6月24日にウエスティン東京で開催された オーストリアビールプレゼンテーション を取材してきました。
※事前の告知記事は → コチラ
案内役は、初代ビアソムリエ世界チャンピオンの カール・シフナー氏。
※プロフィールは上記の告知記事を参照ください
同日の午後の ビール&フードペアリングセミナーも取材しましたので、まずはセミナーの方からリポートします。
カール・シフナー氏 (オーストリア出身)
オーストリア は北海道くらいの大きさの国で、人口は約850万人。
ビールで有名なドイツ同様、オーストリアもビールをよく飲み、16~65才がビールをよく飲む年齢層。
オーストリアは16才から飲んでいいんですね。
国内には約150のブルワリー(ビール醸造所)があり、ピルスナー、ボック、ヴァイス、ドゥンケル、メルツェン、トラピスト、アイスボック、バーレイワイン、シュタルクビアetc...と、さまざまなタイプのビールがつくられています。
日本でビールと合わせる食べ物といえば、居酒屋メニューが定番でしょうか。
焼き鳥、枝豆、唐揚げ、焼肉、フライドポテト、肉じゃがもいいですし、ソーセージ、ポテトチップス、柿の種etc...と、あれこれ思い浮かびます。
それらをガーッと流し込むように飲むのが、日本でのビールの飲み方のスタイル?(笑)
最近はIPAビールをはじめ、クラフトビールが人気で、飲める店もあちこち増えてきましたけれね。でも、食とかウェルというよりも、やはりビールをじっくり味わうのがメインで、フードは添え物になっているケースが多いかもしれませんね。
そんなわけですから、ビールと食のマリアージュを探るのは実に面白いと思いました。
いよいよ、ビールとフードのペアリング理論&テイスティング です。
まず、マリアージュのポイントは4つ。
1)同類で合わせる:似たものが重なると、お互いを高め合う。
例)サワーエールと酸味のあるフード
2)対比させる:辛いものと甘いもの、甘いものと苦いものなど。
3)相互強化:お互いを引きたてるものと組み合わせる。
例)ウオッシュチーズと苦みのあるもの
4)対照的なもの:例)辛い食べ物が苦みによって助けられ、辛みが落ち着く。
「そのものの味が印象的でないものでも、組み合わせによっておいしく感じられものがある。また、よくある組み合わせでも、自分で試すことが大事。もっと違う味はないか?いつも考えることが大事」と、シフナーさん。
まずは、アペリティフ としてのビール。
日本での、「とりあえずビール!」も、よく捉えればアペリティフでしょうか(笑)
食事の前に最初に口にするものなので、非常に大事なポジションになります。
食欲を増進させる苦みのあるものや、後に口にするものが楽しめ、影響を与えないものがオススメ。
食欲増進目的なら、アルコールの高いビールを小さななグラスで少量提供するのもgood。
ハーブビア、ラドラー、カンパリのピルスナー割り、リキュールのビール割り、ダークビールのスパークリングワイン割りなどなど、色々な組み合わせが可能です。
ブドウ果汁を使ったビールもアペリティフにピッタリ。
アペリティフで飲む場合は、ビールグラスよりもワイングラスに入れると、食事の雰囲気も壊さず、アロマも楽しめます。
また、タイプを選べば、アペリティフとして飲んだビールを、そのまま食中酒としても飲み(温度8~10℃くらいで提供)、最後にデザートとして(13~15℃)楽しむのもありだそうですよ。
前菜 とビール
重くないもの、全体の味を壊さないものを、お腹いっぱいにならない量で。
軽めのサラダなら、ノンアルコールビールか、軽いビールなどを。
肉の冷菜にはペールエールなどがオススメ
レバーなどの肉系のパテなら、フェストビアやストロングエールもOK。
ビールと スープ!
液体と液体のマリアージュですが、シフナー氏のイチオシはクリームスープ。
まずビールを口に含み、なじませた後に、スープを入れ、ビールを含ませると、ハーモニーが調和しやすいそうです。
濃度のあるポタージュと合わせてみたいですね。
今の季節なら、冷たいヴィジソワーズなんかどうでしょう?
ビールの炭酸が、スープのうまみを舌に残します。
「ほぼ終わりのない遊び」と、シフナー氏。
ベジタリアン料理、パスタ とビール
パスタもビールも穀類からつくられたものなので、合わせやすい組み合わせ。
ハーブやスパイスを使ったり、オーガニックの素材を加えると、よりマッチングしやすくなります。
ライ麦パン とビールなら、パンをゆっくり噛み、パンの風味が出たところに、ライ麦風味のするナット・ブラウンエールを乗せてみるとバッチリ!
魚 とビール
魚の種類、調理方法によるが、魚の風味だけが強調されすぎないビールがよく、相乗効果のあるものと合わせるのもコツ。
例)脂肪分の多い魚には強いビール、辛いスパイスを使った料理には苦みの強いビール
牡蠣などの塩味のあるものはローストアロマのあるデュンケルなど
ビールを使って魚を調理する例がオーストリア、ドイツなどではよくあり、ビールで溶いた粉の衣をつけて揚げたりするそうです。
ビールビネガーも最近多く、魚のマリネや、サラダのドレッシングに使われるとか。
肉料理 とビール
魚同様、鶏、他の鳥類、野鳥、豚、牛、ジビエなどの素材や、調理方法(蒸す、茹でる、焼く、煮込む、スモークするなど)、香辛料の使い方によっても、よりマッチする組み合わせがある。
ワイン同様、軽い味わい、シンプルな味付けの料理には軽いビール、煮込みなどのこってり重厚な料理、グリルには強いタイプのビール。
牛肉のカルパッチョなら、アンバーエールがバルサミコにもよくマッチ。
トロピカルフルーツを加えた料理なら、フルーティーな IPA などと。
ビールを肉料理に使う例として、オーストリアでは“ビールチキン”があります。
ビール缶の上に鶏肉を載せ、オーブンに入れて焼くと、チキンにビールの風味が移るという料理。当然、ビール缶は開けておかないと爆発します!やけどにも注意!
ビールと チーズ
チーズは、乳種、製造方法、熟成期間により多様なので、ビールとの組み合わせは星の数ほどありますが、脂肪分の高いチーズには強いビール、軽めのチーズには軽いビール が基本。
山羊チーズなら強めのエール、IPAなら熟成チーズやピリリとしたブルーチーズ、ラオホビールにスモークチーズ、ヴァイツェンボックならいろいろなチーズとの組み合わせが可能。
フレンチやイタリアンでは、チーズは食事の最後に出されますが、
チーズとビールの組み合わせは、日本の“お通し”にしてみると面白いのでは?
と、シフナー氏の提案。
これはすぐにでも実践できそうです。
スイーツ とビール
オススメの組み合わせはビールとショコラ。
まずビールを少し飲み、次にチョコを口に入れ、すぐに飲み込まずにしばらく口の中で温めたところに、ヴァイツェンボックやデュンケルなどのビールを飲み、チョコをビールで包み込むようにしてから、ビールのコートをチョコで突き破るようにして楽しむ。
ちょっと難しそうですが、これも実践できそうですね。
チョコレートタルトはダーク系の強いビールと、バニラアイスはヴァイツェンと、フルーツビール+ビールで使われている果物(チェリーやフランボワーズなどが多い)とアイスetc...と、これもまたさまざまな組み合わせがありそうです。
また、ビールそのものでシャーベットを作ることもあり、フルーツビアなら特によいとか。
フルーツ&クリーム系にはIPA かヴァイツェン チョコ系にはダーク系ビールが合いそうですね
食後酒 としてのビール
ビールからつくった蒸留酒やビールブランデー、オーク熟成ビールなど、アルコール度数が高く、アロマも高いもの は食後酒としても楽しめます。
ビールを他のお酒と合わせたウルトラ・ストロングビール、トリプルボック(とても強いボック)、バーレイワインetc...知らないものばかり。いずれチャレンジしたいですね。
ジュースやリキュールシロップなどをビールで割ったビアカクテルも食後酒にオススメで、ピナコラーダ、カイピリーニャなどはヨーロッパではよく飲まれています。
ヨーグルトとビールを半々で割ってレモンと砂糖を加えたヨーグルトビールなんていうものもあり、ノンアルビールでもOKだそうですよ。
セミナーではビール7種をテイスティング
テイスティングしたビールは、色も味わいも実にさまざまでした。
ワイン同様、ビールって奥が深い!
セミナーで合わせたフード
【後編】に続きます
※事前の告知記事は → コチラ
案内役は、初代ビアソムリエ世界チャンピオンの カール・シフナー氏。
※プロフィールは上記の告知記事を参照ください
同日の午後の ビール&フードペアリングセミナーも取材しましたので、まずはセミナーの方からリポートします。
カール・シフナー氏 (オーストリア出身)
オーストリア は北海道くらいの大きさの国で、人口は約850万人。
ビールで有名なドイツ同様、オーストリアもビールをよく飲み、16~65才がビールをよく飲む年齢層。
オーストリアは16才から飲んでいいんですね。
国内には約150のブルワリー(ビール醸造所)があり、ピルスナー、ボック、ヴァイス、ドゥンケル、メルツェン、トラピスト、アイスボック、バーレイワイン、シュタルクビアetc...と、さまざまなタイプのビールがつくられています。
日本でビールと合わせる食べ物といえば、居酒屋メニューが定番でしょうか。
焼き鳥、枝豆、唐揚げ、焼肉、フライドポテト、肉じゃがもいいですし、ソーセージ、ポテトチップス、柿の種etc...と、あれこれ思い浮かびます。
それらをガーッと流し込むように飲むのが、日本でのビールの飲み方のスタイル?(笑)
最近はIPAビールをはじめ、クラフトビールが人気で、飲める店もあちこち増えてきましたけれね。でも、食とかウェルというよりも、やはりビールをじっくり味わうのがメインで、フードは添え物になっているケースが多いかもしれませんね。
そんなわけですから、ビールと食のマリアージュを探るのは実に面白いと思いました。
いよいよ、ビールとフードのペアリング理論&テイスティング です。
まず、マリアージュのポイントは4つ。
1)同類で合わせる:似たものが重なると、お互いを高め合う。
例)サワーエールと酸味のあるフード
2)対比させる:辛いものと甘いもの、甘いものと苦いものなど。
3)相互強化:お互いを引きたてるものと組み合わせる。
例)ウオッシュチーズと苦みのあるもの
4)対照的なもの:例)辛い食べ物が苦みによって助けられ、辛みが落ち着く。
「そのものの味が印象的でないものでも、組み合わせによっておいしく感じられものがある。また、よくある組み合わせでも、自分で試すことが大事。もっと違う味はないか?いつも考えることが大事」と、シフナーさん。
まずは、アペリティフ としてのビール。
日本での、「とりあえずビール!」も、よく捉えればアペリティフでしょうか(笑)
食事の前に最初に口にするものなので、非常に大事なポジションになります。
食欲を増進させる苦みのあるものや、後に口にするものが楽しめ、影響を与えないものがオススメ。
食欲増進目的なら、アルコールの高いビールを小さななグラスで少量提供するのもgood。
ハーブビア、ラドラー、カンパリのピルスナー割り、リキュールのビール割り、ダークビールのスパークリングワイン割りなどなど、色々な組み合わせが可能です。
ブドウ果汁を使ったビールもアペリティフにピッタリ。
アペリティフで飲む場合は、ビールグラスよりもワイングラスに入れると、食事の雰囲気も壊さず、アロマも楽しめます。
また、タイプを選べば、アペリティフとして飲んだビールを、そのまま食中酒としても飲み(温度8~10℃くらいで提供)、最後にデザートとして(13~15℃)楽しむのもありだそうですよ。
前菜 とビール
重くないもの、全体の味を壊さないものを、お腹いっぱいにならない量で。
軽めのサラダなら、ノンアルコールビールか、軽いビールなどを。
肉の冷菜にはペールエールなどがオススメ
レバーなどの肉系のパテなら、フェストビアやストロングエールもOK。
ビールと スープ!
液体と液体のマリアージュですが、シフナー氏のイチオシはクリームスープ。
まずビールを口に含み、なじませた後に、スープを入れ、ビールを含ませると、ハーモニーが調和しやすいそうです。
濃度のあるポタージュと合わせてみたいですね。
今の季節なら、冷たいヴィジソワーズなんかどうでしょう?
ビールの炭酸が、スープのうまみを舌に残します。
「ほぼ終わりのない遊び」と、シフナー氏。
ベジタリアン料理、パスタ とビール
パスタもビールも穀類からつくられたものなので、合わせやすい組み合わせ。
ハーブやスパイスを使ったり、オーガニックの素材を加えると、よりマッチングしやすくなります。
ライ麦パン とビールなら、パンをゆっくり噛み、パンの風味が出たところに、ライ麦風味のするナット・ブラウンエールを乗せてみるとバッチリ!
魚 とビール
魚の種類、調理方法によるが、魚の風味だけが強調されすぎないビールがよく、相乗効果のあるものと合わせるのもコツ。
例)脂肪分の多い魚には強いビール、辛いスパイスを使った料理には苦みの強いビール
牡蠣などの塩味のあるものはローストアロマのあるデュンケルなど
ビールを使って魚を調理する例がオーストリア、ドイツなどではよくあり、ビールで溶いた粉の衣をつけて揚げたりするそうです。
ビールビネガーも最近多く、魚のマリネや、サラダのドレッシングに使われるとか。
肉料理 とビール
魚同様、鶏、他の鳥類、野鳥、豚、牛、ジビエなどの素材や、調理方法(蒸す、茹でる、焼く、煮込む、スモークするなど)、香辛料の使い方によっても、よりマッチする組み合わせがある。
ワイン同様、軽い味わい、シンプルな味付けの料理には軽いビール、煮込みなどのこってり重厚な料理、グリルには強いタイプのビール。
牛肉のカルパッチョなら、アンバーエールがバルサミコにもよくマッチ。
トロピカルフルーツを加えた料理なら、フルーティーな IPA などと。
ビールを肉料理に使う例として、オーストリアでは“ビールチキン”があります。
ビール缶の上に鶏肉を載せ、オーブンに入れて焼くと、チキンにビールの風味が移るという料理。当然、ビール缶は開けておかないと爆発します!やけどにも注意!
ビールと チーズ
チーズは、乳種、製造方法、熟成期間により多様なので、ビールとの組み合わせは星の数ほどありますが、脂肪分の高いチーズには強いビール、軽めのチーズには軽いビール が基本。
山羊チーズなら強めのエール、IPAなら熟成チーズやピリリとしたブルーチーズ、ラオホビールにスモークチーズ、ヴァイツェンボックならいろいろなチーズとの組み合わせが可能。
フレンチやイタリアンでは、チーズは食事の最後に出されますが、
チーズとビールの組み合わせは、日本の“お通し”にしてみると面白いのでは?
と、シフナー氏の提案。
これはすぐにでも実践できそうです。
スイーツ とビール
オススメの組み合わせはビールとショコラ。
まずビールを少し飲み、次にチョコを口に入れ、すぐに飲み込まずにしばらく口の中で温めたところに、ヴァイツェンボックやデュンケルなどのビールを飲み、チョコをビールで包み込むようにしてから、ビールのコートをチョコで突き破るようにして楽しむ。
ちょっと難しそうですが、これも実践できそうですね。
チョコレートタルトはダーク系の強いビールと、バニラアイスはヴァイツェンと、フルーツビール+ビールで使われている果物(チェリーやフランボワーズなどが多い)とアイスetc...と、これもまたさまざまな組み合わせがありそうです。
また、ビールそのものでシャーベットを作ることもあり、フルーツビアなら特によいとか。
フルーツ&クリーム系にはIPA かヴァイツェン チョコ系にはダーク系ビールが合いそうですね
食後酒 としてのビール
ビールからつくった蒸留酒やビールブランデー、オーク熟成ビールなど、アルコール度数が高く、アロマも高いもの は食後酒としても楽しめます。
ビールを他のお酒と合わせたウルトラ・ストロングビール、トリプルボック(とても強いボック)、バーレイワインetc...知らないものばかり。いずれチャレンジしたいですね。
ジュースやリキュールシロップなどをビールで割ったビアカクテルも食後酒にオススメで、ピナコラーダ、カイピリーニャなどはヨーロッパではよく飲まれています。
ヨーグルトとビールを半々で割ってレモンと砂糖を加えたヨーグルトビールなんていうものもあり、ノンアルビールでもOKだそうですよ。
セミナーではビール7種をテイスティング
テイスティングしたビールは、色も味わいも実にさまざまでした。
ワイン同様、ビールって奥が深い!
セミナーで合わせたフード
【後編】に続きます