「朝日」ともあろうものが。 (河出文庫)烏賀陽 弘道河出書房新社このアイテムの詳細を見る |
著者はもと朝日新聞記者。もとはインターネットで発表されたもの(http://ugaya.com)で、すでに斜めに読んではいたが、きちんと単行本で読み直すと、よくある朝日批判のようにサヨクだとか中韓寄りだとかいう段の話ではなく、本当に会社としての体質がおかしくなっていると思える。
「アエラ」の「現代の肖像」のコラムに新しい書き手が欲しいというので、編集部員の筆者が書いて持っていくと、なぜか編集長代理が「俺は聞いていない」と言い出し、ヒラの編集部員が書くのは「前例がない」と言って没にする(ご丁寧にも、実は前例はあった。そんなことも調べなかったらしい)。せめて読んでから決めてくれと食い下がると、「読んだら、載せないわけにいかないじゃないか」という意味不明の理由で拒絶する(要するに判断する能力がないということだろう)。
アメリカにいる特派員が、十分な英語力がないものだから現地のアシスタントにつききっきりで通訳してもらい(正直、特派員なら当然英語くらいできるだろうと思っていた)、時にはインタビューも記事書きもやってもらって、のみならずその記事に自分の名前を入れる。おかげで、知日派の若いアメリカ人を激怒させ、日本から気持ちを離させてしまう。これはいささかショックだったし、人の仕事を横取りして平気という腐敗ぶりには肌寒いものを感じる。
「自己保身」「上役の顔色窺い」「年功序列」「横並び」「仕事の本来の目的を忘れた無意味な狭い仲間内の競争」といった、日本の会社とか役所の典型的な欠陥の塊みたいで、これで他の会社だの役所だのをよくぞ批判できるものだと思わせる。「自分を棚に上げる」という言葉を絵にかいたよう。努力した者もしない者もまったく同じに扱われるというあたり、昔の社会主義国かと思わせる。これじゃやる気をなくせというようなものだ。
朝日NHK問題