を引っ掻いて採られた樹液を、大きな盥に入れ、
真夏の炎天下、汗をかきかき、一日中かき回し、
降り注ぐ太陽の光で、煮詰めるからです。
日本で、山本さん父子と、佐川泰正さんだけが、
質の高い漆を作るためには、欠かせない工程として、
この重労働を、墨守されているようです。
その他の作家は、電熱器という “ 文明 の器具 ” に依存しています。
仕上がった漆器を見ただけでは、 「 太陽による手作りの漆 」 か、
「 文明の利器による、楽をした省力化の漆 」 かは、
全く、分かりません。
★外見では分からずとも、その本質的な差は、 「 洗う 」 という、
最も、基本的な日常の作業の上に、歴然と表れるのでしょう。
★名古屋の講座では、 「 Invention & Synphonia 4番 」 と、
シューマンの 「 子供のためのアルバム 」 について、お話しました。
日本では、シューマンの 「 子供の情景 」 は ≪ 大人の曲 ≫、
「 子供のためのアルバム 」 は、 ≪ 子供の練習用曲 ≫ と、
まことしやかに、捉える風潮があります。
★シューマンが、長女マリーちゃん 7歳の誕生日のために、
作曲したという経緯から、 “ 子供向き ” と、
決めつけるのは、どうでしょうか。
シューマンは、子供に最上のものを与えようと、作曲しましたが、
何度にもわたる推敲や、曲の骨格、構造を見ますと、
バッハの「 Invention 」 と実に、多くの共通点があることに、
いまさらながら、気付かされます。
★大作曲家は、作曲するときの創作態度として、
子供用、大人用とに、区別はしていません。
子供用だからと手抜いたり、区別することは、できないのです。
作品番号を付けている、ということは、渾身の作ということです。
★この点につきましては、3月7日に、
カワイ横浜「 みなとみらい 」 で開催いたします、
「 第 4回インヴェンション・アナリーゼ講座 」 で、
また、詳しく解説いたします。
★ 3月は、以下の予定で、講座を開催いたします。
・3月7日 ( 月 ) 10時~12時半 カワイ・横浜みなとみらい
≪ Invention & Synphonia 4番 へ長調 ≫
℡ 045-261-7323
・3月 21日 ( 月/祝 ) 14時~16時半 カワイ・表参道 「 パウゼ 」
≪ バッハ・イタリア協奏曲 ≫
℡ 03-3409-1958
・3月 27日 ( 月 ) 9時 40分~ 12時 10分 上大岡「港南ひまわりの郷」
≪ ベートーヴェンソナタ・ワルトシュタイン ≫
℡ 045-842-4661
・3月 30日 ( 水 ) 10時~12時半 カワイ・表参道 「 パウゼ 」
≪ 平均律第 1巻 12番 ヘ短調 ≫
℡ 03-3409-1958
( 山本さんの紅茶盆、重箱、お椀、漆クロめ作業、漆塗りの準備、
福寿草、水鉢)
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