リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

「ブ」がお好き?

2021年10月02日 12時13分01秒 | 日々のこと
コンサートで曲が終わると「ブラボー!!」と叫ぶいわゆる「ブラボーおじさん」が会場にいらっしゃることがありとっても迷惑千万ですが、その「ブラボー」、元はイタリア語でBravo!です。日本語的にいうとホントは「ブラーヴォ」が近いです。ちなみにbravoは一人の男性に対して、一人の女性に対していう場合はbrava、複数の人に対し言う場合はbraviと言うそうです。日本のブラボーおじさん、なぜかおばさんはいないみたいですが、彼らはそんな文法上の決まりは全く気にせず「ブラボー」で押し通しています。

おじさんたちの雄叫びは日本語ですから語尾の変化がないのも当然で、日本語的には全く正しいです。ええそれは日本語ですから。イタリア語やドイツ語で言うときはもちろん正しく発音はできますよ、なんておっしゃる方も多いかも知れませんが、それがなかなか。[b]のあとにまた子音が続く語の場合、ほとんどの日本人イタリア語やドイツ語学習者はbのあとにuを入れてしまいがちです。かなり語学が堪能だと自負される方でも[u]が少し入ってしまいます。[b]は我々が考えているより短く破裂的な音なのです。

日本人は[b]に[u]を加えて[bu]にするどころか、最近はそれを伸ばして[bu:]という人もいるようです。最近見たビールのCMでは「ブーラボー」なんて言っていました。(笑)日本人はどうも「ブ」が好きなようで、「ブ愛」が高じてついに「ブー」の域まで到達しているようです。

イタリア語のブラボーだけでなく、ドイツの作曲家ブラームス、オーストリアのブルックナー、あるいはバッハの作品ブランデンブルク協奏曲、ドイツ語単語brauchen(必要とする)、英語単語bring、bringなどの[b]の子音、こんなの軽いもんよ、と思ってらっしゃる方、他の2連続3連続子音の語も含めて、一度発音チェックをした方がいいかも知れません。