先月、オーストリアビールと食のマッチング の取材をした際、甘いもの好きの私としては、スイーツとビールのマリアージュに非常に興味がわきました。
そこで、主催のジャパンビアソムリエ協会に、これをテーマにイベントを開催してください~、とリクエストをしたところ、すぐにイベントが立ち上がりました!
※オーストリアビール&食のマッチングの取材記事 → コチラ
オーストリア菓子4種 × オーストリアビア4種
7月21日、オーストリア菓子の「ノイエス」を会場に、ノイエスのオーストリア菓子と、オーストリア出身のビアソムリエ世界チャンピオン、カール・シフナー氏がお勧めするオーストリアビールを合わせました。
オーストリアで経験を積んだ「ノイエス」 野澤孝彦シェフ
ルバーブクアルクシュニッテン Rhabarber-Quark Schnitten ファイゲン Feigen
ルバーブクアルクシュニッテン は、このところ注目されている食材“ルバーブ”(福島産)と“クアルク”(フレッシュチーズ)を合わせ、“イタリアンメレンゲ”を載せたケーキ。この3つの食材は、お菓子の世界の“黄金トリオ”だとか。ルバーブはスープにも使われます。赤く見えるのがルバーブの甘酸っぱいジャムで、このケーキは全体が甘酸っぱさに包まれています。
ファイゲン は、白ワインでコンポートしたいちじくを丸ごと1個焼き込んだタルト。とろりとやわらかないちじくにキャラメルとナッツが加わり、リッチで甘美。タルト部分は香ばしく、イチジクの果肉の部分はねっとり濃密。甘さは強いけれど、ピュアな甘さで、クドくありません。見た目はシンプルですが、中身が濃い。いちじく好きにはたまりません!
カーディナルシュニッテン Kardinalschnitten ザッハトルテ Sachertorte
カーディナルシュニッテン は、卵白と卵黄の2種のメレンゲをストライプ状に焼いたお菓子。コーヒークリームのコーヒー風味がしっかりきいています。全体的にとてもやわらかく、ふんわりしたケーキですが、コーヒーのほろ苦さがいいアクセントになっています。これは初めていただきましたが、かなり気に入りました。
ザッハトルテ は、もう説明が不要なくらい有名なウィーンのチョコレートケーキ。特産のアンズジャムをはさみ、表面はチョコレートと砂糖を結晶化させたものでコーティングされているのが特徴。ホイップした生クリームを添えていただきます。見た目はずっしり重たそうですが、食べると意外にも軽やか~
スイーツ4種と合わせる オーストリアビール については、ジャパンビアソムリエ協会会長の森本智子さん が説明をしてくださいました。森本さんは、日本人で初のドイツDoemens Akademie認定ビアソムリエでもあります。
※オーストリアビールの概要については、以前のリポート を参照してください。
初代ビアソムリエチャンピオンのカール・シフナー氏によると、
「食事の途中ですでにたくさんのワインを飲んだ後、コースの最後のデザートの際にまたデザートワインを飲むと、重たく感じることがある。ワインの代わりにビールを選べば、重たくならず、ビールの炭酸でスッキリ締められる」
また、穀物でできたビールと、穀物を原料に使うスイーツは相性がいい、ということです。
いずれにしても、ビールの種類を選ぶことがポイントになってきます。
【スイーツと相性のいいビール】
ヴァイツェンボック、ボック(ヘル&ドゥンケル、ドッペル)、アイスボック、ハニービール、コーヒービール、チョコレートビール、トラピストビール、インペリアルポーター、インペリアルスタウト、バーレイワインなど。
さっぱりわからない~、という方も多いと思いますが(私も仲間です)、まずは今回合わせたスタイル(太字のもの)を覚えておくといいと思います。
ホーフシュテッテン グラニットボック Hofstetten Granitbock
(ホーフシュテッテン クランマー醸造所) ボックビア
ボックビア Bockbier は、シュタルクビア(シュタルク=英語のstrong)に分類されます。
ヘルは淡い色、ドゥンケルはダークな色合いの意味。
グラニットボック は、グラニット(花崗岩)の釘状にしたものを直火で熱し、それをボックビールの中に入れ、果汁の糖分をカラメル化させたもの。
甘く香ばしい香りがあり、ほろ苦いカラメルの風味がありました。泡立ちはおとなしく、でも、なめらかで、温度が高めでも飲めそうな感じですね。アルコール7.3%。
このビールは4つのどのスイーツともよくマッチしました。カラメル風味が、カーディナルシュニッテンのコーヒー風味によく合い、いちじくのタルトのタルト部分にも、いちじくのねっとりした部分にもよくなじみます。チョコレートを使ったザッハトルテとの相性はもちろん完璧。ルバーブの酸味とも違和感がありませんでした。
エッゲンベルガー・ウアボック23 Eggenberger Urbock 23
(シュロス・エッゲンベルク醸造所) ペール・ダブルボック(ドッペルボック)
ドッペルボック は、麦汁濃度もアルコール度数も高いシュタルクビア。カラーは琥珀色から黄金色ということですから、ビールの色を見て納得。このビールの名前に付いている23は麦汁濃度(23%)を表し、アルコール度数は9.6%。
飲んでみると、苦みが強く、酸味も強い!通のビールですね、これは。
スイーツとのマリアージュだと、私にはやや難しく感じました。セミハードチーズなどはどう?
4つのスイーツの中では、酸味のあるルバーブクアルクシュニッテンが、そこそこマッチします。コーヒー風味のカーディナルシュニッテンは、苦みが増幅するように感じます。逆にいえば、ビターなマリアージュを求める向きにはいいかも?
ホーフシュテッテン グラニットアイスボック Hofstetten Granit Icebock
(ホーフシュテッテン クランマー醸造所) ボックビア
アイスボック もボックビアの一種で、ボックを凍らせたもの。水分だけが凍り、濃厚なエキス分が残りますから、アルコール度数が高く、アロマが凝縮したものになり、当然これもシュタルクビア。アルコール度数は11.5%。
色は今回の4つのビールの中で最も黒みがあり、濃密な外観です。口にするとトロミがあり、とてもなめらか。まるでコーヒーリキュールのようなテクスチュアと風味で、コクがあります。これはカーディナルシュニッテンでしょう!コーヒーっぽさが本当によく合います。チョコレートのザッハトルテともバッチリ!野澤シェフによると、モンブランのペーストや、ナッツとも相性がいいとか。今度はぜひ合わせてみたいですね。
サミクラウス クラシック Samichlaus Classic
(シュロス・エッゲンベルク醸造所) バーレイワイン
バーレイワイン は、ワインと同じくらいの強さのある“麦のワイン”(バーレイbarleyは麦のこと)ということで、名付けられました。19世紀のイングランドで醸造されたのが起源というストロングエール。ワインと同じように熟成が可能なビールなんですって。
このサミクラウスのアルコール度数は14%!たしかに、ビールというよりはワインのアルコール度数ですよね?これを普通のビールのようにクイクイ飲んだら、確実に酔っぱらいます(笑)
トロミがあってなめらかで、ビールなのに甘い!ほどよい酸味もあるので、甘ったるくなりません。これは4つのスイーツすべてによくマッチしました。意外な美味しさでは、ルバーブクアルクシュニッテンとのマリアージュ。ルバーブの酸味がこのビールとキレイに溶け合います。ザッハトルテとのマリアージュはパーフェクトでしたし、いちじくのタルトも最高に合いました。ビール自体に甘さがあるので、スイーツと合わせやすいと思います。
ちなみに、「サミクラウス」は「サンタクロース」のこと。クリスマスにいいかも?
4つのオーストリア菓子とオーストリアビアをいろいろ試した結果、
アルコール度数が高めで、コクがあり、濃厚なビールは、甘いスイーツに合わせやすい(似たものを合わせる) が、まずは失敗がないでしょうか。
オーストリアビールは、小瓶サイズのものが多いですから、ビール1瓶とケーキ1個を買い、自分へのご褒美 と称して1人で楽しめます
もちろん、皆がいろいろ持ち寄って、ビア&スイーツパーティを開くもよし
ただ飲むだけじゃない、新たなビールの世界が広がりそうです
会場はオーストリア菓子の「ノイエス」さんでした
そこで、主催のジャパンビアソムリエ協会に、これをテーマにイベントを開催してください~、とリクエストをしたところ、すぐにイベントが立ち上がりました!
※オーストリアビール&食のマッチングの取材記事 → コチラ
オーストリア菓子4種 × オーストリアビア4種
7月21日、オーストリア菓子の「ノイエス」を会場に、ノイエスのオーストリア菓子と、オーストリア出身のビアソムリエ世界チャンピオン、カール・シフナー氏がお勧めするオーストリアビールを合わせました。
オーストリアで経験を積んだ「ノイエス」 野澤孝彦シェフ
ルバーブクアルクシュニッテン Rhabarber-Quark Schnitten ファイゲン Feigen
ルバーブクアルクシュニッテン は、このところ注目されている食材“ルバーブ”(福島産)と“クアルク”(フレッシュチーズ)を合わせ、“イタリアンメレンゲ”を載せたケーキ。この3つの食材は、お菓子の世界の“黄金トリオ”だとか。ルバーブはスープにも使われます。赤く見えるのがルバーブの甘酸っぱいジャムで、このケーキは全体が甘酸っぱさに包まれています。
ファイゲン は、白ワインでコンポートしたいちじくを丸ごと1個焼き込んだタルト。とろりとやわらかないちじくにキャラメルとナッツが加わり、リッチで甘美。タルト部分は香ばしく、イチジクの果肉の部分はねっとり濃密。甘さは強いけれど、ピュアな甘さで、クドくありません。見た目はシンプルですが、中身が濃い。いちじく好きにはたまりません!
カーディナルシュニッテン Kardinalschnitten ザッハトルテ Sachertorte
カーディナルシュニッテン は、卵白と卵黄の2種のメレンゲをストライプ状に焼いたお菓子。コーヒークリームのコーヒー風味がしっかりきいています。全体的にとてもやわらかく、ふんわりしたケーキですが、コーヒーのほろ苦さがいいアクセントになっています。これは初めていただきましたが、かなり気に入りました。
ザッハトルテ は、もう説明が不要なくらい有名なウィーンのチョコレートケーキ。特産のアンズジャムをはさみ、表面はチョコレートと砂糖を結晶化させたものでコーティングされているのが特徴。ホイップした生クリームを添えていただきます。見た目はずっしり重たそうですが、食べると意外にも軽やか~
スイーツ4種と合わせる オーストリアビール については、ジャパンビアソムリエ協会会長の森本智子さん が説明をしてくださいました。森本さんは、日本人で初のドイツDoemens Akademie認定ビアソムリエでもあります。
※オーストリアビールの概要については、以前のリポート を参照してください。
初代ビアソムリエチャンピオンのカール・シフナー氏によると、
「食事の途中ですでにたくさんのワインを飲んだ後、コースの最後のデザートの際にまたデザートワインを飲むと、重たく感じることがある。ワインの代わりにビールを選べば、重たくならず、ビールの炭酸でスッキリ締められる」
また、穀物でできたビールと、穀物を原料に使うスイーツは相性がいい、ということです。
いずれにしても、ビールの種類を選ぶことがポイントになってきます。
【スイーツと相性のいいビール】
ヴァイツェンボック、ボック(ヘル&ドゥンケル、ドッペル)、アイスボック、ハニービール、コーヒービール、チョコレートビール、トラピストビール、インペリアルポーター、インペリアルスタウト、バーレイワインなど。
さっぱりわからない~、という方も多いと思いますが(私も仲間です)、まずは今回合わせたスタイル(太字のもの)を覚えておくといいと思います。
ホーフシュテッテン グラニットボック Hofstetten Granitbock
(ホーフシュテッテン クランマー醸造所) ボックビア
ボックビア Bockbier は、シュタルクビア(シュタルク=英語のstrong)に分類されます。
ヘルは淡い色、ドゥンケルはダークな色合いの意味。
グラニットボック は、グラニット(花崗岩)の釘状にしたものを直火で熱し、それをボックビールの中に入れ、果汁の糖分をカラメル化させたもの。
甘く香ばしい香りがあり、ほろ苦いカラメルの風味がありました。泡立ちはおとなしく、でも、なめらかで、温度が高めでも飲めそうな感じですね。アルコール7.3%。
このビールは4つのどのスイーツともよくマッチしました。カラメル風味が、カーディナルシュニッテンのコーヒー風味によく合い、いちじくのタルトのタルト部分にも、いちじくのねっとりした部分にもよくなじみます。チョコレートを使ったザッハトルテとの相性はもちろん完璧。ルバーブの酸味とも違和感がありませんでした。
エッゲンベルガー・ウアボック23 Eggenberger Urbock 23
(シュロス・エッゲンベルク醸造所) ペール・ダブルボック(ドッペルボック)
ドッペルボック は、麦汁濃度もアルコール度数も高いシュタルクビア。カラーは琥珀色から黄金色ということですから、ビールの色を見て納得。このビールの名前に付いている23は麦汁濃度(23%)を表し、アルコール度数は9.6%。
飲んでみると、苦みが強く、酸味も強い!通のビールですね、これは。
スイーツとのマリアージュだと、私にはやや難しく感じました。セミハードチーズなどはどう?
4つのスイーツの中では、酸味のあるルバーブクアルクシュニッテンが、そこそこマッチします。コーヒー風味のカーディナルシュニッテンは、苦みが増幅するように感じます。逆にいえば、ビターなマリアージュを求める向きにはいいかも?
ホーフシュテッテン グラニットアイスボック Hofstetten Granit Icebock
(ホーフシュテッテン クランマー醸造所) ボックビア
アイスボック もボックビアの一種で、ボックを凍らせたもの。水分だけが凍り、濃厚なエキス分が残りますから、アルコール度数が高く、アロマが凝縮したものになり、当然これもシュタルクビア。アルコール度数は11.5%。
色は今回の4つのビールの中で最も黒みがあり、濃密な外観です。口にするとトロミがあり、とてもなめらか。まるでコーヒーリキュールのようなテクスチュアと風味で、コクがあります。これはカーディナルシュニッテンでしょう!コーヒーっぽさが本当によく合います。チョコレートのザッハトルテともバッチリ!野澤シェフによると、モンブランのペーストや、ナッツとも相性がいいとか。今度はぜひ合わせてみたいですね。
サミクラウス クラシック Samichlaus Classic
(シュロス・エッゲンベルク醸造所) バーレイワイン
バーレイワイン は、ワインと同じくらいの強さのある“麦のワイン”(バーレイbarleyは麦のこと)ということで、名付けられました。19世紀のイングランドで醸造されたのが起源というストロングエール。ワインと同じように熟成が可能なビールなんですって。
このサミクラウスのアルコール度数は14%!たしかに、ビールというよりはワインのアルコール度数ですよね?これを普通のビールのようにクイクイ飲んだら、確実に酔っぱらいます(笑)
トロミがあってなめらかで、ビールなのに甘い!ほどよい酸味もあるので、甘ったるくなりません。これは4つのスイーツすべてによくマッチしました。意外な美味しさでは、ルバーブクアルクシュニッテンとのマリアージュ。ルバーブの酸味がこのビールとキレイに溶け合います。ザッハトルテとのマリアージュはパーフェクトでしたし、いちじくのタルトも最高に合いました。ビール自体に甘さがあるので、スイーツと合わせやすいと思います。
ちなみに、「サミクラウス」は「サンタクロース」のこと。クリスマスにいいかも?
4つのオーストリア菓子とオーストリアビアをいろいろ試した結果、
アルコール度数が高めで、コクがあり、濃厚なビールは、甘いスイーツに合わせやすい(似たものを合わせる) が、まずは失敗がないでしょうか。
オーストリアビールは、小瓶サイズのものが多いですから、ビール1瓶とケーキ1個を買い、自分へのご褒美 と称して1人で楽しめます
もちろん、皆がいろいろ持ち寄って、ビア&スイーツパーティを開くもよし
ただ飲むだけじゃない、新たなビールの世界が広がりそうです
会場はオーストリア菓子の「ノイエス」さんでした