電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形弦楽四重奏団第70回定期演奏会でホフシュテッター、バルトーク、ウェーバーを聴く

2019年01月29日 20時15分18秒 | -室内楽
平日28日の夜、山形市の文翔館議場ホールで、山形弦楽四重奏団の第70回定期演奏会を聴きました。今回のプログラムは、

  1. ホフシュテッター 弦楽四重奏曲 ヘ長調 Op.3-5「セレナード」
  2. バルトーク 弦楽四重奏曲第4番 Sz91
  3. ウェーバー クラリネット五重奏曲 変ロ長調 Op.34 Cl:川上一道

というものです。今回は、仕事上のイベント出張の関係で時間ギリギリの到着となり、当日券で滑りこみセーフ。チェロの茂木さんのプレトークがちょうど終わる頃合いでした。



さっそく第1曲:ホフシュテッターの弦楽四重奏曲。しばしば(伝ハイドン)という付記があるように、ハイドンの作品と思われていた時代があったのだとか。
第1楽章:プレスト。たしかにハイドン風ではあるけれど、ハイドンほどの自在な境地とは少し違っているような…それは事情を知っているから言えるだけなのかもしれません(^o^)/
第2楽章:アンダンテ・カンタービレ。他の三人がピツィカートする中で、弱音器を付けた?1st-Vnがセレナーデを奏でます。これが曲の愛称の由来でしょう。第3楽章:メヌエット。途中でヴィオラの倉田さんがお休みのところがあり、こんなとき演奏家は何を思うのだろうか。第4楽章:フィナーレ、スケルツァンド。楽しい音楽です。

2曲めはバルトークの第4番。うーむ。この曲は高校生の頃に「バルトークの弦楽四重奏曲中の最高傑作」という評判を聴いて果敢に挑戦したけれど、なにせカラヤン/BPOの「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲にうっとりするような当時の感性では不協和音と強烈なリズムに太刀打ち出来ず、あえなく敗退したという印象の記憶が強いです。通勤の音楽で聴き慣れたとはいえ、初の実演になんだか構えて聴いてしまいます。
第1楽章:アレグロ、なんだか落ち着きません。第2楽章:プレスティッシモ、コン・ソルディノ、弱音器を付けて。Vnが気難しくぶつくさ言っているような感じ。第3楽章:ノン・トロッポ・レント。茂木さんのチェロが力強さ、静謐さを感じさせる面も。第4楽章:アレグレット・ピツィカート。これがいわゆるバルトーク・ピツィカートの由来でしょうか。第5楽章:アレグロ・モルト。ハンガリーの民謡風の要素が濃厚ですが、同時にぶつかり合う要素もあり。
うーむ、何と言いましょうか、バルトーク。「管弦楽のための協奏曲」のように、従来の調性とは違うでしょうが、広い意味での調和というか、対比やシンメトリーのような面白さを表現しきるのは、難しいのだろうなあと思いました。



休憩の後は、ウェーバーのクラリネット五重奏曲です。ステージ左から、1st-Vn、2nd-Vn、Vla、Vc、Clという楽器配置です。演奏が始まると、水を得たようなと形容するしかない、そんな第一印象を持ちました。第1楽章:アレグロ、第2楽章:ファンタジア、アダージョ・マ・ノン・トロッポ。いい音楽を聴いたなあという実感があります。第3楽章:メヌエット、カプリッチョ・プレスト。めまぐるしく動きまわるメヌエットです。第4楽章:ロンド、アレグロ・ジョコーソ。クラリネットが、戯れるように低音から高音へ駆け上がり、また駆け下りる。名技性をふんだんに示して、ほんとにスカッとする音楽です。

今回の定期で団を卒業するセカンド・ヴァイオリンの今井東子さんに、小学生の女の子から花束が贈られて、アンコールはホフマイスターのクラリネット四重奏曲。左から、1st-Vnが今井さん、Vla:倉田さん、Vcが茂木さん、Clが川上さん。そういえば、今井さんが加わってから何年になるのだろう?ずいぶん多くの演奏会を楽しんだ記憶があります。



願わくは、山形弦楽四重奏団がそう遅くない時期に、また四人で開始できますように。またステキな弦楽四重奏曲をたくさん聴くことができますように。

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