誰だっけ？

　ある会合の席で「牛坂さーん　久しぶり～」と美女が駆け寄って来てくれた。
　私のことを牛坂と呼ぶ人は、私がイラストレーターをしていたころの付き合いで、かなり古い付き合いの人だ。

「・・・？」

　その人の顔に見覚えはあるが、誰だったのかがわからない。
　会場の端の方の席から目が合うとにこやかな笑顔で会釈をしてくれる人もいるがこの人も誰だかわからない。
　

　数年前まではこうした場合では、相手に失礼にならないようにと適当に話を合わせながらも、頭の中ではかなりあせっていろいろな名前と顔を思い浮かべてその中から合致する人を探し出す努力をしていた。

　しかし頭が禿げた現在では「やー、やー、久しぶりだね・・・ところで誰だっけ？」
「やだー、〇〇ですヨ、△◇社の」
　などと言う失礼が許してもらえるようになってしまった。
　ハゲの効能である。

　先日も街中で前方からニコニコしながらこちらに近づいて来るご婦人があって、誰だったかなぁと思い頭の中ではいろいろな名前を検索したが出てこない。
　よく見かける顔なんだが・・・。
　とうとう声をかけ合う距離にまで近づいてしまった。

「お久しぶりですが、お元気そうで」
「何が久しぶりなのよ、あんたは自分の女房の顔も忘れてしまったのかい！」

　・・・・なんてぇのは冗談で、まだ症状はそこまで進んではいませんからご安心ください。

工作・海老名の昔話

　Ｂ級アート展覧会に向けて「工作版・海老名の昔話」の人形を作りはじめた。

●ペットボトルにガチヤポンのカプセルの頭を乗せたベースに和紙で飾り付けた人形は、海老名市にある有鹿（あるか）神社の伝説に由来する「有鹿姫」の試作。

●紙コップとカプセルが素材の人形は上今泉に伝わる「馬鹿面踊り」の村人たち。

　

どちらもまだ製作途中のものだが、人形作りの素材も技法も手探りの試行錯誤をしているから、一応簡単なスケッチを起こしてそのスケッチに基づいて作ってはいるが、途中でて変更箇所が出てきたりして最終的にどんな仕上がりになるのかまだ判らない。