ベラルーシの部屋ブログ

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2024年2月20日。ウクライナ侵攻から728日目

2024-02-20 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2024年2月20日。
 
 ロシア主要メディア「コメルサント」紙によると、ロシアの通販大手「メガマーケット」が「禁書リスト」の存在を認めました。ロシアの「ネット通販協会」が主導し、著名作家の作品の中から、LGBTに関連しそうなものを選んで、一覧表にしたそうです。ロシアでLGBTの性描写を含む書物の「禁書リスト」が発表されました。
 禁書リストにあがったのは252冊。村上春樹の作品も含まれています。『ノルウェイの森』と『スプートニクの恋人』の2冊です。
 他にも日本作家では、吉本ばななの『ハードボイルド / ハードラック』、三島由紀夫の『禁色』、水名瀬雅良の漫画『empty heart~偽りの恋だから~』も含まれています。

 ロシアで2022年12月に「LGBTプロパガンダ禁止法」が改正され、「伝統に反する性的な関係を持つことや、それへの志向、および小児性愛者、性転換を宣伝する情報の流布」が禁止されることになりました。罰金は出版社の場合、80万~500万ルーブル(130万~400万円)です。
 この禁書リストが作られたのは2022年11月ごろ。禁止法が成立する直前です。メガマーケット社は「ロシアのネット書店は、(法改正前に)LGBT関連の本を書棚から隠した」とコメルサント紙に述べました。そして、禁書リストは、ネット出版業界が、「禁止法」の採択を前に、悪いケースに備えておこうとして作ったようです。
 
 ロシア大統領はウクライナ侵攻を、欧米的な価値観からロシア人を守る戦いと位置づけており、「ゆがんだ価値観」とみなす代表格が、LGBTとしています。
 2023年2月には大統領年次教書演説で、「児童虐待、小児性愛までが、彼ら(西側エリート)の規範とされ、(西側では)聖職者や神父は、同性婚を祝福することを強要されている」と述べました。
 ロシア最高裁は2023年11月、LGBTなどの活動を「過激派」認定し、活動を禁止。
 今年1月には虹色のピアスをつけたロシア人女性が、虹色がLGBTを連想させるとして、逮捕される事件も発生。こんなことをするからロシアから外国へ出国しようとする若者が増えるんですよ。

 日本人作家以外に禁書リストに載った主な作家と作品はこのとおりです。
ドストエフスキー『ネートチカ・ネズワーノワ』
オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』
スティーブン・キング『それぞれの季節』『IT』
ジョン・アーヴィング『また会う日まで』『サイダーハウス・ルール』
マルセル・プルースト『失われた時を求めて』
ジャン・ジュネ『花のノートルダム』
アンドレ・ジッド『贋金つくり』
プラトン『饗宴』
ボッカチオ『デカメロン』

ちなみにこの禁書リストはロシア国内が対象なので、ベラルーシには関係がないようです。村上春樹の本など問題なく売られています。図書館にも貸出コーナーにあります。