prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「東京ゴッドファーザーズ」

2005年12月18日 | 映画
クリスマスの奇跡話の一種。三人のホームレスが捨て子の赤ん坊を拾う話を、キリストの誕生に駆けつけた東方の三博士にひっかけているみたいなのかと思ったら、そんなもったいぶっ作りではなくて、良くも悪くもけっこうベタな人情話。
東京の街の描写がリアルなのと同時に美的でもあるのがアニメならでは。



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「サロンパス」と「ルーブル」

2005年12月14日 | Weblog
今まで「丸の内ルーブル」だった映画館の名前が、期間限定ながら「サロンパス丸の内ルーブル」となる。写真は、ロビーに並んだサロンパス製品。
野球場などで企業名を入れる権利を売買するビジネスモデルの映画館版なのだろうが、正直すげぇ変な感じ。別に売っている気配もなかったし。


「Jの悲劇」

2005年12月13日 | 映画
なんだか、これで終わり?と言いたくなる水っぽい話。原作もこうなのか?
オープニングの赤い熱気球の使い方や、一見地べたに座っているに見える墜落死体の見せ方とか、ラスト近くの包丁の使い方の演出などは冴えているのだが。あまり製作費がかかっているようではないが、カットの刻み方など手がかかっている。
新ジェームズ・ボンドだというダニエル・クレイグがまあ気持ちの悪い役を徹底して気持ち悪く演じております。男同士のキスシーンなど目をそむけたぞ。
(☆☆★★★)



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「イン・ハー・シューズ」

2005年12月11日 | 映画
テキトーなことを言うが、英語でshoeというと、地位とか立場といった意味があるはず。原作はある程度そういう意味をこめているのかな。と、思ったらin her Shoesっていうと「以心伝心」って意味らしい。
映像で靴をずらっと並べて見せられると、イメルダ夫人みたい、と思ってしまう。姉の地味なキャラクターと意外性でつながっているのか、普通につながっているのか。
キャメロン・ディアスもスタイルはむちゃくちゃにいいのだが、顔のアップはちょっと大画面で見るのがきついところが出てきた。
"professor"役がノーマン・ロイド。ヒッチコックの『逃走迷路』で自由の女神の松明から転落死した人だから、超がつくベテラン。
結婚相手が見るからにユダヤ系だと思っていると、結婚式にジャマイカ風が混ざるのが可笑しい。



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新しいPC

2005年12月10日 | Weblog
通信販売で新しくヒューレット・パッカード製のPC、nx6120を購入。
やたら安い(80000円しない)ので、もしダメでもつなぎのつもりで買ったのだが、今のところ問題なし。インターネットやメールの設定も思いのほか簡単。前のWINDOWS MEのメビウスでさんざん苦労したのとは嘘のよう。動作も早いし。
ただし、ワードもエクセルも入っていないので、その分追加するのを考えると安いとばかりは言ってられない。エクセルは使わないけどね。




「ヴェニスの商人」

2005年12月08日 | 映画
アル・パチーノ入魂の演技のせいもあるだろうが、どうもシャイロックの方に気持ちがいってしまって、結末のつけ方がキリスト教徒側に都合よすぎるのがなんだか不満。もともとそういう話なのには違いないが。
シャイロックが差別される怒りと不当性を訴える場面が迫力満点で、こっちの方がクライマックスに見える。ラスト、ユダヤ人たちからも追放されて佇む姿に同情してしまう。

シェイクスピア好みの美人の男装シーンが映画だと冗談みたいに見えるが、その割に喜劇的ではない。もっと笑える作りになっていところだと思うのだが、監督はマジメ体質みたい。
ヴェニスのロケ撮影が魅力的。
(☆☆☆★)



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「CUBE ZERO」

2005年12月07日 | 映画
「2」を見た時、「CUBE」は1回性のアイデアで2度以上は効かないなあと思ったが、やはりそう。1作目はなぜキューブに閉じ込められたのか、閉じ込められた連中の素性は何なのか、キューブの外はどうなっているのか、というのを全部伏せたからボロが出ないで済んだが、「2」で外を出してしまったら、設定の具体性のなさが暴露されてしまった。

今回はキューブの外で中を監視する連中を出したはいいが、結局彼らも「上」から命令で動いているというありきたりの展開で、「未来世紀ブラジル」ばりの天井まであるキャビネットに詰まった書類だのを見せてせいぜいカンリシャカイの恐怖を煽っているが、思わせぶりばかりが目立って、なんでそうなるのかさっぱりわからない。
頭の中に埋め込まれたチップが起動して死んだ兵士が甦ったので、どんな暴れ方を見せるかと期待したら女に金玉を蹴られて動けなくなるのだから情けない。

あと見せ場とすると最近珍しい本格的な特殊メイクによるスプラッタ描写くらい。
部分的に「攻殻機動隊」みたいなカットが見られるのがちょっと興味深かった。
(☆☆★★)



Amazon CUBE ZERO

「春の雪」

2005年12月06日 | 映画
主役二人はどう見ても華族って柄じゃないなあ、と思って見ていたが、もともと主に男の幼児性にのっとった、華族も平民も昔も今もない話。日本の華族って、ヴィスコンティの世界みたいに平民とはまったく別の世界という程の迫力ないし。
身分がどうの格式がどうのという枷の多い世界をこの原作者らしくメロドラマの趣向に使って見せるが、手紙の扱いや崇徳院の歌などの趣向のメリハリは今一つ。

つい最近、竹内結子が出産したばかりなので、撮影時何か月だったのだろうと余計なことを考えながら見ていた。ラブシーンで肩も見せないのは、そのせいか。
大楠道代、岸田今日子などベテラン勢が出る場面は、さすがに締まる。

「戯夢人生」「花様年華」の李屏賓の独特の華やかな感覚の撮影が、特に屋内場面をちょっとエキゾチックな感覚で見せている。
シャムの王子が出てくるのは輪廻の概念を語らせるためでもあるけれど、そういえばタイ(シャム)と日本は、王(皇)族が軸になって「上から」近代化した国ってところは共通しているな、と思った。

エルンスト・ルビッチの「パッション」の上映会のスクリーンの前に主人公二人を立たせてコントラストを見せる場面の才気。
ただマーラーの交響曲第5番をもろに使うのは、いささか恥ずかしい。
(☆☆☆★)



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「奇談」

2005年12月05日 | 映画
諸星大二郎の原作だと、超僻地の村で手足に穴があいた謎の死体が見つかるところから、なぜ殺されたのか、穴の意味は何か、発見した神父が実は何をしていたか、という興味でストーリーをひっぱっていくのだが、ここではかつて神隠しにあって戻って来た女の子が成長して自分が失踪していた時の失われた記憶を取り戻そうとする旅に置き換えている。ところで、「はなれ」の村で人がなぜか墓もなしに消えていくのと、近隣の村で子供が神隠しにあうというのとは、くっつきそうできちんとくっついていないのだ。
余計な知恵がついていない子供が、知恵の木の実を食べていない子孫の「はなれ」の連中と一緒に「地獄」に連れ込まれているらしい、という図式はまあわかるのだが、考えてそうかなというところにとどまっていて、見ていて腑に落ちるまでいっていない。

また誰が彼らを地獄に連れ込んでいるのかというと「神」以外にありえないのだけれど、原作は短いので勢いで押し切っているが、膨らませた映画ではすっぽぬけている感じになる。本来、狂信的な神父を通して「神」の残酷さが見えてこないといけないのだが、日本でキリスト教を扱う時の浮いた感じは免れていない。

クライマックスの“昇天”のシーンは、ほとんど原作のコマ割をコンテにして作ったよう。予算としてはこれがぎりぎりのCGか。全般に金がかかっていないのが丸わかりだが、過疎村のロケはなかなかの効果。
神隠しにあった子供たちがまとまって帰ってくるシーンは、「未知との遭遇」を思わせる。
昔の「はなれ」の記録フィルムは「リング」や「CURE キュア」の古く見せた映像を思わせるが、古色をつけたため台詞が大事なのによく聞き取れないのは痛し痒し。

まあ、いろいろ文句はあっても大真面目に諸星作品を映画化してくれたのは、結構感激もの。
(☆☆★★★)



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「乱歩地獄」

2005年12月04日 | 映画
「火星の運河」は完全な実験映画。まったく音が出なかったりして、上映ミスかと思ったくらい。
「芋虫」は、戦争の匂いをほとんど払ってしまった(つまり芋虫のようになった夫に妻が尽くさなくてはならないタテマエが消えた)のが、かえってどろどろした感じを薄くした感じ。
「蟲」は、美術がずいぶん凝っているのが見もの。乱歩だからって泥臭くしないでポップに仕上げました。代わりに流れはブツ切れ気味。

で、実はほとんど「鏡地獄」が目当てで行ったようなもの。
タイトル文字が全部左右反対になって出るという凝りっぷりがまず嬉しい。
原作は中学生の時に読んだっきりなのでうろ覚えだが、鏡やレンズなど光学機械とその作用に取り付かれた男が最後球形の鏡に閉じこもって発狂して出てくるまでを、その友人の目を通し
て描いていたと思う。
その映像化不可能なクライマックスは台詞や脇の情景に持っていって、鏡に閉じこもる=ナルシズムという切り口でまとめている。(脚本・薩川昭夫)。
明智小五郎は原作には出てこないが、男が美男子ばかりで女がおよそ綺麗に撮られていないのは、意識的なのでしょうねえ。
それに合わせて睡蓮(ナルシス)の花を初めの方に出しておくペダントリー。
鏡とその上薬を使った殺人方法というのは、ほとんど「怪奇大作戦」ばりの荒唐無稽さ。
実相寺昭雄は短編の方がいい。
これだけ独立して(☆☆☆★★)



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「ソウ2」

2005年12月03日 | 映画
見た後で前作とは無関係に書かれたシナリオを改訂してシリーズものに仕立てたと聞く。「天使にラブソングを2」とか「ダイ・ハード3」と同じパターンね。
メインになるトリックは実は日本の新本格以降あたりのミステリを読んでいたら見当がつくが、シリーズにはめこまれたので逆に意外性が生きた感じがする。

残酷描写は相当にどぎついが、よく考えてみるとあんなにやたらめったに凝った仕掛けをどうやって一人(?)で作ったのか、ヘンな話。ただ1作目だとひっかかったが、2作目となるとバカバカしく思いながらそういう約束事だと思って見るので、かえってひっかからない。

前作だと見せ場の演出に隙間が目立ったが、今回は製作規模が大きくなった分編集に隙がなくなった。
この分だと3作目、作りますね。
(☆☆☆★)



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「ロバと王女」

2005年12月02日 | 映画
女王が亡くなったので、王がそっくりの王女つまり実の娘と再婚しようというアブナイところから始まるのだが、あまりその辺突っ込まず「シンデレラ」の靴を指輪にしたような話などに行ってしまい、色々なおとぎ話を集めたみたいになるが、ジャック・ドゥミらしくあまり締まらない。
デジタルリマスター版だが、「空の色のドレス」、「月の光のドレス」といった映像で表せるわけのないアイテムをどう表現するのかと思うと、服の上にすーっと雲の影が動いているなど、ずいぶん手がかかっている(割に効果があがらない)。
衣装・装身具が凝っていて、劇場のロビーに色々と関連(?)グッズが並んでいた。
カトリーヌ・ドヌーヴやジャック・ペランやデルフィーヌ・セイリグが若くて美しいところは見もの。せっかくリバイバルしたもの、少しは誉めたいのだが、正直退屈する。
(☆☆★★★)



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