スペインの DOビノス・デ・マドリッド には 3つのサブゾーン があります。
首都マドリッドの南東の 「アルガンダ」(Arganda)、
マドリッドの南西の 「ナバルカルネロ」(Navalcarnero)、
その西隣の サン・マルティン(San Martin) です。
典型的な大陸性気候のアルガンダが最も広く、DOビノス・デ・マドリッド総生産量の60%を産出し、ボデガ数も29あります。
ここはマルバールをテンプラニーリョが推奨品種。広い地域のため、さまざまなタイプのワインがつくられています。
ナバルカルネロは寒暖の差が激しい大陸性気候で、平坦な地域のため、協同組合の大量生産ワインが中心でしたが、高品質ワインを手がける新しいワイナリーの出現により、地域全体のワインの質も変化しています。
ここはマルバールとガルナッチャが推奨品種で、ボデガス数は7です。
サン・マルティンは3つのうち面積は最も小さいのですが、生産量は2番目。システマ・セントラル山脈に近いため、山や谷といった起伏の多い畑もあれば、ラ・マンチャの平原に近い平坦な畑もあります。起伏で北風が遮られ、ブドウづくりに良い条件がつくられるエリアです。
アルビーリャとガルナッチャが推奨品種で、ボデガ数は8。
DOビノス・デ・マドリッドのワイン生産総量は27,527hl(2007年)で、スペイン全体から見ると、たったの 0.06% ほど。
まだまだちっぽけな存在ですが、これから期待したいDOです。
今回は7つの生産者が来日しましたが、うち4つは日本未輸入。
気軽に飲めるタイプのものから超高品質ワインまで幅広くあり、その中で個人的に最も気になったのが、こちらのフェルナンドさんのワインでした。
Bodegas y Vinedos Valleyglesias
バジェイグレシアスはフェルナンドさんと弟のルイスさんが2人で経営するボデガで、
サン・マルティンにあります。
フェルナンドさんは、かつては自転車競技のプロだったそうですが、1998年からワインづくりの道に入り、2002年にボデガを立ち上げました。
曽祖父が20世紀初頭に植えたガルナッチャの畑があったのですが、父の代でブドウづくりをやめてしまいました。しかし、それをフェルナンドさんたちが買い戻したとのこと。
現在は弟のルイスさんが畑を、フェルナンドさんが醸造を担当し、兄弟二人三脚でワインづくりを行っています。
畑は25ha所有し、2年前からオーガニック栽培に変更。
赤白1種類ずつしかつくっていません。
Albillo-Moscatel 2007
アルビーリョ85%、モスカテル15%のブレンドで、アルコール12%。
非常にやわらかな口当たりで、ナチュラルで滋味深い味わいのする白ワインです。
生産量は4500本。
Garnacha Centenaria 2006
ガルナッチャ100%で、樹齢100年の樹ということから「センテナリア=100年」という名前が付けられています。20世紀初めに曽祖父が植えたというガルナッチャですから、たしかに100歳になりますね。
樽熟成4カ月、瓶熟6カ月以上というしっかりつくった赤ワインで、アルコールも13.5%としっかりめ。
ピュアな果実味となめらかなタンニンを持ち、アグレッシブなところは全くなく、1杯、2杯・・・と飲みたくなる素晴らしいワインだと思いました。
生産量は9000本でしたが、2008年は15,000本になりそうです。
フェルナンドさんにワインづくりのコンセプトを伺うと、
「ボディがあって、口に入ったときのなめらかさを感じるワインをめざしている」とのこと。
たしかに、彼が言うとおりのワインです。
また、ボトルのカタチやエッチングも目を惹きますよね?
これはルイスさんの考えたもので、ブドウ柄のデザインもルイスさんが自ら手がけています。
他とは違うワインにしかいから、という気持ちが込められているとのことで、コルクにもこだわっています。
このコルク、実はスペインの国旗の色(赤と黄)だそうで、
うーん、ここまで考えているんですね
ここは日本未輸入。
どこか入れてください~