のらやま生活向上委員会 suginofarm

自然と時間を、都市と生命を、地域と環境を、家族と生きがいを分かち合うために、農業を楽しめる農家になりたいと考えています

来る年の物しり顔や暦売り(誹風柳多留一六〇)

2007年12月11日 | わが家の時時
旧暦でいいますと、昨日が11月の一日でして、今日は二日。では正月の七草七日はといいますと旧暦11月29日。まだ11月なんですね。七十二候でいうところの『芹乃栄 せりすなわちさかう』、セリが盛んに茂る頃だそうです。

1月7日の日の出時刻は6時51分で、月齢28.4。翌8日が旧12月1日。前日6日が二十四節気の『小寒』。そして、この時期に相応しい一句、「うす壁にづんづと寒が入りにけり」(一茶)とあります。

来年用に購入した「歳時記カレンダー」の一部です。

        

「二十四節・七十二候」「月齢・旧暦・潮名・六曜・干支付き 四季折々の花の図案も多数掲載」「暦で知る四季の移ろい。季節を感じ、自然とともに暮らす。」とコピーにあります。「俳句・お茶・生け花・絵手紙を楽しむ方へ」というフレーズで落ちました。

企画・制作はシーガルという会社です。大手町のJAビル地階の農文協書店で1,575円でした。

麦の中の一すじの麦見てゐたり

2007年12月10日 | 農のあれこれ
元句 鴨の中の一つの鴨を見てゐたり (高浜虚子)

ナシ畑の隣の畑です。今年から麦が播かれました。以前から近くのライスセンターが水田転作用に麦作をしています。それが最近は畑でも麦作がみられるようになりました。

地主は麦作で収益を上げようというわけではなく、耕作の担い手を失った畑を管理してもらえればという思惑のようです。まだ管理委託できる畑は恵まれているかもしれません。

一葉づつ散り行くを追う日向ぼこ

2007年12月09日 | ネイチャースケッチ
風が吹くたびに金色に染まったクヌギの大木から数枚の葉が次々に舞い散っていました。

子供の頃、こんな光景の下で日向ぼっこをしていたかもしれないなあ。それとも、薪割りの途中で一休みしているひい爺さんの姿だったろうか、なんて一時感傷に浸っていました。もしかしたら映画かドラマの一場面が記憶に残っていて、そんな思い出があったらいいのにという願望がそう思わせたのかもしれません。

こんな清清しい空気を吸い込んでいると、力が湧いてくるというよりも悪いものが体から抜けていく感じ、脱力系の方向にシフトするという感じになってきます。

やはり冬に元気を出して仕事をしようというのは生理的に無理があるのではないだろうかと、今の気分を正当化させてしまうような穏やかな日が続いています。

うとうとと生死の外や日向ぼこ(村上鬼城)

2007年12月08日 | ネイチャースケッチ
イソップ寓話では冬になるとキリギリスは死んでしまいます。他のキリギリスの仲間は皆、卵で冬を越すので間違いではないのでしょうが、このキリギリスは成虫のまま冬を越し、春先から鳴くのだそうです。

「クビキリギス」というキリギリスと思います。鋭い大顎で噛み付いて、強く引っ張ると首が取れてしまうことから「首切り」ギスになったとか。「ギス」はキリギリスの省略形。

          

おもざしは馬に似てゐるきりぎりす(誹風柳多留六)

このキリギリスの顔は馬には似ていません。河童?薄目をしてじっと日向ぼこしながら冬を乗り切るのでしょうか。

蓑虫の鳥啄ばまぬいのちかな(芝不器男)

2007年12月07日 | 農のあれこれ
写真のケムシが蓑虫かどうかはわかりません。栗の枝から糸を垂らし、空中を浮遊していました。

ようやく植え替え作業も終わり、ナシ畑の落葉処理に手をつけ始めました。

周りのナシ仲間の話を聞くと、どうも仕事モードに気持ちが入らないらしい。連日ののんびりとしたお天気のせいもあるでしょうが、年々、体力の衰えを実感しやすくなっていたり、昨今のナシ作りを取り巻く環境悪化(ナシの高樹齢化による生産力の低下だけでなく、農薬飛散やら剪定枝の焼却煙問題等も)から気力も萎えがちなのかもしれません。

いまでこそナシの一大産地の市川市でナシ農家の将来展望についてヒアリングしたら、10年後どうなるかわからないという回答が多かったという話も伝わってきました。周りをみても後継者がなく高齢者だけでナシ作りをしていている農家もあります。そろそろ後継者づくりをという中堅農家も、農家の後継者となると話がしぼんでしまいます。

しかし、こういう逆境だからこそ、続けていけば明るい未来が見えてくるという事態になるのではと考えています。幸い、わが家のナシ生産環境は比較的恵まれています。後継者次第でまだまだ元気です。せいぜい鳥に啄ばまれないよう風に吹かれながら糸をのばしたり縮めたりしていましょう。

糸長き蓑虫安静時間過ぐ(石田波郷)

霞まで生やうものか霜の鐘(一茶)

2007年12月05日 | 冬の梨畑
今朝は今期一番の寒さだったようで、葉牡丹にもりっぱな霜がたっておりました。ナシの葉もほとんど落ちています。

隣のナシ畑では落葉をモアという草刈機械でたたいて処理し始めましたが、わが家ではまだ樹の植え替えをしております。この夏に枯れたところに苗木やら畑の中に仕立てててあった幼木を移しています。もう少し早くやりたかったのですが、パワーシャベルの用立ての関係で遅くなりました。

剪定もまったく手をつけていないし、まだこれをして、あれをして、それから…。もう仕事に追われてきました。

夕暮れを惜しむ隙なし冬景色(支考)

2007年12月03日 | わが家の時時
南信紀行その4

伊那盆地ならでは味というとソースカツ丼、五平餅、さくら肉といったあたりだそうですが、やはり三大珍味でしょうということで蜂の子の大和煮。もう二つはザザムシとイナゴ。イナゴは食べたことがあります。ザザムシはさすがにテーブルの上にあっても手が出ないかなとためらいました。

この蜂の子は地蜂(クロスズメバチ)の幼虫に伝統の味付けをしたもの。たんぱく質、カルシウム、鉄分などが多く含まれ、理想的な食品として昔から珍重されてきたといいます。

今はこれらの珍味が名産として持てはやされていても、かつては他に代わるものがなかった、それだけ貧しい食生活だったということでしょう。ザザムシを食べる習慣など世界でもここだけだと聞くと、なおさらそう感じます。

蜂の子の大和煮は小魚の佃煮みたい。強行軍の日帰り旅行でした。せめてこれで精をつけることにします。

山陰に熊笹寒し水の音(漱石)

2007年12月02日 | わが家の時時
南信紀行その3

道の駅を寄りながら伊那谷の広域農道を北上していました。『養命酒 駒ヶ根工場 健康の森』という看板。工場限定の養命酒なんてあったりして…そんな気軽な気持ちで入口ゲートへ。「もうすぐ工場見学できます」という声に押されて、そのまま工場見学の流れに乗ってしまいました。

平日の午後です。当然、われわれ夫婦だけのために紹介ビデオを流し、コンパニオンがついて瓶詰め、包装工程を案内してくれました。実は薬局と酒店の両方でデザインの異なる養命酒を販売しているとのこと。でも中身は同じ。施設内のショップでは工場限定の小瓶入りがありました。

感心したのは約36万㎡の敷地の70%が森林という環境。敷地内の中央を上の写真の沢水が流れています。山麓という地形を生かして生薬庫・原酒庫を上流に、熟成する調整庫は下流に配置。そして傾斜を利用した地下のパイプを通って最下流の瓶詰棟へ。

予定外の行程になってしまいました。帰り道を急ぎます。すると今度は『かんてんパパガーデン』という看板。寒天を原料にした様々な製品を全面展開している企業の本社兼工場のようです。寄らねばなりますまい。

和洋それぞれの寒天レストランのほか、敷地内には「ささやかなメセナ活動です」という多目的ホールも、工場見学のセミナー室も、散策できる山野草園もあります。ショップでは全製品のほか試食用のゼリーも用意されていました。

養命酒もかんてんパパも、いまどきのメーカーとしてはこのような工場にするのは当然のことかもしれません。地方の企業でもがんばっているなという印象です。中央アルプスと南アルプスにはさまれた雄大な景観が育むのか、企業としてのゆとりを感じます。まじめな信州人気質のなせるわざでしょうか。

恒例の温泉体験。今回は遠距離の移動で時間が足りません。中央道諏訪湖サービスエリア内の立ち寄り温泉で汗を流して、帰路に。