とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

2018塩の道トレイル:穂高~豊科

2018-11-16 23:15:04 | マラソン
塩の道と呼ばれる道は各地にあるが、日本海側の越後と信州を結ぶ千国街道(糸魚川 - 松本・塩尻)が塩の運搬に関する遺構が特に残されて良く知られている。江戸時代、信濃の松本藩が日本海産の塩を運ばせた主要ルートで、松本藩では太平洋産の塩を藩内に流入させるのを禁じ、領内に必要な塩はすべて日本海側から運ばせたという。昨年、塩の道の小谷村のルートを走って以来、このルートを全部繋げてみたいと思うようになっていた。

昨日は、その塩の道の「穂高~豊科~松本城」のルートを日帰りで走ってきた。平日の日帰りで行くというのももったないような話ではあるのだが、実はもう一つの理由があった。8月下旬に安曇野の有明山に登った際、現金入りの財布を無くしてしまっていた。もう見つかることはないだろうと諦めていたのだが、9月中旬過ぎになって財布が見つかったという知らせが安曇野警察署から届いていた。取りに行かなければならないのだが、簡単に取りに行けるような場所ではないので、ずっと延び延びになっていた。しかも、お金は残っていないだろうと思いこんでいたので、急いで取りに行く気もなかった。それでも、せっかく見つけてくれた人の気持ちも考えるとほおっておくわけにもいかない。そこで、塩の道を走りながら安曇野警察署(平日のみ受け付け)に寄って行く事を思いつき、急遽穂高まで行くことにしたというわけだ。

当初は、一人で行くつもりだったが、たまたま南伊豆で一緒だったGさんと白馬村のSさんに話したら、一緒に走ってくれることになった。

まずは、前日の夜Gさんと一緒に夜立ちで梓川SAまで車で向かう。翌朝まで車中泊してから穂高駅前の登山者用駐車場に向かう。午前8時。白馬村から来たSさんと待ち合わせをして穂高駅まで歩いていく。この日は、穂高駅前からスタートだ。


穂高駅前には、道祖神が祀られている。安曇野は道祖神の宝庫といわれ、村の守り神として村の中心、道の辻、三叉路等に立っている。彫刻の種類や表現の内容からみても実にバラエティに富んでいて、男女が遠慮がちに寄り添って立つもの、何気なく手を握るもの、堂々と腕を組むもの、愛をこめてぐっと抱きしめるものなど、塩の道のさまざまの場所で見つける事も一つの楽しみだ。


同じく、穂高駅前広場に立つ父と子の登高の像。アルプスにむかって岩場の上に二人は立ち、男の子は、両手を口に当てヤッホーを叫んでいる。がっしりとたくましい父は、右腕にザイルを持って遠くの山並みを見つめている。北アルプスの登山口らしい穂高駅前の像だ。


穂高駅を出るとすぐ前にあるのが穂高神社だ。穗髙見命を御祭神に仰ぐ穗髙神社は、信州の中心ともいうべき安曇野市穂高にある。そしてその奥宮は、北アルプス穂高岳のふもとの上高地に祀られており、嶺宮は、北アルプスの主峰奥穂高岳の頂上に祀られている。奥宮と嶺宮のある場所には行ったことがあったが、本宮にお詣りするのは初めてだ。


今回の旅の安全を祈り、本殿にお詣りしていく。


安曇野の銘酒樽前で乾杯の気分で記念撮影。


通りに出ると、地図を見て塩の道のルートで合っているかを確認する。


またしても、普通の民家前で道祖神を見つける。


このルートでは、北アルプスの山並みを常に見ながら進めるのが嬉しい。


しばらく進むと、塩の道のルートから外れるが、前から行ってみたかった「田淵行男記念館」に寄り道する。


田淵行男記念館では、安曇野や北アルプスを愛したナチュラリスト、田淵行男が撮影したフィルムやガラス乾板などの原板約72,000点や生前に発行した著作、撮影機材や登山用品などを展示している。また、高山チョウ研究家でもあり、その精密画は目を見張るほど美しい。ただ、館内は撮影禁止なので残念ながら精密画を撮影することはできなかった。


近くを流れる雪解け水の清流。


田淵行男記念館から少し戻ったところにあるのが、安曇野わさび田湧水群だ。北アルプスの蝶ヶ岳や常念岳からの雪解け水だという。




環境省の「名水百選」にも選出され、清らかな水が織りなす風景を感じられる公園になっている。1日70トンもの雪解け水の水がわさび田湧水群を潤している。この水のおかげで特産のわさびやニジマスが育っているのだ。


この辺りが湧水口だ。


池の底には、たくさんの藻がふわふわとそよいでいる。


Sさんの希望で、わき道にそれたついでに、さらに寄り道をしていく事になった。どこに行ったかというと、犀川白鳥湖だ。長野道の高架下を通りぬけ、下水処理場奥の犀川のほとりにある白鳥湖(ダム湖)には、10月中旬頃からコハクチョウが飛来し始め、越冬してピーク時の1月には千~二千羽程になるという信州最大のハクチョウの越冬地だ。


11月15日現在、飛来した白鳥は22羽という情報があったので期待して白鳥湖を見に行く。


ところが、近くで重機などが動き回り騒音をまき散らしているせいなのか白鳥は全く見つからず、カモだけが悠々と泳いでいた。




しかし、しばらくして1羽の白い鳥が飛んでいった。慌てて写真を撮ってみたが、白鳥だったのだろうか?多分きっとそうだろう。


これが、ピーク時の白鳥の群れだ(ポスターの写真から)。


田圃の中の道を通り、本来の塩の道ルートに向かっていく。


田園の広がる風景が、まさに安曇野というイメージにぴったり合う。


民家の庭先で見つけたモザイカルチャーぽぃっ植木。顔になっていてGさんにそっくり?


ここでも道祖神と馬頭観音像があった。こちらの道祖神様は、色付けされていて可愛い。


お昼前に安曇野警察署に到着する。さっそく、受付に寄って遺失物の受領の手続きをする。財布が自分の物だという確認をし、中身も確認する。何と、現金も亡くしたときのそのまま残っていたのだ。まるで奇跡のような出来事に感激で一杯になった。拾って届けてくれた人にも大感謝だ。これで、この日の後半の旅が、気持ちの上で大きく盛り上がっていった。


「2018塩の道トレイル:豊科~松本城」に続く。