prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「鉄輪」

2006年05月24日 | 映画
1972年 製作・監督・脚本 新藤兼人。

題名の「鉄輪」(かなわ)とは、能の演目であり、丑の刻参りで五寸釘を藁人形に打ち込む時に頭に戴くロウソクを立てる台のこと。
男の浮気と女の嫉妬がモチーフで、能の上演の情景と、平安時代の浮気した夫を呪う丑の刻参りと、現代(といっても34年前)の夫の浮気現場に執拗に電話がかかる(今だったら、ストーカーだな)さまとが交互にカットバックされて描かれ、時には現代の風景に平安時代の扮装をした人物が現れて文字通りキャッチボールをしたりする。

最近では流行らない実験的な作りだが、色々な要素を混ぜたが化学反応はしないで分離したままという印象。
シナリオを先に読んでいたが、正直文字で読んでいた方がイメージを喚起された。

渋谷駅前のロケーションがあるが、基本的な地形は変わらないのにビルが見事に全部入れ替わっている。

女優だけ白塗りのメイク。どういうわけか、新藤作品はこういう不自然な白塗りが多い。
(☆☆★★★)



鉄輪 - goo 映画

「RENT レント」

2006年05月24日 | 映画
出演者は全員なじみがないが、見事な歌唱力を見せる。
無名というところで役と重なるのは、「フェーム」、ミュージカルではないが「グリニッジ・ビレッジの青春」などを思わせる。オープニングなど「コーラスライン」っぽい。
ただ、彼らがサクセスするかどうかは相当不透明で、金持ちの娘と結婚した黒人の扱いなど、成功すればしたで堕落は免れないのを匂わせているよう。

かたかたいう音とともに、フィルム上映が始まるオープニングで、時代が出る(黒澤の「乱」(1985)のポスターがちらっと見える)。ビデオではないのだね。
ソーホーに貧乏なアーティストの卵がたむろしている情景って、今どうなのだろう。劇中でも不動産屋がしきりと再開発したがっていたが。
エイズは今でも蔓延しているのには違いないが、悲劇性に限って言えば風化した観あり。

最近多いMTV風のちゃかちゃかした映像処理でないのはありがたい。あまり踊りはなくて歌中心のミュージカルなので、カット割りには苦心した感じ。部分的に監督のクリス・コロンバスの初期の「ファンダンゴ」を思わせる音楽処理を見せる。

広告には全然出なかったけれど、ロバート・デ・ニーロが製作に噛んでるのね。
(☆☆☆★)



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レント

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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