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目標を定め、ノルマを決め、期限までにやりきるといった多くの企業がやっていることは一切しない。とりわけ「頑張る」はしないどころか、禁止。それでも業績は10期連続最高益を更新中。
そんな「しない会社」ワークマンが、どのようにブルーオーシャン市場を発見し、顧客拡大して業績を上げたのか。どのように自分の頭で考える社員を育てたのか。
その秘密に迫ります。
「しない経営」と合わせ、両輪となっているのが「エクセル経営」です。店舗在庫の数量データすらなかった過去から、高度なAIソフトやデータサイエンティストを使わずに、ただのエクセルを活用することで、どのように変わったか。そこも興味深かったです。
・ワークマンの顧客拡大とは、深掘りしてきた高機能・低価格製品を編集して、これまでとは異なるお客様に届けること。
・ワークマンが目指す新市場の選定や客層拡大がアンバサダーによって行われている。ワークマン愛好家のアンバサダーたちが、「この製品はツーリングにいい」「キャンプに使い勝手がいい」ときちんと編集したうえで、情報発信してくれる。
・勘と経験に頼る従来の経営からデータで判断する経営(エクセル経営)に変わることで、多くの社員が自分で考える癖を身につけた。
余計なことを何もしないからこそ、一つのことをやりとげることができる。
企業変革のケーススタディとして活用できる1冊です。
【my pick-up】
◎社内行事はしない
社内行事の準備から解放された社員は「他の仕事ができるようになってよかった」と言っている。ランチや飲み会は、社員が自主的に行うことはあっても、会社として行うことはない。昼間の仕事で互いに話しているのに、夜まで同じメンバーで話す意味はない。夜にならないと本音を言わない人、酒を飲まないと言いたいことが言えない人は、根本的に仕事に向いていない。
仕事が終わったら家族や社外の友達などとリラックスして時間を使うべきだ。ワークマンでは社内だけでなく外部との飲み会もしない。あらゆる無駄を廃止し、それでなんらかの支障が出たら復活させればいい。まずはやめることが大切だ。
◎中位6割、下位2割を活性化する方法
ワークマンに来てからあらゆる部署の社員たちとひざをつき合わせて話をしてみて、上位以外の8割(中位6割、下位2割)を活性化すること、すなわち彼らの興味の度合を少しでも増幅させることが、会社の成長や変革にとって不可欠だと考えるようになった。
全員参加の「エクセル経営」を行うには草の根の意見、多様な意見を集める必要がある。また、上位2割はすでに興味=ワクワク感が増幅されているが、中位6割の興味は中くらい、下位2割の興味はさらに小さい。
そこで中下位8割の活性化のために、具体的には次の3つを行った。「得意分野の仕事をやってもらう」「得意分野がない場合は得意分野をつくる」「長所をほめて自信を持ってもらう」。