この夏、ふと頭に
懐かしいフレーズが響いて、
楽譜を取り出して
数小節ずつ弾き始めている。
それは、
セラニートの超難曲
と言われる「タランタ」で
30代、40代、と挑戦してみたが
ついぞ弾けなかった曲である。
50代に入って
超絶技巧曲に取り組んできたので、
そろそろ弾けるようになっているか
と思い再々チャレンジしているが、
なんとか弾けそうな按配である。
かつて、自分よりも
かなりの上級者が、
この曲を弾いて悦に入っている、
というのを耳にして
羨ましく思ったことがあるが、
自分もとうとうその領域に
近づいてきたかと
いささか満足している。
これは、来年の発表会の
課題曲である。
これも、20代のときには
とても難曲で手が出なかったが、
今では普通に弾けるようになった。
先日、大学時代のギター部仲間(永山)と
10年ぶりぐらいに再会したが、
「大学のときよりもギター上手くなったぞ」
と自慢したのも
日々、精進しているから
まんざら虚勢ではない。
*************
『あまちゃん』を語る
スナック「りあす」
奈保子。物語の上で、終始一貫して、スナック「りあす」はコミュニティの溜まり場として多様な機能を果たしていますね。
先生。そうだね。それと、前にも言ったけど、「再生のトポス(意味のある場)」というか「再体制化の胎内」でもあると思いますよ。
奈保子。あ、そうですね。特に、ユイが不良から更正した場であり、ユイ・ママが針のムシロに晒されながらも、コミュニティの一員として、家族の一員として、受け容れられた場にもなりましたものね。
先生。そうそう。ああいうトポスは、所謂、therapeutic space(治療的空間)なんですよ。
奈保子。なるほど。さながら、学校の保健室やカウンセリング室のような機能を果たすんですね。
先生。そうです。箱庭療法の創始者でもあるドーラ・カルフ先生がおっしゃった「自由にして護られた空間」なんです。
奈保子。そう言えば、夏バッパが、ユイ・ママと足立先生・ストーヴ兄さんが対峙したとき、「どんどんやれ! なんでも言いたいこと言え!」というようなことを言ってましたね。
先生。そう。そして、家族の対決を周囲は黙って見守っていたでしょ。
奈保子。そこで、変容の過程が生じたわけですね。
先生。そうそう。直面化、対決を回避している人間関係には、真の実存関係は生じ得ないんですよ。
奈保子。思えば、「りあす」というのは三陸特有のあのギザギザした海岸線を指すんですものね。なんだか、人生そのものが、起伏に富んだもの、波風に富んだもの、決して平坦で凪いだものではない、というようなメタファー(暗喩)にも感じられますね。
先生。それは、いい連想ですね。ついでに付け足せば、リアス式海岸は、津波の時は波高が高くなるでしょ。それも、なんだか、人生とパラレルで見ると、なんだか意味深長じゃないですか。
奈保子。そうですね。人生には、時折、津波が押し寄せることもありますものね。
先生。それでも、三陸の人たちは、何百年もめげずに生きてきたわけでしょ。
奈保子。なるほど。それは、歴然とした事実ですよね。
先生。そう。だからこそ。人々は、おおらかで、つつましく、優しいのかもしれないね。
奈保子。それと…(笑)。
先生。ん? どーした?
奈保子。しょっちゅう、弥生さん(渡辺えり)や大吉さんたちが、カラオケで絶唱しているじゃないですか。
先生。あー、そうそう。土地の「盛り場」でもあるんだよね。っていうか、「フェスティバル空間」でもある。
奈保子。自己発散、セルフ・パフォーマンスの場なんですね。
先生。んだんだ(笑)。ストレス発散、憂さの捨て所でもあるんだね。
奈保子。昼間は「うに丼」やパスタも出すんで、レストランでもありますでしょ。
先生。レストランの語源は、英語にrestore(レストア)があるように「回復」とか「再び良い状態にする」という意味があるんだよ。
奈保子。そうなんですか。知りませんでした。
先生。スナックの元々は、Snack bar で「軽食と酒を出す店」なんだね。