今日のエンドロール

10点満点の採点つきで年間約120本。観る前も観たあともクスッと笑えるレビューをお届けします。

モーターサイクル・ダイアリーズ 5

2004-10-24 12:37:11 | タイムリーヒット
世界「Tシャツに顔が載ってる政治家ランキング」第2位、チェ・ゲバラの青春冒険記である。(ちなみに気になる1位は圧倒的な人口をバックに毛沢東)
「バリ島の水上コテージで…現地の男の子がカワイくってぇ」とか「ヴィトンの本店でどうしてもお買い物したくってぇ」とか「かに食べ放題で露天風呂入って9800円ポッキリ!」みたいなパックツアーとは違い、根拠のない自信だけを胸に旅立つ無鉄砲な旅行は青年を成長させてくれる。
それまで親とか周りの環境に守られて生きてきた「カラダの大きい子供」が自分の意思で行動し、その責任も全て自分で取らなくてはいけない「オトナ」になる、ある意味「精神的童貞」を捨てる旅なのだ。その旅について書かれた本は結構あって、それを読みながらちょっと昔を思い出したり、人の旅の疑似体験をしたりするのがオレは好きだ。
そんな期待を持って劇場に足を運んだが、正直肩透かしをくった。旅がつまらなく、美化されすぎているのだ。
映画の冒頭と最後でご丁寧に2度繰り返されるナレーションがある。「これは偉業の物語ではなく、2人の大志を持った若者の人生がしばし併走した…」うんぬんという大げさなヤツだ。ウラを返せば「将来偉業を成し遂げる英雄の物語なんだから、少々つまんなくてもいいだろ」みたいに取れる。
旅は予定通りには行かなくて、くだらない失敗をたくさんして、勘違いして、騙されて、ドキドキして、そこで現地の人に助けられて人の温かみに触れて、そこがすばらしいところだ。ゲバラの旅も実際はそうだったに違いないが、それを隠して「この旅が南米人民の団結を意識するキッカケになった」みたいな表現ばっかり押し付けられたら、どこかの国の映画狂の将軍様と一緒やんか!ちょっとカッコ悪いところも見せた方が、人々は同じ人間として親近感を覚え、よりTシャツも売れるに違いない。
自分の娘時代を安田成美に演じさせた厚顔無恥な彼女と一緒に、顔を洗って出直すように!!

何十年たっても安田成美がお前にはならんわい!と思った人はクリックして下さい!(映画風呂具ランキング)
コメント (7)
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