ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

ベラルーシの大学への留学や入学・長期滞在について

2018-12-06 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
<お問い合わせについて>

 ベラルーシの大学への留学や入学についての質問メールが来ることがたまにあります。
 何でもベラルーシの大学の留学についての情報はネットで検索しても見つからないので、ベラルーシのTさんにメールできいてみよう、という感覚のようです。

 このようなご質問ですが、私では回答について責任を負えません。私もベラルーシ大学に留学していましたが、もう20年も前の話なので、最近の状況が分かりません。
 見ず知らずの日本人のために代わりに調べてあげる、というような時間も義務もボランティア精神もありません。何と言っても責任が負えません。

 ロシアなど旧ソ連の大学への留学を斡旋している業者に尋ねる、ということはしないのでしょうか?
 また今は現地、つまりミンスクに駐在スタッフを置いて、留学中のトラブルにも対応してくれる企業がありますから、経験豊富な日本に本社がある企業に問い合わせるのが一番です。
 何かあったとき、留学を終えて帰った後でも日本国内で対応してくれますから。


<ベラルーシの大学の入学について>

 留学ではなく大学に入学したいという希望ですが、私が知っている限りでは、日本人の場合日本の大学や企業に入ってからベラルーシへ短期留学する人がほとんどで、高校卒業から直接ベラルーシの大学へ入学し、卒業まで5年間学ぶ、というケースは私は聞いたことがありません。だからネットで調べても情報が見つからないのです。

 ベラルーシでは本国では大学に入れない(要するに学力は低いが親はお金を持っている)中国人が、大勢入学しています。入試はあってないようなものです。全てお金で決まります。
 つまりベラルーシの大学は日本人でも中国人でも外国人はお得意さんなので、すぐに入学できるでしょう。ただし、ベラルーシ人が払う授業料と外国人学生が払う授業料は雲泥の差です。外国人と言うだけで、このような授業料の差があることを念頭においてください。

 こんな状態で簡単に入学したので、勉強もちゃんとせず、ロシア語がほとんどできないままなのに、ちゃんと卒業証書をもらって卒業していく中国人学生がたくさんいるのを見ると、卒業証書もお金で買える、言ってもいいでしょう。
(注意。ベラルーシでまじめに勉強している優秀な中国人も少数ですがいます。)

 しかしそこまでして日本人がベラルーシの大学の卒業証書を必要としているのでしょうか? その後の日本国内の就職活動に有利になるとはとても思えません。
 ベラルーシの大学はベラルーシ人の就職活動には大学側の義務もあり、対応してくれますが、外国人については就職活動については大学側には責任も義務も持たないので、自力で就職先を見つけなくてはいけません。
 日本人がベラルーシ国内で就職することも極めて困難です。ベラルーシの企業は「外国人を雇うと税金を余計に納めなくてはいけない。」という法律があるため、外国人を雇うことを敬遠します。
(こういう法律をつくることによって、国は自国民の雇用を確保しようとしているのです。それはそれで当然の話です。) 

 ベラルーシの大学は普通5年間通学しますから、短期留学ではなく入学することを考える場合、人生の若い時期の5年間が無駄にならないかどうかよく検討するほうがいいです。
(追記。現在のベラルーシの大学のほとんどが4年制に移行しました。)
 
 それから私にメールで「大学の授業料はいくらぐらいなんですか?」と質問されるより、先に希望する大学に問い合わせてみてください。ロシア語ができなくても英語なら通じます。
 また大学のHPで授業料を公開しているところがほとんどですので、それを参考にしてください。


<情報収集について>

 ベラルーシへ留学を希望している日本人(全く面識なしの人)が私にメールすることにした理由について、

> ミンスクにいる友人に「Tさんはベラルーシについて詳しい日本人だよ」と言われたので、メールしようと思いました。

 ・・・と書いていましたが、このミンスクのご友人というのは日本人なのかベラルーシ人なのか私には分かりません。しかし友人がミンスクに住んでるのなら、面識のない私ではなくその友人に頼んで大学のことなど情報収集するのが普通だと思います。
 この友人も私に会ったことがある人なのかどうか、このメールの文面からでは分かりません。
 もしかしたら知り合いなのかもしれませんが、名前も分からないですし。
 私はその人のことを知らないけれど、その人は私のことを噂で聞いたことがある、程度なのかもしれません。
 それなのに人生の18歳から23歳までの学生生活をどうするのか、という重大な問題に直面しているのに、Tさんにきけばいい、と人任せにしているのが、「こんなのでこの先大丈夫かしら?」と思います。
 未成年の場合はもっとご両親と話し合いをされることを勧めます。
 
 ベラルーシの大学に入学したい、という気持ちは応援したいのですが、応援はできても責任は私には負えません。


<ベラルーシの治安について>

 「治安などを考えたら、ロシアよりベラルーシの方がいいと思うのですが、そこはどうなんでしょうか?」
 ともきかれるのですが、これについても答えようがありません。
 統計上はロシアのほうが治安が悪い、ということになっています。でもあくまで統計上のことです。
 ロシアで暮らしていたら絶対犯罪に巻き込まれる、ベラルーシに住んでいたら絶対犯罪に巻き込まれない、ということにはなりません。

 ちなみに日本で1年間に殺人の被害者となって死亡する人は1500人だそうですが、ベラルーシは1000人です。人口の違いを考慮に入れてください。ベラルーシの人口は日本の約10分の1です。
 でもベラルーシへ来たら必ず殺人事件の被害者になる、とか日本に住んでいるとそうならない、とかそういったことを議論しても無駄だと思います。
 数字だけ見れば日本のほうがベラルーシより治安がいいということになりますが、日本のほうが行き当たりばったりの無差別殺人の件数は多いですよ。
 これはどんなに注意(夜道を一人で歩かない、など)していても、防ぐことができません。
 つまり、何が言いたいのかと言うと、私から
「ロシアよりベラルーシのほうが治安がいいから安心ですよ、ベラルーシへの留学をお勧めします。」
とはとても言えない、ということです。
 (私はベラルーシへの留学の斡旋業者でもないですし・・・。)
 
 私には責任が持てないから答えられない、というのがこういった質問への答えです。


<ベラルーシへ留学に来てから>

 それからこういうこともありました。
 語学ではなくスポーツ関係での留学のためベラルーシへ行くことになった元オリンピック選手がいろいろメールで質問してきました。メールの文章はとても丁寧で、礼儀正しくさすが日本代表に選ばれるだけの人のことはある、と感心していました。
 ベラルーシに到着したら、一度ご挨拶に伺います、ということだったので、私の電話番号などを連絡していました。最後のメールには、3日後いよいよ出発です、とあったのですが、その後1年間のベラルーシの滞在中、この人は全く連絡してきませんでした。もう日本に帰国しているはずですが、いまだに何の連絡も報告もありません。
 質問に答えてあげたのだから、お礼を必ず言いに来い、というわけではありません。でもがっかりしました。礼儀正しいスポーツ選手だと思っていたので、余計に失望しました。

 別のケースでは日本文化センターへ来て、ベラルーシで留学する予定だが、生活のことについて質問してきて、それが4時間続いた、という人がいました。
 その人は日本文化情報センターのことを、
「日本人のための留学生支援センターだと思っていた。そのようにベラルーシの留学を斡旋している業者から聞いた。」
と言ったので、このような勘違いをする人が今後出ないように、その業者には私から苦情を申し入れました。
 (今更ですが、私が代表を勤めている日本文化情報センターは、ベラルーシ人に日本文化を紹介するために設立されたセンターで、ベラルーシに留学している日本人の支援センターや相談窓口ではありません。)

 その後、しばらくしてその人に会ったのですが、「あ、どうも、ご無沙汰でーす。」と軽く言われ、その後は無視されました。
 同じ日本人だから、と手助けしても、こんなていどにしか感謝されないわけです。
 その人は留学を終えて、帰国した後もたびたびベラルーシへ来ているそうですが、全く私には挨拶なしです。こういう礼儀知らずの人とは、同じ日本人でも付き合う気がないので、それでいいんですが。
 このようなことが重なると、こちらとしても「人を頼らず留学生は自分で努力してください。」と言いたくなります。


<留学生のアルバイトについて>

 日本に留学している外国人学生の多くがアルバイトをしている姿を見慣れているからでしょうか、ベラルーシでも簡単に外国人がアルバイトできると思い込んでいる日本人留学生がいます。
 ベラルーシの法律では「就労ビザ」ではなく「留学ビザ」で滞在しているので、仕事はバイトを含めできません。ベラルーシの企業は、外国人を雇ってくれません。


<自己紹介をしない日本人>

 特に最近の傾向なのですが、突然日本文化情報センターにやって来る日本人で、留学生であるかどうかは関係なく全く自分の名前を名乗らない人が多いです。
 若い人も多いですから、絶対に名刺を寄こせ、と言いたいわけではありません。しかし礼儀として、初対面の人には簡単に自己紹介するものだと思うのですが、ベラルーシに来ていることをよっぽど秘密にしたい事情でもあるのか、名前を言おうとしません。仮名でもいいから、名乗ればいいのに・・・と思います。

 中には私の顔を見て「わあ、本当にこんなとこに日本人いた。」というリアクションをして、帰っていく日本人もいます。
 このブログなどを読んでいて、私のことはよく知っている、ベラルーシのTさんの本名も知っているという人がやってくるのですが、私のほうはこの人の名前も知らないわけです。
 だから名前ぐらい名乗ってほしいのですが、言いません。
 どうしてなんでしょう? 世界の人は日本人は礼儀正しい民族だ、信用ができる、という評価をしているようですが、そうじゃない日本人今はたくさんいますよ・・・と私はベラルーシ人に言いたいです。
 正直に言って、日本人どうし日本語も通じるのに、自分の名前すらまず名乗らない人は、よっぽど後ろ暗いところがあるのだろうと判断し、こちらから積極的にお付き合いしないようにしています。

 逆にベラルーシのTさんに会うと、チロ基金に寄付金を出せ、と勧誘されるらしいと思って、私に会うのを避けている人もいるそうですが、チロ基金は本当に自由にやっているボランティア団体で、人に寄付金を強制することはありません。
 寄付するにしても一口いくら、という決まりすらありません。もし、一口1万円、と決めてしまうと、少なくとも1万円は寄付しろという強制になってしまうからです。
 このような強制はいっさいチロ基金はしないようにしています。誤解している人がいるみたいなので、ここで書いてみました。

 私がベラルーシへ来て間もない頃ですが、私は自分のことを新参者だと思っていたので、在ベラルーシの日本人に出会うと、自分はまだ若輩者で、向こうは先輩なのだから、という感覚で、こちらから挨拶しに行き、名前も名乗って自己紹介していましたが、当時10人ぐらいしかいなかった日本人のほとんどが、無反応で私(あるいは新しくやって来る日本人)を避けているような態度でした。
 そのときは変な感じに思っていましたが、今では分かります。同じ日本人だから、という感覚で頼ってきたり、甘えてきたりする人に出会ってきたのでしょう。それで親切にしても、感謝はされず、だんだん新しくベラルーシにやってくる日本人に出会うのがいやになったのだと思います。

 今ベラルーシに住んでいる日本人は30-40人に増えましたし、やってきても永住ではなく帰国する人がほとんどですから、顔ぶれは変わります。
 私は新しい日本人に出会うのはいやだとは思っていませんが、名前も名乗らないような日本人はちょっとおかしいのではないか、と思っています。

 ちなみに今のところベラルーシに日本人会はありません。

 日本大使館はありますので、治安面など情報収集したい方は、大使館のサイトや日本外務省の海外安全ホームページを参考にしてください。


<ベラルーシに長期滞在している日本人>

 ベラルーシに長く住んでいる日本人で、ベラルーシに住んでいる他の日本人の悪口や根の葉もないうわさを、ミンスクへやってくる日本人留学生に吹き込んでいる人が1人います。
「あなたはベラルーシに来たばかりで知らないだろうから、教えてあげるけれど、○○さんと言う人はね・・・」
といった「アドバイス」をしてくれるそうです。

 私以外にもこのような悪口を言われている在ベラルーシ日本人が何人もいて、本当に迷惑しています。
 ベラルーシへ留学へ来てすぐに、この日本人からベラルーシに住んでいる他の日本人の悪口やうわさを耳にすることもあるかもしれません。
 面識もない人のうわさを鵜呑みにするのかしないのかは、個人の判断によります。
 しかしやはり実際に会ってみないと、その人柄は分からないのではないでしょうか。

 もっとも、他の日本人の悪口を言う日本人は、新しくベラルーシへやってきた日本人に悪口ではなく、批評をしている感覚なのかもしれません。そしてこんな「アドバイス」をしているのは親切心からだと思っているかもしれません。
 他人のうわさや批判なんて、どこでも誰でもしていることです。
 ただ、前述の人物の場合、問題なのはありもしない嘘のうわさをわざと流していることです。

 (私を含め)ベラルーシに長く住んでいる人の言うことが絶対正しいとは限りません。
 そう思った上で新人は古株の意見を聞くほうがいいと思います。


<ベラルーシの日本人コミュニティ>

 ベラルーシには住んでいる日本人がそもそも少ないので、日本人コミュニティもすごく狭いです。
 他の外国での日本人コミュニティについての情報をネットで読んで参考にしつつ、ここで長く住んでいる私からアドバイスですが、発展途上国での日本人コミュニティは問題が多いそうです。この発展途上国の中にベラルーシが入っていると思っておいてください。
 海外で暮らしている日本人のうち、好きでその国にやってきて、順応している日本人はストレスが少ないのでいいのですが、仕事などで仕方なく、発展途上国に行かされて、日本みたいに便利でもおもしろい娯楽もないので、不自由を感じストレスを感じている日本人が、発展途上国には多いのです。
(東京で働いていた人が、上からベラルーシへ赴任するよう言われるのは、左遷や出世コースから外れたことを意味している場合があるそうです。)

 そのためストレス発散のために、日本人コミュニティの中でネガティブな愚痴、その国の制度やその国の民族性に対しての悪口が多くなり、雰囲気が悪くなりがちです。さらにはストレスのはけ口として、日本人間のいじめも起こります。
 学校のいじめと構造は同じです。海外生活のストレスからいじめっ子が生まれます。
 いじめられやすいのは、年齢的に若いので留学生(日本では年上を敬え、という考えが根強いのですが、それはそうとしても、年上の人が絶対正しく、年下の人が絶対間違っていて意見も言えない訳ではありません。)、最近ベラルーシへ来た人(現地事情に詳しくないだろうから、とカモられる。)、女性(日本は男女差別が残っています。)、学歴が低い人(学歴差別が日本では根強い。)などです。外国へ来ても日本式の考え方で、縛られます。
 言葉ができる人、経済的余裕がある人、外国へ来ても日本人同士群れず一人で行動できる人、現地人とうまく交流している人も、いじめの対象になります。
 それはいじめっ子が、そういうタイプの人になりたいと憧れているのに、できていないので、できる人がうらやましいからです。
 こういうできる人は少数派なので目立ちます。目立っている人を嫉妬から引きずり落としたくなる人、多数派は少数派をいじめてもいいんだ、と思い込んでいる人が、たくさんいます。

 それから日本人はレッテル貼りや身分差別(江戸時代の士農工商から賢くなっていません。)が好きなので、日本人コミュニティの間で階級制度を作ろうとします。そんな中で一番になっても小さいお山の対象なのですが、そうしないと落ち着かないのが日本人のようです。
 遠い外国にまで来て虚勢を張る日本人は、哀れです。来たくもなかった外国で、鬱々したものを抱えているのでしょう。不幸な海外生活を送っている日本人なのです。こんな人みたいにならないように、自分の貴重な海外生活の時間を大事にしましょう。

 日本から遠く離れたベラルーシで、少ない日本人コミュニティの中で、これまた遠くから持ってこられた日本の慣習、日本人の狭量な考えのせいで、ベラルーシに滞在する予定である日本人のあなたの精神をすり減らさないように注意してください。
 日本人コミュニティの中で得られる良い点もありますが、悪い点のほうが多いと前もって分かっておいたほうがいいです。
 そして遠い外国に来てまで、日本人の間でいじめたりいじめられたりしないように注意しましょう。こんなくだらないことをするために、ベラルーシへ来る訳ではありませんよね?
 外国へ行きますと言うと、周囲は、治安は大丈夫?などと現地人はら犯罪行為を受けるのではないかと言うことを心配しますが、他にも日本人同士の問題に翻弄され、苦労することもあることを知っておいてください。
 海外で暮らす日本人同士が苦労を分かち合い、助け合うと言う美しい光景は、昔のドラマの中の話だと思っておいたほうがいいです。
 日本人だから言うだけで、みんな仲良くできないです。それが真実なら日本国内で日本人同士のいじめは一切ないはずでしょう?
 人種関係なく、気が合う人、合わない人がいます。せっかくなので、ベラルーシ人の中で気の合う友達を作ってください。一人でもそれができたら素晴らしいことだと思います。そしてあなたがベラルーシ人の友達と仲良くしているのをやっかむ日本人がベラルーシ国内にいても、気にしない、あるいはそういう人とは日本人でも付き合わないようにするほうが、得策です。日本人特有のつまらないしがらみで縛ってくる日本人から離れるほうがいいです。
 わざわざベラルーシに来るのだから滞在を有意義なものにしましょう。

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