今年2月に行われた別府大分毎日マラソンで自己記録を7分縮め、
2時間30分26秒で50位に入ったタレントの猫ひろしが、今、話題になっている。
カンボジアの国籍を取得し、同国代表として、
ロンドン五輪の男子マラソンに出場するという。
いや、そのことが話題になったのは、もう過去の話である。
今は、そんなセコイことはやめろ、という声が湧き起こっているのである。
マスコミの、特にテレビ局がそもそも悪い。
2月の別府大分マラソン中継で、テレビ局は猫ひろしばかり映していた。
たとえ自己記録を縮めても、タイムは2時間30分台で、順位は50位だ。
タレントが走るからと言って、すぐに大げさに騒ぎたて、
主客が転倒するテレビ中継には、腹立たしい思いがした。
とにかく…
猫ひろしが、その程度の記録で五輪に出られるというのが解せない。
おまけに、国際陸連の規則では国籍取得後1年以上経ないと、
五輪に出場できない、となっているそうである。
猫ひろしがカンボジア籍を取得したのは昨年10月で、1年未満だ。
現地に1年以上継続して住んでいる場合にも、
例外として認められることもあるそうだけど、
猫ひろしはカンボジアにはよく行っているが、継続して住んでいない。
あとの可能性といえば、例外中の例外として、
国際陸連に申請して、特別に認めてもらった場合、のみである。
が、これも先日、あるカンボジア選手がパリマラソンで2時間23分29秒と、
猫の記録より7分も早い記録を出したことで、さらに立場が苦しくなった。
カンボジアから五輪マラソンに出場できるのは1人だけだもんね。
週刊誌などには、猫サイドがカンボジアを金銭で買収した、とも書かれている。
アジア最貧国と言われるカンボジアの、弱みに付け込んでいるかのようである。
ともかく、努力が花開く…というような明快でおめでたい話ではなく、
猫ひろしを「日本人の恥だ」と非難する声が日々大きくなっているのだ。
当然の反応だろう。
僕の好きな作家の曽野綾子さんも、早い段階から、週刊誌で、
「常識的な人間だったら考えられない行為」 と書かれていた。
確かに2時間30分という記録は、素人ランナーとしては破格のタイムである。
自分のことを引き合いに出してナンだが、僕の自己最高記録は3時間27分だ。
わが友、自称でこひろし君も、僕など足元にも及ばぬ歴戦の勇士だが、
それでも3時間を切るのにあと数秒と迫りながら破ることが出来なかった。
猫ひろしの努力は、元市民ランナーの端くれとしては、賞賛したい。
しかし、本人が現在住んでおらず、将来もたぶん住む気のない国の籍を取得し、
所属会社ぐるみで、恥も外聞もなく五輪出場を画策する行為は、いやらしい。
明らかにスポーツマンシップに反するのではないか。
おそらく、カンボジア代表の資格はない…ということで、
国際陸連は猫ひろしの五輪出場は認めないものと思われる。
「ロンドン目指してネコまっしぐら~」 な~んてギャグで五輪に出られては、
五輪への出場を夢見て、努力を重ねながらも涙を飲んで果たせなかった、
各競技種目の数えきれないほどの多くの選手たちは、たまらないだろう。
オリンピックは、その国を背負って参加するものである。
日本人として恥ずかしい真似は、今すぐにでもやめてほしい。
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