電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

「山形交響楽団クロニクル〜50年の軌跡〜」が冊子に

2024年09月29日 06時00分11秒 | クラシック音楽
過日、山響こと山形交響楽団事務局より、A4判の厚手の封書が送付されてきました。YSOニュースとチラシの案内かなと思いましたが、開封してみたら「創立50周年記念・山形交響楽団クロニクル〜50年の軌跡〜」という立派な冊子が入っていました。これまで当ブログの「クラシック音楽」カテゴリで何度も記事にしていた、山形新聞の伊藤律子記者による取材記事が、先日冊子化され、各公共図書館や学校などに送られたのは報道で知っていましたが、定期会員全員に送られてくるとは思っていませんでした。むしろ、定期演奏会の時に残部を有償で頒布してもらえないかなと思っていたほどで、これは芸術の秋にふさわしい、思いがけないプレゼントになりました。



連載の第1回から読み始めると、新聞の記事として読んでいたのとはまた違った、続きものとして一気に読むことによる強い印象を受けます。創立名誉指揮者の村川千秋さんらにより山形にプロ・オーケストラが設立され、多くの人々の支援を受けながら数々の困難を乗り越えて50年という節目の年を迎えたこと。同時代を生きてきた者として、あらためてすごいなあと感銘を受けます。とりわけ印象に残るのが、コロナ禍の中の苦闘です。



演奏が終われば聴衆の拍手があるのが当然と思っていたのが、実は当然ではなかった。聴衆が集まることの価値が、楽団組織の経営的な問題だけではない、演奏家の存在意義やアイデンティティに関わる深い意味があったことが浮き彫りになりました。作曲家がいて演奏家がいて聴衆がいる。それらはどれもかけがえのない存在なのだ、ということ。スクールコンサート等で未来の聴衆を育てていることの意味は大きいと感じます。どうも、大衆消費社会における単純な消費活動の枠には収まりきれないものがあるなあ。

地元紙・山形新聞が地元のオーケストラ「山響」を応援するということにとどまらない、素晴らしい連載記事を書かれた伊藤律子記者に感謝と敬意を贈ります。記事を提供した山形新聞と冊子にまとめていただいた編集委員会の皆様に心から御礼を申し上げます。本冊子は、私の宝物になりました。

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