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今回開催された「世界料理サミット」では、スイーツのミニセミナーが展示ホールで開催されました。
昨日、一昨日と紹介してきた「ユーハイム」の安藤明マイスター、「ペルティエ」のフィリップ・コンティシーニ味覚ディレクターも、このセミナーの講師だったわけです。
全体のテーマは
「スイーツで巡る世界の旅 和洋中の創作菓子競演」
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洋では、「マイスター・ユーハイム」のベルント・ジーフェルト氏、
中華では「御田町 桃の木」などのステージもあったのですが、時間が合わずに断念。
でも、これはぜひ拝見せねば!と、和菓子の大御所 「虎屋」 のセミナーに参加してきました。
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講師は同社広報部長の 伊藤 郁(かおる)氏
用意された「あんこ玉」で、さまざまな和菓子をづくりの実演を見せてくださいました。
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広報部長という肩書きを持ちながらも、やっぱり和菓子職人でもある伊藤氏の手にかかると、丸いあんこ玉があっという間に色々な形に変化していきます。
虎屋では、職人が最初に覚えることは “包餡(ほうあん)” (=あんこを包むこと)だそうです。
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(左)桜の花びら(非売品) (右)手折り桜(たおりざくら)
伊藤氏は、和菓子には 「五感」 があると言います。
見て、キレイだと感じる「視覚」、味わっておいしいと思う「味覚」、本来はお茶の香りを超えないように作られるべきなので、素材のほのかな香りを楽しむ「嗅覚」、羊羹の弾力やおせんべいの歯ごたえなどの食感を楽しむ「触覚」。
残りの「聴覚」、耳で楽しむことも和菓子にはあり、例えば右の「手折り桜」は、あまりにも桜の華が美しいので思わず枝を手折ってしまった・・・
そのお菓子の「名前」を耳にすることで、どんなものなのかがよくわかる、
というわけで、虎屋の和菓子の名は 3000 もあるそうです
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(左)ひまわり (右)菊
「ひまわり」は、29年前に虎屋がパリに進出した際に好評を博したため、日本でも出すようになったもの。
「菊」は三角ベラをうまく使って模様を付けますが、和菓子職人の試験で必ず出される課題とのこと。
伊藤氏は簡単に仕上げていましたが、かなり難しそうな技です。
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(左)こねり柿 (右)みかん(非売品)
こねり柿とは、木になったまま熟した柿のこと。
どちらもオレンジ色ですが、少し色調が違います。
面白いのはみかんで、最初は丸い形だったのを伊藤氏が皮をむいてこんな状態になりました。
白く見せるスジはデンプン。非常に手が込んでいて、これぞ職人の技
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(左)眠っている白鳥(非売品) (右)寒紅梅
ふきんを使って茶巾絞りにし、白鳥がお昼寝をしている姿を表しています。
梅の花びらの丸みは指を使っていました。
和菓子作りでは、それほどたくさんの道具を使うことはないそうですが、
「お箸」がかなり役立つ道具になっていることを、実演を見て実感しました。
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今まで紹介してきた和菓子を見るとわかるように、それぞれの「季節」を模したものが実に多いですよね。
実演の和菓子は「あん」を使うものばかりでしたが、暑い夏の季節には、目にも涼しげなこんな和菓子も登場します。
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寒天の中に金魚が泳いでいるかわいらしいもので、ホント、これは見るだけで汗がすーっと引きそうな感じがします。
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木型に落雁粉を入れて打ち抜いたこんな繊細で華麗な和菓子もあります。
虎屋では、こうした木型は桜の木を5~10年乾燥させたものを使い、専門の職人に彫ってもらっています。
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和菓子の材料といえば「小豆」
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虎屋では北海道産の小豆を使っています。
寒天は、岐阜や長野産の糸寒天。
白あんには白いんげんなどの豆を使う店が多いですが、
虎屋では、茨城、群馬、岡山、京都産の「白小豆」を使っています。
お砂糖は、上白糖、グラニュー糖、白ザラ(グラニュー糖より大粒)、黒砂糖(西表島産)、和三盆糖(徳島、香川産)を使い分けています。
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実にためになるお話を伺った後は、待望の試食タイム
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(手前から)粒あん、白あん、こしあん、小豆とカカオのフォンダン(右)
あんこはどれもしっかりと甘いのですが、とてもピュアな甘さで、スーッと口の中で溶けるなめらかさがあり、非常に品格のある味わいです。
「虎屋」では、すべて植物性の原材料を使いますが、
系列店の「TORAYA CAFE」では動物性原材料(バターや乳製品など)も使ったお菓子を扱っているとのこと。
よって、小豆とカカオのフォンダンはTORAYA CAFEの製品です。
あんこを使っていますが、カカオの風味が強いので、ガトーショコラのような食感と味わいがあり、しっとり濃厚で私好みでした
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洋のお菓子の職人たちは和の食材を使っていましたが、このフォンダンはその逆。
でも、いずれも食材の国境(といっていいのでしょうか)を乗り越えて融合し、新たなおいしさを生み出していました。
こうなるともう、「和菓子」、「洋菓子」、「中華菓子」といった区分はわざわざ付けなくてもいいのかもしれません。
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