1974年、アナトール・ドーマン製作。1976年の「愛のコリーダ」に先立つ、当時のフランスのポルノ全面解禁に合わせた外国人監督による芸術ポルノということになるだろう。なお、大島渚とは「愛の亡霊」や「マックス・モン・アムール」、ヴィム・ヴェンダースとは「ベルリン・天使の詩」、フォルカー・シュレンドルフとは「ブリキの太鼓」といった国際的なコラボレーションを成功させてきたプロデューサーでもある。
ポーランドのアニメ作家出身の監督ヴァレリアン・ボロヴズィック（Walerian Borowczyk この名前の日本語表記は曖昧なまま）は第一話の満潮に合わせた官能の昂ぶりとか女性器に見立てた唇のアップ、第二話のキュウリを使ったオナニー、第三話の血の湯浴みなど性器そのものだけでなく物全般がセンシュアルかつ美的に見えるように腐心していて、顔も身体もきれいな女性たちを揃え、美術が古典的に凝っているのもゲイジュツ的。今の目で見るとヘアこそ見えるがソフトコアに近い。
原題はContes Immoraux。フランスでいうコントというのは物語というより小話といったところ。オチとかメリハリとかはあまりないのね。性描写というか人体含めオブジェそのものをごろっと転がして見せたといった感。
この後「ジキル博士と女たち 暴行魔ハイド」をウド・キア主演（ドラキュラとフランケンシュタインとジキル＝ハイドを全部やった役者など他にいるだろうか）で撮りシッチェス映画祭で監督賞を受賞したりするが、「エマニエル5」とか「インモラル物語2」など撮ってるあたり普通の商業ポルノ作家化したきらいがある。2006年没。
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