とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

内田青蔵氏と行く鎌倉旧宅めぐり

2014-07-06 22:33:54 | 社会人大学
5日は、社会人大学の課外講座という事で、鎌倉まで出かけていった。鎌倉といえば、いろんな観光地が有名だが、今回はそういう場所は一切いかず、昭和初期に建てられたモダンな住宅を建築学者の内田青蔵氏の解説付きで見学するツアーだった。戦争が始まる前に建てられた洋館ばかりで、明治大正の匂いを感じさせるノスタルジックな感傷に浸ることが出来た。

まず最初に見学したのが、鎌倉文学館である。


鬱蒼とした林の中を進むと手掘りのトンネルがあり、鎌倉文学館の建物はその先だ。


トンネルを抜けると、視界がぱっと開け、モダンな洋館が現れた。


この建物は、現在「鎌倉文学館」として使われているが、元はといえば、旧加賀百万石・前田家の第16代当主・前田利為侯爵の別荘として建てられものだという。戦後は、デンマーク公使や佐藤栄作元首相が別荘として利用したこともあるが、1983年に第17代当主・前田利建から鎌倉市に寄贈され、1985年から文学館として公開されている。


内田先生から、建築様式に関するいろんな説明があったが、専門的な話でどうすごいのかは良く分からない。ただ、当時の建築物としては贅の限りを尽くしたものだという事は良く分かる。1階が鉄筋コンクリートで主に使用人の部屋や調理場として使われていたという。2階3階が木造で反六角形の張り出し窓、半円形欄間の飾り窓、ベランダの手摺等洋風デザインが使われ前田家の家族が寝室や居間、食堂などとして使っていたそうだ。ただ、瓦葺の切妻屋根といった和風デザインもあり、和洋折衷の外観であるという。やはり、前田家という武士の家柄であることから和風デザインにもこだわったようである。


そしてこの洋館の前には、広い芝生の庭があり、その奥はローズガーデンとして春秋には200株以上のバラが花を咲かせるそうだ。




雨の中、傘を差しながら内田先生の解説を聞く。


今回の目的は、建築探訪ということなので、文学館自体の話はあまりなかったが、この文学館には川端康成、芥川龍之介、三島由紀夫などのそうそうたる鎌倉ゆかりの文学者たちの自筆の原稿や愛用品が展示されており、文学に興味がある人にはそちらのほうも大いに楽しめるはずである。

次に寄ったのが、旧華頂宮邸(きゅうかちょうのみやてい)と呼ばれる建物で、昭和4年の春に華頂博信侯爵邸として建てられたものである。現在は、鎌倉市が取得し市の景観重要建築物、国の登録有形文化財(建造物)に指定されているそうだ。残念ながら、中の見学は許可されず、外回りと庭だけの見学となった。


建築様式としては、古典的なハーフティンバースタイルの趣ある洋風建築だというが、ハーフティンバーの意味が良く分からないのでそうなのかと聞き流していた。


裏に回ると立派な庭があり、さすが皇族関係者の邸宅は凄いなあと感心する。


旧華頂宮邸は、端正で厳然としており神奈川県内では戦前の洋風住宅建築を代表するものだという。ただ、当初の家具・調度がほとんど残っていないというのが残念だと、内田先生は話していた。

旧華頂宮邸のすぐ近くには、報国寺があり、観光客で賑わっていた。


今回の見学コースではないので、空き時間に少し中を見た程度で終わってしまったが、「竹の寺」とも称されるらしく、竹林をよく見ておきたかった。




次に行ったのが、旧加地利夫邸である。こちらは、特にこの屋敷を熱心に研究していた建築学者の井上祐一氏の解説を聞きながら中を見学した。ただ、この屋敷は個人の持ち物で一般には公開されておらず、井上先生のつてで見学を許されたものなので、残念ながら写真は撮っていない。どこがすごいかというと、F.R.ライトという建築家の直弟子で、帝国ホテルの建設にも携わった遠藤新の代表作であるというがポイントだ。照明や家具などすべてが遠藤新による設計で二つとないものばかりになるそうだ。


最後に寄ったのが、葉山にある山口蓬春記念館だ。山口蓬春は、古典による伝統的日本画を探求する一方で、西洋画の技法を取り入れる等、従来にない数々の試みを実践し、独自の新日本画の世界を築いた日本画家である。




この記念館は、山口蓬春が晩年を過ごした邸宅で、アトリエは東京美術学校(現:東京藝術大学)の同窓生である建築家の吉田五十八による設計だという。全面ガラスの開放的なアトリエが特徴的だ。


4か所の邸宅めぐりは、結構ハードなスケジュールだった。鎌倉の街中は大型バスが止められる場所が少なく、ほとんど徒歩での移動となり、この日だけの歩数は1万4千歩くらいもあったそうだ。歩くことには自信があったが、団体でちまちま歩くから意外と疲れる。最後の見学が終わったのが午後5時を過ぎていた。それからバスで帰るのだが、静岡や焼津での乗降があり、浜松に着いたのは午後10時を回っていた。それから解散して家に帰ると午後11時近くとなり長い一日になってしまった。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
鎌倉邸宅めぐり (見切り発車)
2014-07-07 10:00:22
社会人大学で鎌倉までいらしたのですか!
梅雨の最中の鎌倉はしっとりとしてまた一段と風情がありそうですね。

文学館は建屋も素敵だし作品の展示も興味深い物がいろいろありますが お庭の見晴らしもすばらしいですね、
薔薇園がとても有名ですが7月だから6月の薔薇が少しは残っていたでしょうか。
竹の寺は私も行ったことがありません
私の知らない場所もいらしたようですし
社会人大学
有意義で楽しい遠足でしたね。
お疲れ様でした。
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見切り発車さんへ (とっちー)
2014-07-07 22:02:16
文学館は、行った事があるのですね。
バラ園のほうは、時間がなくあまり良く見なかったです。
遠めでは、もう咲き終わっていたように見えました。

鎌倉は、鎌倉アルプスを中心にトレッキングしたり、観光で有名どころを回ったりして2回ほど行きました。京都とは違った風情がまたいいですね。
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