ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

オーストリアビールと食のペアリング【後編】

2014-07-15 10:02:33 | ワイン&酒
【前編】 でアップしたセミナーに続いて開催された オーストリアビールプレゼンテーション では、オーストリアの10の醸造所の22種類のビールと、会場となったウエスティンホテル東京のオーストリア人シェフによるさまざまな料理が並びました。


まずは、ウエルカムビールから。


右)In Primus ゼクトシュタルクビア  シュレーグル修道院醸造所 (※左は後述します)

発泡ワインのゼクト酵母を使い、瓶内発酵でつくられたビールで、原材料は、水、モルト、ホップ、酵母、ゼクト酵母。アルコール9.9%。
きめ細かく、ビールなのにワイン的で、非常に上品。スーッと軽快に飲めました。
ワイン好きにならこれは気に入るはず。
食前酒のほか、肉料理やチョコを使ったデザートにも合うとか。
※シュタルクとは英語でstrong(強い)という意味


オッタクリンガー醸造株式会社
オーストリアの大手ビールメーカーで、航空機の機内サービスでもよく登場するそうですから、飲んだ人は多いでしょうか?



左)シュロス・エッゲンベルク 右)ブラウハウス・ジモン・シュトラッサー ツィラタールビール

ビールを柑橘系の果汁で割った ラドラー は、ジュースのように飲みやすく、ノドの渇きを潤してくれました。

ライム果汁とエルダーフラワーのジュースで割ったシュロス・エッゲンベルクのナチュラルラドラーはアルコール2.6%、オーガニックレモネードで割ったツィラタールのラドラー(右)は1.6%。
アルコールが低く、レモンの風味が爽やかなので、気軽に飲めますし、スポーツの後にも飲みたくなります。暑い季節にもピッタリ。
シャルキュトリが合い、温野菜もおいしい。これはハマります!
アルコールがライトなラドラーは、日本でも流行りそうな気がしました。



会場には、どれを飲もうか悩むほどたくさんのオーストリアビアがありました。
全部ではありませんが、その一部を画像で紹介します。



ラベルの意匠も、ビールの色も味わいも、実にさまざま!

数多くのビアの中で、私が特に気に入ったのは、ウエルカムビアと同じシュレーグル修道院醸造所のもの。


シュレーグル修道院ビール ヴィンテージ2013 シュレーグル修道院醸造所

上面発酵のシュタルクビアで、無濾過、アルコールは7.5%。
心地よい酸味があり、ワインと近い味わいが楽しめたので、とても気に入りました。
ビールなのにヴィンテージ入りというのも珍しくないですか?表裏のラベルもワイン風です。
これは長期保存できるそうです。


こんなビール初めて!と思ったのは、シュロス・エッゲンベルク醸造所のサミクラウス。


左)サミクラウス・バリック  右)サミクラウス・クラシック  シュロス・エッゲンベルク醸造所

どちらも、バーレーワイン というスタイル。
バーレーワインは、アルコールの最も高いエールビールで、どちらもアルコール14%。
熟成期間が長く(サミクラウス・バリックはオークのバリック樽で熟成)、瓶内でさらに熟成され、長期保存が可能なビールです。

サミクラウス・バリックなどは、もはやビールというよりは、リキュールのような味わいで、凝縮感のあるブドウはチョコレートを思わせる濃厚な甘い味わいでした。
どちらもチョコレートをはじめ、スイーツとの組み合わせが最高だとか。
こんなビールもあるんですねぇ。



シュロス・エッゲンベルク醸造所からはオーナーのカール・シュトア氏(右)が来日し、初代ビアソムリエ世界チャンピオンの カール・シフナー氏(左)と共にオーストリアのビールを紹介しました。


■出展醸造所リスト(アイウエオ順):
 エンゲルツェル・トラピストビール醸造所 (TrappistenbrauereiStift Engelszell)
 オッタクリンガー醸造株式会社 (Ottakringer Brauerei AG)
 ケルントナー醸造株式会社 (Vereinigte Kärntner Brauereien Ag)
 ジモン・シュトラッサー醸造所 (Brauhaus Simon Strasser)
 シュレーグル修道院醸造所 (Stiftsbrauerei Schlägl)
 シュロス・エッゲンベルク醸造所 (BrauereiSchlossEggenberg)
 ツヴェットル醸造所 (Privatbrauerei Zwettl)
 ヒルト醸造所 (Brauerei Hirt GmbH)
 ホーフシュテッテン・クランマー醸造所 (Brauerei Hofstetten Krammer GmbH & Co KG)
*ブラウハウス・ジモン・シュトラッサー ツィラタールビール醸造所 <追加>





料理 はいろいろあったのですが、ビールに集中して試飲していたら、写真を撮りはぐりました。
なので、こんな感じのお皿しか画像がありません。お許しを…




ただし、後半に出された スイーツ は、バッチリ撮影できました


Brandteig Krapfen (ブラントタイク クラプフェン)

ウィーン風シュークリームに合わせたのは、初体験のボックビール。


グラニート・アイスボック  ホーフシュテッテン・クランマー醸造所

アルコール度数の高いラガータイプのボックビールを、低温で熟成させた後、さらに数週間冷凍させてアルコールやエキス分を高めたのがアイスボック。
香ばしく、コーヒーリキュールぽい感じがあり、アルコール11.5%もあります。
ダーク系のケーキに合いそう。ウィーン風シュークリーム にもよく合いました



Linzertorte(リンツァートルテ)    Esterhazy Schnitten(エスターハージー シュニッテン)

リンツァートルテは、オーストリア北部リンツ発祥のケーキで、ラズベリージャム入り。
エスターハージー シュニッテンは、名門エスターハージー家の伝統菓子で、矢羽模様が特徴。
ヘーゼルナッツプラリネペースト、アーモンドバウダー、チョコレートなどが使われています。
※エスターハージー家については、以前の記事を参照してください → コチラ

ビールとのマリアージュなら、甘酸っぱいラズベリージャムが使われているリンツァートルテが最高に合いますね。濃厚なサミクラウス・バリックとバッチリでした。
サミクラウス・バリックは、ナッツの風味のするエスターハージー シュニッテンにも合わせられます。

スイーツとビール、最高です




それにしても、オーストリアビール、奥が深い!

その種類の豊富さ、多彩さに驚きました。

ビールに関しては、まだまだ初心者な私ですが、食とのマリアージュをからめながら、少しづつ実践で学んでいければと思いました。



そうそう、面白い話をオーストリア大使館のオーストリア人の方に聞いたのですが、

オーストリアではビールの注文方法が独特で、0.2リットル、0.3リットル、0.5リットルなど、量で注文できる そうです。

あまり量を飲めない時や、少しずつ飲み比べたい時などには、これは合理的ですね。
この注文方法はオーストリアだけとか。
日本でも広まってくれると嬉しいシステムでは?



今回のイベントは、ジャパンビアソムリエ協会 の主催によるものでした。
同協会では、ビールに関するさまざまなセミナーやイベントを開催していますので、興味のある方は、協会のホームページにアクセスしてみてください。
Facebookページもあります。


ジャパンビアソムリエ協会
 ホームページ http://www.beersom.com/
 Facebook  https://www.facebook.com/beersomjp/timeline

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