電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形弦楽四重奏団第88回定期演奏会でモーツァルト歌劇「後宮からの誘拐」等を聴く(2)

2023年07月10日 06時14分31秒 | -室内楽
休憩後のプログラムは、フルート四重奏によるモーツァルトの歌劇「後宮からの誘拐」の第2幕と第3幕です。

第2幕は、「出ていってやるから覚えておけ」から。これはコンスタンツェの侍女ブロンデに番人の大男オスミンが言い寄り、あしらわれた後のセリフが歌になっています。ちょうど「魔笛」のモノスタトスのような役回りですが、もっとコミカルな感じです。続いて「悲しむことが私の定め」と嘆くコンスタンツェは弱気なヒロインかと思うと、「あらゆる拷問こそ」と気の強いところを見せたりします。従者ペドリッロは「さあ闘いだ!さあ武器を取れ!」と励まし、番人オスミンに睡眠薬入りのワインを飲ませる「良いぞバッカス!バッカス万歳!」と続きますが、有能な従者はふつうに睡眠薬なんて携帯しているものなのか(^o^)/ そしてベルモンテとコンスタンツェが再会、ベルモンテが「喜びの涙が流れるとき」を歌います。

第3幕は、脱出の際に勇気を鼓舞するベルモンテのアリア「愛よ!お前の強さと力が頼りだ」から。残念ながら番人オスミンが目を覚ましてしまい、逃亡を企てた四人を捕らえてしまいます。「よし、勝どきを上げてやろう」。太守が逃亡の企てを責めるので、ベルモンテは身分を明かして寛容を請います。ところがこれが逆効果で、実はベルモンテの父親は太守の仇敵! 「万事休す」かという緊迫の場面は太守が許しを与え解放するという驚きの展開に。そこで大団円の民衆の歌「太守セリム様、万歳!」、たしかこれは、映画「アマデウス」でヴォルフガング君がノリノリで指揮していたあの場面ではなかろうか?

いや〜、良かった。フルート四重奏で歌劇「後宮からの誘拐」というのも、録音のない当時の「ハイライト盤」のような役割だったのでしょう。私はLDで予習して場面を想像しながら聴きましたのでおよそのストーリーをたどることができましたが、初めて演奏に接する場合はどうだったのだろうと逆に興味深いものがあります。でも、小松崎恭子さんの見事なフルートと山形弦楽四重奏団の三人のアンサンブルに魅了されて、本家のオペラを観て聴いてみようと思った人も…いやいや、そもそも山形でこういう曲目の演奏会に来る人たちは、歌劇「後宮からの誘拐」は先刻ご承知の「濃〜い」人たちなのかな(^o^)/ それにしては、お客様の人数はけっこうな数になっていたように思います。県庁所在地とは言うものの人口20万人台の山形市、周辺人口を含めても40万人程度の地方都市で、88回を数える定期演奏会を継続してきた積み重ねの価値を感じます。素人音楽愛好家には実にありがたいことです。

そうそう、今回は後援の蕎麦屋「続おそばに」さんから、お客さん全員に写真のような最上早生の乾麺がプレゼントされました。ありがたい! さっと茹でてきゅっと冷やして、紫蘇の葉とミョウガでいただきましょう。

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