prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「プッシャー2」

2014年09月23日 | 映画
エンドタイトルで「ヒューバート・セルビーjrに捧げる」と出る。「夢へのレクイエム」「ブルックリン最終出口」(ともに映画化あり)の作者だが、前者がそれぞれ違う目的のドラッグで違う形で転落していく家族を描いた内容なのはもちろん、後者がダンテの「神曲」の地獄篇・煉獄篇・天国篇の三部構成にならったというが、このプッシャー・トリロジーも近いものがあるように思える。

一作目では脇役で途中から刑務所に入ってしまったトニーがずれこむように主人公の座につく。三部作で人物はだぶっているが、それぞれで中心になるキャラクターは替わってくる。

ここでの刑務所から出てきた若い主人公が腹違いの弟のことばかり可愛がる父親との葛藤と平行してつき合っていた女に子供ができたと言われ、本当の子供なのかどうかわかないのだが、一応父親になったわけで、煉獄篇に相応しく血のつながりから外れた曖昧な親子関係をがひとつの基本的なモチーフになる。

トニーはちっとも親らしいことを言わないくせに弟の親権を争っている女を殺せという理不尽な要求をされ、決定的に関係を壊すことになる。
さらにドラッグをやめようともしない母親から赤ん坊を連れ出し、ふたりだけでバスに乗る。RESPECTというタトゥーが入ったスキンヘッドと赤ん坊のまだ毛が生えていない頭が相似形をなしているのが、この父子が同類であり両極端でもあることを端的に見せる。





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