鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

おかしいガソリン税の道路特定財源

2006-12-05 | Weblog
 揮発油(ガソリン)税が長らく道路建設のためのお金として使われる、いわゆる道路特定財源とされてきた。それを使用目的を特定しない一般財源としよう、とする動きが来年も見送られる公算が強くなってきた。自動車の関わる税金だから自動車に関わる用途に振り向けよう、との意図から特定財源とされているのだが、考えてみれば当該の石油業界でなく関係のない建設、自動車業界のために使われているおかしな制度である。
 揮発油税は揮発油税と地方道路税があわさって課せられており、現在1キロリットル当たり48600円となっている。いまガソリン1リットルはざっと135円なので、約3分の1が税金ということになる。平成18年度予算で揮発油税の総額は2兆9573億円にのぼっている。しかもガソリンにはさらにガソリンスタンドの店頭で消費税がオンされる二重課税となっている。一般消費者こそ不当に高いガソリンを買わされて道路建設にお金を投じさせられている一番の被害者なのかもしれない。
 ガソリンを精製している石油精製メーカーは現在10社くらいしかなく、工場出荷、およびガソリンスタンドの店頭と数量が把握しやすく、まさに税はとり易いところから取る典型的な商品である。しかし、当初から揮発油税はガソリンを燃料とする自動車が走る道路建設のための資金として使われてきた。戦後復興の国土建設にはまず道路を整備しなければならないため、すんなり揮発油税を道路特定財源とすることが決まった。
 土木建設族議員に土木建設業界、それに自動車業界が強力に働きかけた結果である。石油業界はエッソ、モービル、シェルなど国際石油資本(メジャー)の子会社もいて、彼等は日本国内だけの利害だけでは動かず、常にグローバルな視点で原油調達をしたり、石油製品の供給を調整していて、日本での業界まとまっての活動とはほぼ一線を画している。しかも第一次オイルショックの際のカルテルもあって、殊更業界一致して動くことには不得手な業界である。
 そこをいいことにガソリン税をちゃっかり自家薬籠中のものとして、ほくそえんでいるのがトヨタ自動車はじめ自動車メーカーなのである。ヒモ付きの税金なんて他に例をみないことである。道路建設のために財源が必要ならもっと自動車そのものに課税すればいいのだ。自動車税や「自動車重量税、それに車検税を重くすればいいことだ。
 昔、中東の石油関係者が日本へきて、日本のガソリンに重い税金がかかっていることを聞いて、「日本のガソリンはコーヒー一杯の値段と同じで、その半分が税金だ。日本は原油を不当に消費者に高く売りつけている。その一部を中東に還元すべきだ」と息巻いていたことを覚えている。そのまま、トヨタ自動車の首脳にぶつけてやりたいものだ。
 政府はいまの揮発油税を来年度で見直し、新たな制度とすることで一般財源化する方向を打ち出すことで検討を始めたが、腰くだけになることなく、ぜひともその方向で進んでほしいものだ。
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