今年の3月のことだ。
休日だったので、僕は家にいた。
電話が鳴った
家にかかってきた電話は、僕は出ない。妻が出る。
しばらく電話の相手の話を聞いていた妻が、
「…代わってくれる?」
と、受話器を持ったまま、僕に言った。
ふつう、妻はめったにそういうことは言わないのだけど…。
「誰からの電話やのん?」
「インターネットとか、光とか…。毎日かかってくるから困ってるの」
電話はNTT西日本のなんとか、という男性からだった。
「あ、ご主人様ですか。光ファイバーに変えられるとお得ですよ」
男性は、100パーセントの愛想をギンギラギンにむき出している。
僕のところは、インターネットはADSLでやっている。
別段、不便なこともなく、そのままでいいのだけど…。
しかし、電話の男性は、口達者で歯切れはいいが、ネチネチと執拗だった。
妻も、毎日のようにかかってくるこの電話に閉口しているようだった。
光ファイバーというのは、僕も名称だけは知っている。
テレビのコマーシャルで、唐沢クンがしていたり、長沢まさみちゃんがイチローとやっていたり、とにかくインターネットや電話は、今では「光」でなきゃダメなのだというようなことを、間断なく日本国民に訴え続けているご時世である。で、かかってきた電話の相手は、長沢まさみちゃんが宣伝している方の会社の営業員である。
まあ、いちおう電話の前に座って、じっくりNTTの営業員の話を聞く。
インターネットだけではなく、光電話というのも説明してくれる。
なんだかよくわからないが、料金のことを力説する。安いのだそうだ。
口車…とはよく言ったものだ。
これだけ流暢に説明をされると気持が揺れる。
今の世の中はすべて光ファイバーを中心に動いているかのごとくである。
そ~か。自分は時代に遅れているのか…と思うと、少しアセる。
もののはずみ、とはこういうことを言うのだろう。
「では、お願いします」と、僕はその口車に乗った。
「は。どうもありがとうございます。では…」
男性はそう言って、今、僕が持っているパソコンの機種を聞いた。
わが家にはノートパソコンが2台ある。
1台は、5年ぐらい前に買った富士通のFMVというやつだ。
もう1台は、2年ほど前、職場で話題になってみんなが買ったので便乗して買ったDELという格安のノートパソコンだ。
インターネットは富士通のパソコンのみで、僕の部屋に置いている。
DELは、リビングに置いて、妻がエクセルで家計簿などをつけている。
「あの~。2台ともインターネットをしたいのだけど。ケーブルが邪魔なので、無線でできるインターネットがいいな~、と思っていますが」
僕がそういうと、
「あ、それなら市販の半額で無線LANのルーターを提供させてもらいます」
と、男性が言った。
「では、このあと、5分以内に別の者から電話がありますのでよろしく」
と言い、電話は切れた。
5分後。今度は違う会社の女性から電話がかかってきた。
「お宅のパソコンはサービスパック2か3ですか?」と聞く。
「はぁ…?」
わけのわからないことを聞く。
「サービスパックが1だったら、光はできませんので」
「なんですか…? そのサービスパックとかいうのは…」
「マイコンピュータのプロパティに書いていますから調べてください」
先ほどの男性に比べると、かなり無愛想である。
言われたとおりに調べると、2つともサービスパックは3だった。
「では、5月の9日の土曜日に工事をさせていただきます」
「5月…? それはまたずいぶん先ですね」
「光の工事は予定が詰まっておりますので、それぐらいになるのです」
そ~ゆ~ことで、先週土曜日の9日に、光ファイバーの工事の人たちが来た。
外から電線(電話線?)をわが家につなぐ工事をするので、近所の人たちは、何ごとかと外に出て眺めている。一方で、別の作業員さんが室内の電話口で端末をつけている。3つも4つも器具がならび、配線はもうぐちゃぐちゃなほど多い。無線のルーターと、子機は、その数日前に宅急便で送られてきた。
作業員さんは、ひととおり終えると
「では、説明します。この端末機はむにゃむにゃ…。こちらの端末機はむにゃむにゃ…。これはむにゃむにゃ…で、むにゃむにゃをするときのむにゃむにゃです。まあ、むにゃむにゃな時は、むにゃむにゃしてください」
そう言って、手早く工具類を片付け、「では失礼します」と言うので、
「あ、ちょっと待ってください。これをパソコンにつなぐにはどうしたらいいのですか? 無線LANもつけなきゃならないし」と聞くと、
「いや、僕たちは工事だけなので、それはご自分でしてください」
「え? 自分で…?」
たしか、最初に電話がかかってきたとき、NTTの男性は、僕がパソコンにつないだりはできない、と言うと、
「大丈夫です。全部させてもらいますから」
そう言ったはずである。その話はどうなっちゃってるんだ?
僕が、作業員さんに不満を漏らすと、
「パソコンに関することは、その方に連絡していただきますように」
そう言って、荷物をまとめて帰って行った。
無線LANを含めるとこれだけ端末機がある。
パソコンをADSLから光ファイバーに変える。
しかも、それを無線LANに変える。
そんな、2つのことを一度にできるわけあらへんがな…と思った。
困ったなあ。
無線LANの器具が入った箱の中から1枚のチラシが出てきた。
そこには…
「やっぱりインターネットは無線LAN。でも、設定がちょっと苦手…。
そんなときは、専門スタッフにおまかせください!」
と書かれている。出張サービスだから、もちろん有料である。
料金を見ると、無線LANパソコン1台の設定 → 9,800円
2台以上パソコンをお使いの方は、1台あたり → 6,000円
合計、15,800円もかかる。
それも無線LANだけの話である。
その前に、ADSLから光に変える設定をしなければならない。
それを頼んだら、また余計に料金を加算請求されそうである。
これは、なんとしても自分でやらなければならない。
作業員さんが置いていった説明書をパラパラめくる。
なんだか、簡単にパソコンに接続できるようなことが書かれてある。
それを、じっくり読んでみた。
そして、説明書どおりにパソコンとLANケーブルをつないで、ナントカインストールというCDをパソコンに入れてみた。次々と指示が出てくる。途中で、「なんとかが中国語なので、それを英語に変えてよろしいですか?」というようなメッセージが出て、「OK」をクリックしたら、「正常にインストールできませんでした」という恐怖のメッセージが出た。
また一からやり直しである。途中でまたメッセージが出た。
「なんとかが英語なので、それを中国語に変えてよろしいですか?」
なんじゃ、そら。
わけのわからないまま、「OK」をクリックすると、今度はうまく行った。
そして、「インストールが完了しました。インターネットへの接続をします」とのメッセージ。「OK」をクリックしたら、うれしいことにインターーネットのヤフーの画面が出た。
ぱちぱちぱち。
その次は、ケーブルを外して、無線LANに変える作業が控えていたが、すでに夕方になっていたので、「光接続ばんざ~い」と一人で言いながら、ビールを飲んだ。いったんビールを飲んでしまうと、込み入った作業はゼッタイにできない。無茶苦茶にしてしまうか、途中で居眠ってしまうかである。
翌日の朝。アタマにもカラダにもまだ垢がついていないフレッシュな状態で、無線LANの設定に挑戦した。
ところが、1台目の富士通のパソコンに、CDを入れても起動しない。
何度やっても、同じである。うぅぅ~。
説明書のあちらこちらを読む。
「CDがダメな場合はインターネットで設定ができます」
という項目を見つけたときは、「これや~」と快哉を叫んだ。
そして、ネットにつなぎ、画面の指示のとおり進めていき、最後に子機を装着してインターネットに接続すると、やった~~~~。大成功!
ぱちぱちぱち。
もう1台のDELのパソコンは、CDが起動して、こちらは簡単に成功した。
あとは子機をUSBに差し込むだけで、インターネットができる。
ぱちぱちぱち。
若い人ならこんなことは朝飯前だろうけれど、僕らの世代にはむつかしい。
それでも、無事に出来たのは、まことに慶賀すべきことである。
その日は日曜日だったので「まぁ、今日はええやろ」と昼にビールを飲んだ。
自分で全部接続したことを友達に自慢した。
その友達は、僕よりもっとパソコン音痴である。
「へぇぇ~、すごいなぁ」と友達は感心してくれた。
「そうや。そんなこと、昼ビール前や」
ということで、今は僕の部屋と、リビングの2台のノートパソコンでインターネットができるようになった。妻も、時々インターネットをするときは、僕の部屋に来ていたのだが、今はいつでも手軽にリビングでできるので喜んでいる。ごちゃごちゃとした端末機も、テレビの裏に隠したので目立たない。しかも、光になったら、画面のスピードがこれまでよりも断然速い。
「不思議ねえ。線もないのにインターネットが出来るなんて」
と、妻は大いに喜んでいる。僕もずいぶん便利になった。
あの、調子のいいNTT西日本の営業員に、今は感謝である。
他人の「口車」に乗ってみるのも、時にはいいものである。
我家は行政の境界近くに住んでいるので、何もかも一番最後に設置される地区なのです。
そこに目をつけたのか、ケーブルテレビは、我地区から設置をはじめるというのです。
【期間内に申し込めば、設置料・工事費無料】というのに引かれ申し込みました。
インターネット8Mのコースを申し込みましたので、早い早い。
(ISDNに比べればどれも早いんですけど・・。)
のんさんの所のように一杯のコードはありませんが、やはり工事が終わると、「私たちは工事だけです。パソコンを繋ぐのは、お客様ご自身でお願いします。」」と言って、数センチの解説書を渡して帰って行きましたね~~~。
私は解るわけございませんから、シランプリ。
全て子供にお任せ・おまかせでした。
しかし、なんでこないに接続機器が多いんですかねぇ(><)我が家もテレビの裏に隠してます!このご時勢に一つにまとめた機械ができんのかいな?
確かに早いんでネットにはいいですね☆
我が家は私しかネットしないんで、無線LANにしなかったので、低位置でしかできまへん。その低位置がなんか居心地悪くて背中が痛くなるんですが、しかたないのでそのまま(^^;)やっぱり無線LANにしとけばよかった~~~失敗!
ちなみにのんさんと同じFMVです
おそらく又何かとてつもないものが出てくるのでしょうね。光で落ち着くとは思えないのですが--。
確かにパソコンの配線にはうんざりですね。
コードの類ばかりでこれが絡み合ってしまって、
見ているだけで疲れます。要するに自分のやり方が悪いのでしょうが、
本当にもっとシンプルになりませんかね。
それにしても、NTTは儲かっているのでしょうね。
これだけ光、光ですからね。
べつに家の天井がやたら低い訳ではおまへん。
おかしな意味になっていてびっくり。。ぼけぼけ
光になると関係ないかもしれませんが気を付けてくださいね。
「無線Lan 踏み台」で検索してください。
いろいろ出てきますよ・・
相方が仕事で必要なので、無線ランは絶対いるし…。
PCがリビングにあり、しかもメインは普通のタワー型なので、もう…。
ちなみにうちはマンションぐるみでケーブルテレビ経由のものなので、かってに光にはできませーん。
それなのに、NTTからしつっこく電話がかかってきて困ります。
そう言えば西日本は長沢まさみちゃんなんですよね!
この前、九州に行ったときに見ました。
東日本はSMAPがCMしてます。
ちょっと地域差を感じました^^
またお邪魔します。
近くに電線があったらいつでもその「光」というやつができるものと思っていましたが、なかなか複雑なものなのですネェ、この世界は。
行政の境界近くに住んでいる…といえば、僕のところも市内のはずれにあるので、下水工事なんかが一番後回しです。もっとも、うちの市は面積の狭さでは日本のベスト10に入るような小さい市ですけど…。
しかし、まあ、説明書を置いて「これを読んでご自分でやってください」と、さっさと帰ってしまわれれると、途方に暮れますわ。最初の営業マンの電話では、僕は何もできなくてもOKのようなことを言っていたはずなのにね~。
何でも便利にコンパクトになっている時代なのにネェ。
機器の一つひとつを説明してくれましたが、頭がついていきません。
結局、どれがどれなのか、ごく一部しかわからないままです。そんな得体の知れない端末機たちが、わが家のテレビの裏に群がっているのです。いっしょですね、テレビの裏。あれは物を隠すのに便利です。
インターネットが早くなったのは事実ですね。
「あまり変わらんで」と言っている友人もいますが、うちの場合は確実に早くなりました。
しかし、低位置…じゃない、定位置でパソコンを使っていて背中が痛くなるのは、姿勢の問題としてちょっと気になりますね。僕などは腰痛を抱えているので、パソコンに夢中になって前かがみになっていると、終えた後、しばらくは腰が曲がったままです。徐々に慣らして直立姿勢にならなければならない始末。ですから、なるべく意識的に背筋を伸ばして使っています。yukariさんも気をつけてくださいね。
まあ、いずれにしても、無線LANはパソコンをどこでも持ち運びできるので、便利ですよ~。
僕が出張サービスで、お宅へつけに行きましょうか?
もちろん無料です
しかし、振り返ってみますと、むかしは電話回線でやっていましたよね。
立ち上がりも、画面の切り替えも、むちゃくちゃ遅かったですね。
ADSLに変えたときのスピードには、あっと驚きました。
光の端末器具は「電源を入れたままにしておいてください」といわれているので、すべての器具のあらゆる場所が、ず~っとピカピカ、チカチカと光っています。夜中にそばを通ると、そこだけなんだか異様に小さな光が密集し、小人たちの歓楽街みたいです(笑)。
これだけ込み入った配線で、もしひとつが故障でもしたら、もうお手上げです。
何がどうなっているのかわからないので、何かがどうかしたら、何もわからない…。なんだか自分でも情けなくなりますね。
今は英語の勉強にばかり時間を費やしていますが、もっと、こういうような、実際に役立つことの勉強をしたほうがいいのかな、とふと思ったり…
今、「無線LAN 踏み台」を検索しました。
その言葉だけ見ていると、足元に置いてある無線LANを踏んでしまわないように、気をつけよう、ということかなと思いましたが(笑)。
しかし、検索で見てみると、「踏み台」は笑いごとではありませんね。
これほどいろいろとセキュリティ面で問題があったとは…。
知りませんでした。
この方面の知識は身につけておいたほうがいいですね。
今、その検索から覗いたサイトでは、
「念のため、無線LANの親機の電源落としておきます」
と書かれてありました。
いま、アナザービートルさんにも書きましたが、電源がずっと入ったまま、というのが、ちょっと気になります。それを落としておけば安全であるのなら、使わないときは電源を切っておきます。
貴重な情報をありがとうございました。
さらに検索をして、しっかりとした知識を持っておきたいと思います。