ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第125回」

2011-10-25 |   ビタペクト配布活動
10月24日にビタペクトTと「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピー無料配布運動として、SOS子ども村への第125回目の配布を実施いたしましたので、ご報告いたします。
 今回はビタペクトTを12個、そして「放射能と栄養」のコピーを10部渡しました。
 これで今までに配布したビタペクト2とビタペクトTは合計1873個、「チェルノブイリ:放射能と栄養」のコピーは1640部となりました。
  
 今回で通算135回目のビタペクトT(ビタペクト2)と「チェルノブイリ:放射能と栄養」の配布となりました。
 延べ人数ですが、1873人の子どもにビタペクトT(ビタペクト2)を、1640家族分の「放射能と栄養」のコピーを配布したことになります。

(これまでのビタペクト2配布運動について、詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/bitapekt/index.html


http://blog.goo.ne.jp/nbjc/c/e1e67d76a4796f3c95377bb7bdabd215


(またこの活動報告を読むにあたり、「チロ基金の活動『ビタペクト2無料配布』について追加のご説明」も併せてご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/67c3b73ea2f30e880c3d4eb8bedded13


(ビタペクト2とビタペクトTについてはこちらをご覧ください。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/5cab63b65562dd2f64a820a7e4298a0b


(「チェルノブイリ:放射能と栄養」について詳細はこちらをご覧ください。)

http://belapakoi.s1.xrea.com/chiro/katudou/chel/index.html


(SOS子ども村についてはこちらをご覧ください。) 

http://belapakoi.s1.xrea.com/jp/no2/2001/soschild.html


(ビタペクトTを開発、製造、販売しているベルラド放射能安全研究所の公式サイトはこちらです。)

http://www.belrad-institute.org/


(ベルラド研究所について日本語でご紹介している記事はこちらです。)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/c382ef7eca8660531e895c8a646e7f2a


 今回は2家族がSOS子ども村に保養滞在していました。それぞれの家族に話を伺いました。

(家族A)

 グロドノ市(チェルノブイリ原発から約400キロ)から来た家族。お母さんが7人の養子を引率していました。全部で12人の子どもがいるという家庭タイプの孤児院とベラルーシで言われる家族です。
 この家族には6個のビタペクトTを渡しました。
 この家族は2008年にもSOS子ども村で保養滞在しています。そのときのようすはこちらをご覧ください。
チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村 第81回」(家族B)

http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/6c2428b23895a02787fe67d908faf93a


 前回と今回のそれぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクトT(前回はビタペクト2)を渡しました。
 
母親(事故発生時16歳)19ベクレル → 6ベクレル
男子 11歳  7ベクレル → 29ベクレル ○
女子 10歳  7ベクレル → 12ベクレル
男子  9歳 40ベクレル ○ → 28ベクレル ○
男子  9歳 54ベクレル ○ → 30ベクレル ○
女子  9歳 (今回初測定)36ベクレル ○
女子  9歳 (今回初測定)33ベクレル ○
男子  3歳 (今回初測定)30ベクレル ○

 このうち9歳の男子2人は双子の兄弟です。
 お母さんにお話を伺うと、11歳の男の子は精神発達遅滞が見られ、特別養護学校に通学しているそうです。(前回の滞在のときはこのような話は聞いていなかったのですが・・・。)
 9歳の双子はお菓子アレルギーがあり、甘いものを食べると皮膚にぶつぶつができることがあるそうです。
「お菓子を食べちゃダメ、と言っていますが、何分子どもなので難しいです。」
とお母さん。

 9歳の36ベクレルの女の子ですが、たくさんの病気を抱えています。脳性まひ、さらに脳の中に嚢胞ができています。4年前には白血病を発症。子ども腫瘍学センターで検査を受けていますが、医師からチェルノブイリ原発事故が原因と認められました。投薬治療を受けていますが、今度は薬の副作用で腎炎を起こしてしまいました。
 この女の子は生みの母親がアルコール中毒になったので、おばあさんに引き取られましたが、白血病になると、通院などが大変になったので、おばあさんが
「私のような年寄りでは面倒が見られない。」
と孤児施設に入れてしまったそうです。他にも叔父さんや叔母さんなど親戚がいますが、引き取ろうという人はいなかったそうです。
 そして今から3ヶ月前、今の養親に引き取られました。血はつながっていませんが育てのお母さんは献身的にこの女の子の面倒を見ています。
 3歳の男の子も今年の夏、養子にしたそうです。生みの母親は精神的な病気で育児ができないそうです。父親は病死。

 お母さん自身は乾癬という皮膚の病気に悩んでいる、ということでした。秋や冬の季節の変わり目のほか、ストレスを感じると、ひじの部分の皮膚が乾燥して硬く、ざらざらになってしまうのだそうで、実際に見せてくれました。
「この乾癬はチェルノブイリ原発事故が起きた後、患者になる人が増えたそうです。でも放射能ではなくストレスが最大の原因かも・・・。いつも子どもたちの病気のことが心配で・・・。」
とお母さんは話していました。  
 チェルノブイリ事故後、若い世代の関節痛も増えた、とも話していました。

 この一家のお父さんのお父さんはチェルノブイリの事故処理作業員だったそうです。多くの作業員が健康状態が悪くなるなか、家族はおじいさんのことをずっと心配していたそうです。
 おじいさんは最近まで健康でしたが、心臓の具合が少し悪くなってきたそうです。でもこれは年齢のせいかもしれません。

 お母さんは前回の保養のときの測定の結果、54ベクレルの子どもがいるのを知って、ショックを受け、その後きのこはいっさいたべなくなったそうです。前回ビタペクト2をあげた子どもの結果がよくなっていたので、お母さんは喜んでいましたが、私からすると、前回の測定は3年も前のことだし、今回も20ベクレル以上でまたビタペクトを飲まないといけないので、手放しでは喜べません・・・。

 お母さんは地方の村の出身で今年生まれ故郷の村の隣村にある一軒家を購入したそうです。夏の間子どもたちを新鮮な空気を吸って、自然の中で遊んでとてもよかったと話していました。
 でも近くの森でベリーを集めてみんなで食べた、と言っていたので
「そのベリーは放射能は大丈夫ですか?」
と尋ねると
「非汚染地域ではない『きれいな森』の認定をうけているところで、他の地域に住んでいる人もわざわざその森に来るのよ。」
という返事でした。
 その村で飼われている牛の生乳を子ども達は飲んでいるそうで、少々心配ですが、やはり原発から400キロも離れたところに住んでいると、「まあ、大丈夫だろう。」と思ってしまうのが普通の人の感覚か、と思います。


(家族B)

 ミンスク(チェルノブイリ原発から約350キロ)から来た家族。
 お母さんが7人の実子を連れてきていました。この家族にも6個のビタペクトTを渡しました。
 それぞれの体重1キロあたりの放射能測定結果はこのとおりです。○印の子どもにビタペクトTを渡しました。
 
母親(事故発生時9歳)18ベクレル
長女(11歳)18ベクレル ○
長男(8歳)29ベクレル ○
次女(6歳)34ベクレル ○
次男(5歳)38ベクレル ○
三男(4歳)24ベクレル ○
三女(3歳)38ベクレル ○
四女(1歳)28ベクレル

 四女は1歳なので、ビタペクトTを渡していません。 
 長男はおへその上の一部が膨らんでいます。ヘルニアだそうです。(おへそも出べそでした。)
 三男は生まれつき心臓に欠陥があると言われましたが、特に治療は受けていないそうです。長男と同じ場所に膨らみ(ヘルニア)が見られます。生まれたときは体重2100グラムだったそうです。
 男の子2人のヘルニアですが、
「手術したほうがいい。」という医者と「スポーツしていたら治る。」という医者もいて、今のところは様子を見ている状態だそうです。

 三女は生まれたときの体重が2000グラム。今も体が小さいです。生まれたときに頭に小さい変色した箇所があったので、お母さんは生まれつきのあざだと思っていたそうです。
 ところがどんどんその部分が膨らんできたので、調べると血腫ができていることがわかりました。今も少しずつ大きくなってきているのですが、髪の毛に隠れているので見た目には分かりません。大きさが小さくなった時期もあるそうです。
 本人は痛いわけでもないので、放置している状態ですが、それも診てもらった医者によって言っていることがちがっているので、どうしたらいいのか分からない、とお母さんは話していました。「手術して取ったほうがいい。」「焼き切るほうがいい。」「下手に触らないほうがいい。」などと言われているので、お母さんは判断できない、まだ小さいので手術はさせたくない、ということでした。

 そのお母さんですが、6歳のときに外で遊んでいたらよその子どもから棒で目をつつかれて、片方の目が失明してしまいました。義眼をいれています。
 お母さん自身は身体障害者年金をもらっており、子どもたちも3歳までは育児手当をもらっています。
 お父さんの収入はいいほうだ、と言っていましたが、およそ10年の間に子どもが7人生まれて、お母さんの歯がぼろぼろになっていました。(子どもにカルシウムをとられるため。)
 すごくやせていて「お母さんの健康は大丈夫なのだろうか。」と心配になってしまいました。

 いつものように折り紙や、折り紙の作り方のコピー、折鶴などをプレゼントしました。富士山の絵葉書に子どもたちの名前を筆ペンで書いてあげたらとても喜んでいました。
 お母さんにはアクリルたわし、また家族ごとに鳥の形の笛もあげました。
 子どもたちに日本のことを紹介するお話もするのですが、小さい子も熱心に聞いていました。

 最後になりましたが、ビタペクトTの購入費、そして「放射能と栄養」をコピーするために必要な経費を寄付してくださった方々、折り紙や絵葉書、アクリルたわし、おもちゃなど子どもたちへのプレゼントを寄贈してくださった方、また寄付や日本ユーラシア協会大阪府連主催のバザーなどでSOS子ども村への交通費を捻出してくださった多くの日本人の皆様に、この場を借りて深くお礼申し上げます。
 多くの方々に支えられて、この活動が続いています。
 ベラルーシの子どもたちもお母さんたちもSOS子ども村の職員の方々も皆様に大変感謝しております。本当にありがとうございました。