ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2021年6月12日。金属加工工場

2021-06-12 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2021年6月12日。ビテプスク州ミオルィ市にある金属加工工場を近く、ベラルーシ大統領が視察のため訪問することが決まっていました。 
 ヘリコプターで向かう予定で、ヘリポートがないので工場近くに着陸できる場所があるかどうか、着陸の予行までしていたのです。
 ところが、11日、この工場の工場長をはじめ経営陣や、ミンスク事務所の経理部長など、10名近くが身柄拘束されました。
 詳細は不明です。


 ライアンエアー緊急着陸事件の際に逮捕されたプロタセヴィチ氏の両親が、ドイツのメルケル首相にベラルーシの政治犯の早期解放をベラルーシ政府に働きかけるよう訴えかけました。

 
  ドイツの銀行KfW IPEX-Bankはベラルーシへの1億ユーロの融資をキャンセルしました。


 ベラルーシで、被写体になる人が許可しなかった場合、写真や画像などを公開するのは違法にするという法律を作る話が出ています。私からしたら、いまだにこういう法律がなかったの?と驚きますが。この法律が成立すると、反政府デモのようすを写した画像などネット上で上げられなくなりますね。
 もっともマスクをしていて顔が分からない人もたくさんいますが。


 ノーベル賞作家、スベトラーナ・アレクシエーヴィチは治療滞在しているドイツで、野党リーダー、チハノフスカヤ氏、映画監督パルヤン監督(第71回ベルリン国際映画祭で、「Courage(勇気)」を出品)と対談しました。
 その中でベラルーシ国民に対して「落胆しないで!」と呼びかけ、またこのように言及しました。
「治安部隊がしたことの多くは、強制されたことではありませんでした。大統領は、何千人もいる治安部隊員が何をしたのか個々に追跡調査はしないし、できない。路上に倒れた高齢者を警棒で叩いたり、収容センターや刑務所の独房に人を収監し、檻房のトイレの水をわざと止め、床に消毒用塩素をまいて、床に立てなくしたり、5人用の檻房に25人も拘束者を詰め込んだりといったことは、誰か(大統領など政府)にやらされてしたのではないのです。これは個人(治安部隊、警察、刑務官など)の憎悪から起こした行動です。自分で起こした行動なのです。」

 見方によっては、反政府派への弾圧はベラルーシ大統領に責任はないと擁護しているようにも取られる発言です。が、アレクセーヴィチはとても鋭い点を突いていると思いました。人種に関係なく、このような状況、このような社会の中に人間が置かれると、行動が異常になってしまうということです。
 この発言はドイツでしているのですが、第二次世界戦中のナチス・ドイツがユダヤ人をはじめ、強制収容所の中に入れられた人たちに対して、具体的にああしろこうしろとヒトラーが命令していたでしょうか。命令の内容はざっくりしていて、細かいところは現場の人間が判断して実行していたでしょう。あるいは、自分の行動が止められなくなるのかもしれません。アレクシエーヴィチはそういった人間の心のこと(人は人を憎悪する)を指摘しています。そしてこれは誰にでも起こりうるものです。

 
 

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