5月16日ベラルーシの地方都市ビテプスクへ出張に行ってきました。
いくつか用事をこなさないといけなかったのですが、そのうちの一つが「世界で一冊の手作り本コンテストで優勝した新美南吉童話集が見たい。」でした。
昨年ベラルーシは、
ベラルーシ語の聖書が初めて印刷されてちょうど500年ということで、各地でさまざまなイベントが開催されていたのですが、その一つ「世界で一冊の手作りの本コンテスト」がビテプスクで開かれました。
優勝したのはビテプスク市立図書館勤務のデザイナー、オリガ・シシロさんです。
シシロさんが題材に選んだのが新美南吉の童話集だったのです。ビテプスクには16の市立図書館があるのですが、その中で使われるお知らせのポスター、コーナーのインテリアなどをコーディネートする担当者です。
だから器用なんですね。
チロ基金は2016年にビテプスクの図書館に
新美南吉ロシア語訳童話集「ごん狐」を寄贈しましたが、シシロさんは司書から勧められてそれを読んだところ、大変感動したそうです。
昨年手作りの本コンテストの募集が始まったとき、シシロさんは「でんでんむしのかなしみ」「去年の木」「カンザシ」の三話を選んで、自ら挿絵を描き、文章も全て手書きで、製本ももちろん全て一人で作って、応募したそうです。
全部で10ページですが絵も文章も手書きの一点ものなので、大量生産された本とは全くちがって、美術作品に見えます。
この作品は一点ものなので、ミンスクに住んでいる私はこれまで目にする機会がなかったのですが、今回ビテプスク市立中央図書館で保管されているのをようやく見ることができました。感激です。
シシロさんにもお話をうかがいましたが、この3作品を選んだのは、 手書きの本のため、短い話の中から好きなものを選んだそうです。この中でも特に「でんでんむしのかなしみ」が好きな話だそうで、
「この話を読んだとき感動しました。今までの自分の人生を振り返るきっかけとなった作品です。」
とシシロさんは私に話してくれました。
画像は自分の作品を手にしたシシロさんです。